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短編 | 瑠璃色の1%

 その日の勢いで、彼にすべてを曝そうとした。しかし、また、直前になっておじけづいてしまった。

「ごめんなさい。やっぱり無理です」

「そうか。それじゃ仕方がないね」

 そう言うと、彼はベッドからおり、服を着始めた。

「ごめんなさい、本当に…」

 彼は私の目を見て微笑んだ。


 体を重ねる寸前になって、勇気が持てずにそのまま何もなく…というのは今回で3回目だった。

 彼のことを信頼していないわけではない。彼のことが嫌いはわけではない。しかし、処女を捨てるという決断がどうしても出来ないままだった。

 体を重ねるということは、私には重い決断だ。体を捧げるということ。それは自らのすべてを曝すということ。身も心も1つのもの。自分のすべてを捧げるということを思うとき、私の最後の1%の理性が、彼に身をゆだねることを拒否し続けたのだ。


「私、あなたのこと、好きなんです」

「うん、分かっているよ。初めての時は誰でも緊張するものだから。無理なんかしなくていいよ」

 別にもったいぶっているわけじゃない。彼の内側に触れたいという気持ちもある。だけど…

 私の体の99%は灼熱のように彼の肉体を求めていた。火照っていた。しかし、体の残りの、瑠璃色の1%が、彼との交わりを強く拒むのだ。いつもあと一歩というところで。

 胸に当てた手のひらを彼の前で離すことがどうしても出来なかった。
 瑠璃色の1%のせいで…




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