カメラを趣味とする人にとって、最も恐ろしい「レンズ沼」の世界
「沼」から連想するのは一旦ハマるとなかなか抜け出せず、本人の意思で抜け出したいと思っても、もがけばもがくほど奥深くはまっていくというもの。沼の入口に2、3歩入ったところで気が付いて引き返せば良いが、ある一線を越えてしまうともう二度と引き返せない恐ろしい沼。
カメラを始めようと思う人にとって、カメラ選びやレンズ選びを検討する前に、講習を受けた方が良いものとして、この「レンズ沼に入らないための注意喚起」が必要です。
これは私自身の経験からですが、レンズ沼どころかカメラ沼にも入り、もはや「沼の住人」となってしまいました。購入したカメラは100台以上、レンズは200本以上です。
レンズ沼とは、「一眼カメラの交換レンズを次々と購入してしまうこと」で、初心者の場合は「もっと値段の高いレンズなら凄い絵が出て来るのではないか」という期待、中級者の場合は「周辺四隅の解像性能や良好なボケ味、収差の改善」を期待し、最高級レンズの購入や他メーカーへの変更を何度も行ってしまいます。
何が恐ろしいかは、沼にハマればハマるほど、より高額なレンズを購入するため経済的な負担が大きくなり、「家計支出の大部分をカメラ関係で占めてしまう」ことです。
初心者の人はAPS-C機から始める人が多いですが、幸いCanon、Nikon、Sonyのようなフルサイズがメインのメーカーであれば、APS-C機用のレンズは安く、数も多くないためレンズ沼にハマることはありません。しかし、フルサイズ機ならもっと良い写真が撮れるのではと考えた時から沼が始まります。そもそも最近はカメラ製品の価格が高騰したため、簡単にフルサイズの世界に入ることができなくなったことが幸いです。一旦フルサイズの世界に入ると簡単に100万円、200万円の出費となってしまいます。
広角ズーム、標準ズーム、望遠ズーム、F値の明るい単焦点レンズを揃えることは、全く健常な範囲で沼ではありません。
それぞれの同じ焦点域で複数のレンズを持ち始めたら沼の入り口に入っていることになります。
レンズ沼へのステップをサポートするものが、「ネット通販」で1クリックで購入ができてしまうこと、なんでもかんでも褒める「Youtuber」が背中を押してしまうことなど、天使と悪魔が自身の中で戦っても簡単に悪魔に支配されてしまいます。罪悪感を抑えるために、「レンズは売れるので、実質はそんな出費にはなっていないだろう」という自己解釈をしてしまいます。
欲しいレンズが候補に挙がってくると、先ず予算確保のために、どのレンズを売却するのかが悩みとなり、夜も考えて眠れなくなることもあって健康をも害します。いろいろと思案するものの、大概の結論は「とりあえず売却せずに置いておこう」となり、所有ラインナップが増えていくことになります。
そのうち、家族に内緒で購入してしまうことなりますが、カメラを趣味にしていない人にとっては、案外どれも同じに見えて分からないもので、色が黒から白に変わればさすがに気が付きますが、黒のままで大きさもほぼ同じものを買い足す分には大丈夫です。ただし、2台同時に表舞台に出てしまうと追加購入したことがバレてしまうため、表舞台に出るのは常に1台のみで、「影武者」のような扱いとなります。
※「影武者」・・・権力者や武将などが敵を欺くため、または味方を掌握するために用意する、自分とよく似た風貌や服装の身代わりのこと。
実は、奥深く沼にハマってしまってから抜け出す方法が1つあり、それは「全メーカーのものを、全部購入すること」です。そうすることで、これが性能の限界かということに気が付くことになります。もちろん興味のない焦点域のレンズまで購入することはありません。沼の住人となり、自由に出入りできることになります。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。またお会いできることを楽しみにしています。
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