見出し画像

猫の歴史(上)


すっかり人の世界に溶け込んでいる猫たちですが、愛しい猫達が人とどう関わってきたか知りたいと思いませんか?時代と共に、人と猫の関係は少しずつ変わってきています。昔は猫にとって苦難の時代もありましたが、今は猫にとって暮らしやすい時代であると思います。

今までの、人と猫との関わりを見てみましょう。

世界にみられる猫の歴史

猫は、古代から人間と共に暮らしてきた動物です。猫の祖先は約13万年前に、中東の砂漠などに生息したリビア猫が猫の祖先です。2004年に発見されたシルロカンボス遺跡から、人間と一緒に埋葬されているネコ科動物の遺骨が発見されたのが9500年前のものでした。

エジプトでは猫は神様の化身

猫は紀元前3000年頃にエジプトで家畜化されたと考えられています。猫は古代エジプトの文化や宗教において重要な役割を果たしていました。猫は太陽神ラーの化身として崇拝され、神聖な動物とみなされていました。エジプトでは猫を殺すことは重罪であり、死刑に処されることもありました。

猫はエジプト人の日常生活にも欠かせない存在でした。猫は穀物倉庫や家庭をネズミやヘビから守り、狩りや漁にも協力してくれていたのです。猫はエジプト人にとって家族の一員であり、愛情深く世話されていました。

エジプト人は、猫が死ぬと飼い主は悲しみのあまり、髪を剃ったり泣き叫んだりしていたと言われています。エジプトの一般的な風習として、猫のミイラ化されていたそうです。猫のミイラは神々に捧げられたり、お墓に埋められたりしました。

猫は、エジプトのピラミッドにも神様と同等に描かれていました。猫の姿や特徴を模した彫像や壁画、装飾品、印章などが数多く発見されています。また、猫は詩や物語にも登場し、知恵や機知、愛情や忠誠などの象徴として描かれているのです。特に有名なのは女神バステトで、猫の頭を持つ女性の姿で表されました。

エジプトは猫の輸出を禁止していましたが、漁師たちは猫を船に連れ込んでいました。新しい家畜の密輸を行うためでしたが、船に積んでいる穀物をネズミから守る実用的な意味を含んでいたと言われています。交易船を通じて猫はギリシャからローマ帝国に伝わり、さらにペルシャからインド、そして極東方面へと広まってきたのです。


中国では人の生活に密着

中国での猫の歴史は古く、少なくとも5300年前にはイエネコが飼われていたという発掘調査の報告があります。猫は仏教の伝播に伴って、経典などを鼠の害から守るために中国から日本に伝わりました。中国では猫は聖獣として崇拝されたり、水滸伝などの文学作品に登場したり、皇帝徽宗が『猫図』を描かれていたりと、様々な文化的影響を与えています。
猫は農業や商業において害獣を駆除する役割を果たし、人間の生活を助けたのです。


ギリシャの猫はアルテミスの象徴

猫はギリシャに行っても、文化や生活において重要な役割を果たしてきました。古代ギリシャでは、猫は女神アルテミスの象徴とされ、農業や家庭の守護者として崇拝されていました。

ギリシャでは猫は野良猫として自由に暮らしており、人間との共生関係を築いています。多くの人々は猫に餌を与えたり避妊手術をしたりして世話をしています。ギリシャの猫は観光客にも人気で、写真や動画で紹介されることも多くあります。また、猫を保護するための団体や活動も盛んに行われており、国際的な支援も受けています。


ヨーロッパでの苦難の時代

中世になると16世紀ごろから悪魔崇拝と猫とのイメージが結び付けられてしまいます。猫はキリスト教の影響で悪魔や魔女の使いとみなされるようになり、魔女裁判へと繋がっていきました。猫は迫害されたり、火刑に処されたりした。

当時は「キリスト教徒こそが正しい宗教である」と示すための異教を否定し、排除する必要があったために加速しました。この時期には、ヨーロッパではペストが大流行し、多くの人々が死亡しました。ペストはネズミが媒介する病気でしたが、猫が減少したことでネズミが増える結果となってしまったのです。18世紀ごろから、ようやく「動物も対するべきではないか」という考えが高まってきました。


イメージが好転した世界の猫達

ルネサンス期の19世紀になると、ようやく猫は愛すべき存在と認識されていきます。同時に、芸術家や作家が猫を愛好するようになり、猫は美や知性の象徴として描かれるようになりました。また日本や中国などの東アジアでは、猫は幸運や富をもたらす動物として信仰されたのです。日本では、招き猫が有名です。

近代になると、猫はペットとして人気を集めるようになりました。品種改良や展覧会が行われ、様々な種類の猫が誕生したのです。また、科学的な研究も進み、猫の遺伝子や行動が解明されました。現代では、インターネットやメディアで猫の写真や動画が広く共有され、猫は世界中の人々に愛されています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?