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アダム・スミスの手紙

 アダム・スミススコットランドに生まれたのは、1723年のこと。今年は生誕300年の節目の年である。

 アダム・スミスと言えば、最も有名な著作は「国富論」(諸国民の富)だが、彼の生涯の中で最も心血を注いだのは、「道徳感情論」だろう。「共感の原理」に基づく彼の哲学は今でも色褪せないどころか、輝きを増しているように思う。


 18世紀は、アメリカの独立戦争フランス革命などの市民革命やイギリス産業革命を見た激動の時代だった。それは社会・産業だけに限ったことではなく、様々な思想が生まれた啓蒙の時代でもあった。

 世界史に明るいわけではないけれども、啓蒙思想、中でも、スコットランド啓蒙思想には心ひかれてきた。
 スコットランド啓蒙思想というと、アダム・スミスの師・ハチソンや、デイヴィド・ヒュームなど錚々たるメンバーが揃っている。


Correspondence Of Adam Smith

 手元に「アダム・スミス書簡集」(Correspondence Of Adam Smith)がある。
 アダム・スミスが出した手紙だけでなく、彼が受け取った手紙を集めた書簡集だが、かなり分厚い本だ。
 この手紙を読むと、スミスは様々な人と文通していたことがわかる。

 やはり遣り取りが多いのはデイヴィド・ヒュームだが、その他にも、エドモンド・バークエドワード・ギボンなどの歴史家との交流もあったようである。

 書簡による交流は、単に挨拶・お礼のようなものではなく、かなり専門的な内容に関する意見交換が多い。

 一応、書簡集の邦訳も出版されているようだが、文庫化されないかなぁ、と期待している。
 書簡なので公になることを想定して書かれたわけではないけれども、どういう意見の食い違いがあったのかとか、人間関係の親密度合いも垣間見えて面白い。


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