ゆりこ

作家というものに憧れた小学校時代から、仕事で実務的な文章作成にいそしむ現在。伝えたい内…

ゆりこ

作家というものに憧れた小学校時代から、仕事で実務的な文章作成にいそしむ現在。伝えたい内容が伝わる筋肉質な文章になってきて、自分が好きだった小説や詩の世界とずいぶんかけ離れてしまいました。 すこしづつ、自分が「書きたい」ものを書けるようにはじめます。

最近の記事

大人のバイオリン: ビブラートができない②

40歳になってバイオリンを始めて、十数年。オーケストラでは「時々エアバイオリニスト」として音を出さずに弾く姿を見せる技能を磨きつつ、個人レッスンでは毎年、発表会のソロ曲で四苦八苦しています。今年もそろそろ発表会の時期が近づいてきました。今年は、他の生徒さんとデュオでヴィヴァルディの『二本のバイオリンのための協奏曲イ長調』の第二バイオリンを、そしてソロでエルガーの『愛の挨拶』を弾くことになりました。 ヴィヴァルディの方は、バロック音楽でビブラートはあまりかけないこと、そして伴

    • ミャンマー旅行記(2019年9月)⑥

      イスラム教徒 ミャンマーといえば、ロヒンギャ難民問題があるように、この優しく穏やかな国民がイスラム教徒には非常に厳しいのには驚きました。 インレー湖でお世話になった親切なタクシードライバーは多民族の話から急に「イスラム教徒は好きじゃない。彼らが越してきた地区にいた仏教徒は出て行くよ。臭いが違うし、鳥を締めたりする時も叫び声をあげさせてうるさいんだよ。仏様への捧げ物という考えがないからね。」などとこぼし始めました。 ヤンゴンの印刷屋のおじいさんは「日本人?日本は自由で良いとこ

      • ミャンマー旅行記(2019年9月)⑤

        カックー遺跡 2500近くある仏塔の間を抜ける白い小径、てっぺんについた鈴がチリンチリン…シャラララ…と風が吹くたびに鳴って異次元空間に迷い込んだような気分になります。 インレー湖の辺りから車で2時間かかりますが、この不思議な場所は訪ねて良かった。途中に青々とした水田の中、カラフルな野良着の女性達の写真を撮ったら、「Thank you!!」と大きな声で叫び手を振ってくれました。山を登るとパオ族の集落で、服装、顔つきともに異なり、女の子が可愛い。 カックーは外国人が自由に入れ

        • ミャンマー旅行記(2019年9月)④

          インレー湖 小さなバガンの空港から国内便でさらに小さなヘーホー空港へ。40分のフライトの間は席が隣になったミャンマー人女性(カレン族の町ロイコーのYMCA会長さん)とお喋りしました。 空港からインレー湖へ向かうタクシーから外を見ると、ヤンゴンやバガンとあまりにも違う風景にびっくり。大きな農園が広がり、石造りの家が軒を連ねています。山越えも新しい道路で楽々クリア。気温も低めで快適〜。ホテル「Spring Lodge Inle」は全室コテージタイプの素晴らしい宿でした。 インレ

        大人のバイオリン: ビブラートができない②

          ミャンマー旅行記(2019年9月)③

          2019年9月28日 古都バガン(2) バガンの暮らしはヤンゴンから大幅にタイムスリップし、舗装道路は主な道だけで、服装もほぼ皆んなロンジー(巻きスカートみたいな民族衣装)。スーパーがなく、食品から日用品まで調達できるニャウンウーのマーケットには近隣からも買い物の人が。私も寺院巡り用にロンジー買いました。涼しくて快適です! ミャンマーは至る所に犬(野良?)がいますが、犬ものんびり。殺気は全く感じません。 タマリンドの木の実を干したものが、レストランの食事の最後に果物と一緒

          ミャンマー旅行記(2019年9月)③

          ミャンマー旅行記(2019年9月)②

          2019年9月28日 古都バガン(1) バガンはミャンマー最初の王朝が栄えた町で、歴代の王たちが寄進した壮麗な仏塔、寺院が、田舎の農村の中至る所にあります。今年の7月に街全体が世界遺産に登録されました。アンコールワット、ボロブドゥールと並び世界三大仏教遺跡だそうです。 一番古いシュエズィーゴンパゴダは11世紀のものですが、熱心な仏教徒である現地の人により、見事に維持され今も金ピカ。歩いていて気持ち良い所です。煉瓦造りの寺院が多く、当時の税金は煉瓦でだったとか。寺院や祠の内

          ミャンマー旅行記(2019年9月)②

          ミャンマー旅行記(2019年9月)①

          【今年2月にミャンマーで国軍のクーデターが起こり、3月に入った今もこれに抗議するデモ隊を軍が武力をもって弾圧し大変な事態になっています。一昨年の9月にミャンマーを観光旅行で訪れた時には、軍政から民主制に移行して10年が経ち、都市部の若者はこれからの発展に希望を持ち活気にあふれていました。ヤンゴンのスーパーで日本のインフラ系企業の駐在員と思われる男性が食料品を選ぶ姿を見たり、フェリーターミナルでは、これは日本のODAで作られたから、と日本人は無料にしてくれたり、日本との関係を実

          ミャンマー旅行記(2019年9月)①

          大人のバイオリン: ビブラートができない①

          40歳になってバイオリンを始めました。これまで足掛け10+?年になります。 始めた頃はまだ子供が小学校にあがったばかりで、仕事、育児、家事の合間を縫っての習い事。バイオリンの先生に、前回のレッスンから一度もケースを開けていないことをお詫びし、「社会人の方は仕方ないですよ」とにっこりほほ笑んで頂いたりしていました。 そもそも、3歳からピアノを習い、今もバンド活動している夫から、何か楽器やらないの?としつこく言われ、半ば売り言葉に買い言葉で始めたバイオリン。もちろん、音楽が好

          大人のバイオリン: ビブラートができない①

          初めて老いと直面した日

          空に向かって力いっぱい放ったボールは、いつの間にか最高到達点を過ぎ落下に転じていた。こうなっては、重力に抗うことはできず、下降し続けるしかない。自らの力では再浮上できないのだ。 物理では当たり前のことだが、自分の身体に起こっているのだと理解するのにしばらく時間がかかった。 『まあ、老化ですからね。』、と整形外科医が言う。 『え、治す方法はないんですか?』 『特にないですね。痛くなったら休んでください。もっとひどくなったら手術して人工関節を入れるという方法もありますが、今はそ

          初めて老いと直面した日

          あの日に帰りたい

          一番に思い出すのは、まだ生後数カ月の息子がベビーラックの上で泣き叫んでいるのを、隣の部屋から何もせずに眺めている自分の姿だ。暗いリビングルームのソファーには夫が座り、ベビーラックを少し乱暴に揺すっている。呂律の回らない大声で 「いくら泣いたって誰も来ちゃくれないんだよ。お母さんが来ると思ったら大間違いだ。」と、いつものように1人喋っている。水色のオールインワインを着た息子は、ベビーラックに横になり安全ベルトをした状態で足を突っ張り、小さなこぶしを握り締め、体中から絞り出すよう

          あの日に帰りたい

          結婚

          挙式を決めた時、一緒に暮らし始めて一年経っていたが、お互いの一人暮らしがそのまま交じることなく合わさったような私たちの暮らしは気ままだった。彼はエンジニアとして会社へ行き、夜にはビールを買って帰宅した。私はちょうど忙しすぎる仕事を辞めて、フリーで広報の仕事を始めていた。彼はよく自室にこもってピアノを弾き、私はリビングで映画を観ていた。週末には、彼のバンドのライブを見に行って打ち上げに参加したり、面白そうなコンサートへ一緒に出かけたりした。 挙式をカトリック教会ですることとな