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短編小説 | 象形文字

(1)

 とある古墳から文字らしきものが発見された。考古学者にとっても手に余るもので、言語学者の力を借りて、解読作業が行われた。

(2)


 💗😱((( ;゚Д゚)))😄。


 😄😱((( ;゚Д゚)))💗。


 💗❗((゚□゚;))😄、☄️、
💗😱((( ;゚Д゚)))😄。


 😄❗((゚□゚;))💗、☄️、
😄😱((( ;゚Д゚)))💗。

(3)

 この他にも、古墳時代には珍しく、文書らしいものが発見された。文字配列と現れる単語の頻度を勘案すると、古代日本では、どうやら現在とは異なり、「主語+動詞+目的語」の語順だということが判明した。また、文脈により、以下の「単語」の意味が判明した。単語リストは以下の通りである。
 

私 💗
好きだ ((( ;゚Д゚)))
あなた 😄
とても 😱
大好き  💔
ではない ❗
それどころか ☄️
嫌い ((゚□゚;))


(4)

 蛇足だとも思うが、(2)のそれぞれの文の意味は次のように解釈された。


わたしはとてもあなたが好きです。

あなたはわたしのことが好きでしょ?

わたしはあなたのことが嫌いではない。それどころか、わたしはあなたのことがとても好きです。

あなたはわたしのことが嫌いではない。
それどころか、あなたはわたしのことがとても好きです。

(5)

 いやはや。古来から好きだの嫌いだの、人間というものは、今と何ら変わらぬ心をもっていたのだね。


[終わり]

フィクションです。日本語の系統はいまだに謎が多い。

記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします