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076_幸福度を考えたら不幸になる

世界の幸福度ランキングというのがありますね。

幸福度というものを意識している人って、どのくらいいるのでしょうか。不思議ですね。
日本では多くの人が、おそらくは今現在の自分に対して幸せだと考えていないと思います。

確かに自殺率は高いし、ウツの割合も多いです。将来が不安だという人も多いでしょうね。では不幸なのか、と聞かれたらビミョーじゃないでしょうか。成熟した社会では、とても小さい問題が増幅される傾向があると思います。そこに「幸せか、不幸か」とか「あなたの幸福度は」などと聞かれたら、ほとんどの人が即答できないでしょう。
幸福でなければ不幸だ、というのは短絡ですけど実際そうなのかもしれません。

つまり「幸福度」という言葉がクセモノなのです。

私も最初は幸福度ランキングという概念を鵜吞みにしていました。つまり「幸福度が高いほど良い国だ」という事です。Mr.思考停止である私は、日本が経済大国であるにも関わらず幸福度が低いという事に、何か国として重大な欠陥があり、それが解消されていないのだという事を信じていました。

新聞が報じるそれは、おそらく「日本はこんなに酷い国だ」という意図を含んでいるのだと思います。女性の地位や不平等についての報道にもそういう論調はついてまわりますが、思考できない私はそれを事実として受け止めていました。

私は教材制作会社でアルバイトをしています。その教材の中で教育立国のフィンランドに関する内容があり、その著者を招いてイベントをやりました。その時に、ほとんど情弱状態である私が最近のフィンランド関連の情報を調べたのです。

フィンランドは幸福度ランキングの堂々の1位です。それに加えて国民の高い教育水準が多くの教育関係者の注目を集めています。幸福度が低くて教育問題が山積する日本人にとっては羨望の国です。

それが現今のウクライナ情勢によって大きな変換期を迎えています。NATOの非加盟国であった事については、ソ連時代からのロシアとの関係の中で継続されたものですが加盟を申請しています。つまり立場を明確にしたわけです。承認されれば間違いなくロシアとの関係悪化を招くでしょう。

しかし承認にはハードルがあります。NATO加盟国であり黒海を挟んでウクライナとロシアの両国に強い地勢的影響があるトルコが反対しています。その理由はフィンランドがテロ組織として認定されているクルド人の活動拠点になっているという理由です。
加盟を承認されればNATO内に不協和を招き、承認されなければロシアとのさらなる緊張を強いられます。つまり外交的には多くの国と同様の不安を抱えているわけです。

そして徴兵制があり、国民の多くは武器を所持しています。アメリカを思わせるような銃の乱射事件というのも発生しています。殺人事件もあり都市部では売春も多く、薬物も首相に疑惑があるくらいですから少なくありません。いくら幸福度が高くてもそれは天国でも極楽でもないのです。

もちろん幸福度を測るアセスメントは客観的な要素の数値に基づくものではあります。私はフィンランドの幸福度にケチをつけるつもりは毛頭ありません。その幸福感が本物である事を願いますが、どの国でもこうした諸問題がなくはないのです。それを含んで「幸福度が高い」となったら、結果的に国民の主観的な問題ではないかと思えているのです。

問題はここではないですかね。教育水準ではなくて、国民の国家観がどのように教育されているのか。

日本国民にとっては少子高齢化、労働人口の減少、経済の長期低迷、地方の崩壊、そして中国の軍事的経済的脅威、こうした不安材料に憂鬱になりますが、法治国家や平和国家や治安国家という好評価を差し引いても、なお憂鬱が残るのです。本当でしょうか。

法治国家にせよ平和国家、治安国家という観点では幸福度ランキングの上位にありながら怪しい国はいくらでもあります。日本は羨望されるべきですがそうではないし、私自身もそう思っていません。

やはり何かによって、私たちは幸福度を感じないように洗脳されているのではないでしょうか。またはそういう文化なのかもしれません。

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