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無題

すべてのものが大きく見える夜、床はとても近く、天井は気が遠くなるほど上の方にあった。羽虫が指先を這っている。その羽を毟って、自分の指に取り付けてやってもまだ指は重く、そこで停滞しては、嫌な気持ちになるようなことをぶつぶつと呟くほかには、碌に何もしようとしないのであった。
3つの体に、それぞれ何度か接吻をした時、それらはプラスチック製の容れ物として海を漂い、塩辛い水を厭というほど飲んで、その苦しさに無意味なオーガズムを感じる。
でもそこに漂うための波は本当は少しも無く、進めるものも押し返すものも、世界も、まどろっこしい眠りも、ごわごわした着物も、少しはあったのかもしれないが、今はもう無いのである。

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