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『サード・キッチン』

『サード・キッチン』白尾悠

Eテレ理想的本箱「人にやさしくなりたい時に読む本」で紹介されていた本。

物語は留学先のアメリカで孤独な日々をおくる19歳の尚美が、友人に誘われ、出身地やLGBTQ、経済格差など、あらゆる学生が集い運営する学生食堂「サードキッチン」に加入することで少しずつ成長していく青春小説。

勉強はできるけど、じぶんの気持ちをうまく英語で表現できないことで劣等感を感じ周りから孤立していく尚美の姿に、多くの読者が自分の姿と重ねてしまうはず。

それでもサードキッチンの仲間との交流を通して、人種差別や歴史、アイデンティティ、性的指向、さらにはステレオタイプで判断することも差別、ということに気付き、見て見ぬふりをせず、内省し心を育んでいく様子が緻密に描かれていて圧倒されます。

「人にやさしくなりたい時に読む本」
の真意は、優しい言葉をかけたり、仲良くしたりといった表層的なことではなく、まずは自分を知って、相手を理解しようとする姿勢なのかな、と物語を通じて気づける一冊でした!

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