小説 | 天才少女ルナの物語⑩
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翌朝、ジェイコブ博士と私たちは、海岸沿いを歩いた。
「ソフィアさん、こうやってこのオークニーの海を眺めていると、この地に生きた古代人も同じ光景を見たんだろうな、と感慨深いものがありますな」
「そうですね。まだ私にはビブリオン・モーヴの姿は見えません。彼らは本当に女神を見たのでしょうか?」
私はルナの歩調に合わせながら、博士に語りかけた。
「私には、断片的に女神の姿が見えたような気がしたのだが。ルナちゃんはどうかな?ルナちゃんには女神ビブリオン・モーヴは見えましたか?」
ルナはキョトンとした表情を浮かべながらニコッと笑った。
「ルナね。女神様の姿はよく見えないの。でもね、なんか不思議なんだけど、ルナの心の中には、ちゃんといるような気がするの。よくわからないけど」
ジェイコブ博士と私の目が合った。おそらく、博士ももしかしたら私と同じことを考えたのかもしれない。しかし、そんな非科学的なことを信じるには、私たちはオトナ過ぎた。
「そろそろ、発掘現場へ参りましょうか?」
ジェイコブ博士は、私たちの脳裏に浮かんだ情景を本当なのかどうか、早く確認したい様子であった。
発掘現場にジェイコブ博士とルナと私で一緒に訪れたとき、すでにオリバー博士が私たちを待っていた。
「ジェイコブ博士、ソフィアさん、お久しぶりです。そこにいる女の子はルナちゃんかな?」
オリバー博士が尋ねた。
「オリバー博士、ようこそいらっしゃいました。はい、この子が娘のルナです」
「ルナちゃん、はじめまして。オリバーといいます。今日はお話を聞かせてね」
「はじめまして。オリバーおじさん。ルナと仲良くしてね」
ルナは無邪気に微笑んだ。
「ルナ、『オリバーおじさん』じゃなくて、『オリバー博士』よ」
「いいんですよ、『オリバーおじさん』で」
「ははは、私も『ジェイコブおじさん』でいいからね」
「ではさっそくですが」とオリバー博士が話した。「ルナちゃんが解読したという例の出土品を見せていただけますか?」
ジェイコブ博士が、昨日ルナが解読した部分まで手短に説明したあと、ルナがその先の部分を読むことになった。
「じゃあ、ルナ、みんなに聞こえるようにハッキリとお話の続きを読んでみてちょうだい。もし、読むのがつらくなったら、無理はしなくていいからね」
ルナは私のほうを向いてコクリと頷いたあと、出土品のつづきの箇所を読み始めた。
…次回最終話。
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