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周囲から保健師は ”リーダーシップ” を期待されている?!

リーダーシップは保健師さんで!

先日参加したワークショップで、産業医・心理士の方から「産業保健職間のリーダーシップで適切なのは誰か?」をテーマにディスカッションした際、「リーダーシップは『保健師さん』でしょう!」と満場一致の答えでした。。

理由は、以下が挙げられていました。

 ☑ 社員の声を一番近くで聞いておられるので、生の声を知っている

 ☑ 事業所の情報(オモテ・ウラともに)に精通している

 ☑ 関係者の特徴をよく把握しているので働きかけるコツ・ポイントを押     さえている

 ☑ 調整役として機能してくれる保健師さんを知っているのでケースの解決の際にはリーダーシップをとるにふさわしい

 ☑ 産業医が出すぎると会社にあまりいい印象を受けなかったり、本音が   
聞けないこともある

私自身、この回答には、正直驚きました。

また、保健師自身は黒子としての「調整役」を自ら理解し発揮することはあっても、それを『リーダーシップ』と捉えてはいない・・・

周囲の期待と自分たちが考える役割にギャップがあるのでは?と危機感にも思えました。
そこで、「リーダーシップ」とは?を掘り下げてみました。

リーダーシップとは??

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☑ リーダーシップとは、メンバーの認識や期待、状況の度重なる変化が起きる複数人間での相互作用のことである。リーダーとは、メンバーの誰よりも影響を持つ人であり、リーダーシップはメンバーの意欲や能力を改善する際に発揮されるものである。(Bass,1990)

☑ 自己の理念や価値観に基づいて、魅力ある目標を設定し、その実現体制を構築し、人々の意欲を高め成 長させながら、課題や障害を解決する行動。(グロービスMBA「経営辞書」)

☑ 主体的な個人が、組織の目的を効果的に達成するために発揮する働きかけ。特に組織に必要な変化をもたらす役割を担う。(WSI リーダーシップ)


リーダーシップの定義をみると、保健師の役割機能「みて、聞いて、つくって、動かす」「個人・集団・組織への働きかけ」と似た内容がちりばめられています。

リーダーシップの発揮には2軸のバランスが重要

また、リーダーシップの行動は2軸のバランスをうまく使うことで、適切なリーダーシップが発揮できるそうです。

この2軸の観点を産業保健師の仕事と照らし合わせてみました。

しくみをつくる構造軸:産業保健そのものの体制や運営の仕組み、産業保健計画、対応基準や運営フローを作ったりします。

人間関係の配慮軸:対人に関してのプロでありますので、この配慮軸は常に対象とする個人や集団の特徴を捉えた対応をしてます。

この行動2軸も、産業保健師は、通常で行っている仕事の内容に近いものがあてはまりました。(作業ではないよ、仕事だよ)

こうした保健師の仕事そのものが、他の職種からみると「リーダーシップ」をすでに発揮している、という認識でおられるのかもしれません。

でも本当に保健師が「リーダーシップ」をとっていいの?という遠慮や自信のなさ・・・

一方で、気になるのが『保健師がリーダーシップ』ととるのに、良い顔をしない医師や会社側の経営者、人事労務担当もいらっしゃるのではないでしょうか?という考えも浮かびました。
(そうした自己肯定感の低さが、、リーダーシップの意識の低さにつながるのかもしれませんが、、よくない自己認識ですね・・・汗)

と、そこで役に立ちそうなのが、「シェアード・リーダーシップ(SL)理論」です。


1人がリーダーシップをとるのではなく、グループの複数人、または全員がリーダーシップをとる。

従来型の垂直のリーダーシップとは異なり、こちらは、都度状況に応じてリーダーシップをとる役割交代しながら、進めていく形態のようです。

産業保健は、フラットにチーム対応で課題解決を(個別事例など)行うことが非常に多いです。産業保健の局面で有益なのは「シェアード・リーダーシップ」かもしれません。

イメージとしてはこんな感じでしょうか・・・?

対社員さん:保健師さんになら本音が話せる → 保健師のリーダーシップ

対人事部長:産業医からの意見が聞きたい、産業医と話したい → 産業医のリーダーシップ

対社員の家族:労務条件や今度の働き方について → 人事担当 のリーダーシップ

対組織:状況や内容、影響度に応じてリーダーシップは交代する → 重要度の高い提言は産業医、日頃の改善などは保健師 など、、

場面やともに活動する人たちの特徴や趣向に応じて、役回りを変幻自在に変えていく存在・・・

(怪人20面相的な。専門的だと"複雑人モデル")

いかがでしょうか?

リーダーシップの定義や役割を知っておくと、「保健師さんがリーダーシップを!」という期待にもこたえられるのではないでしょうか・・・?

なにより大事なのは、私たち自身が「自分たちがリーダーシップの役割」をとる立ち位置にいる、ということを肝に命じて、日々立ち止まり、考察しながら着実に立ち回っていきたいですね。

また、従来型の垂直なリーダーシップをイメージしている方も多いかと思いますが、リーダーシップの定義では、必ずしも「垂直型」だけではないことがわかりました。正しく知識を得て学び、そして実務に生かす、を繰り返す。いつでも自身の成長に貪欲でいたいものです。



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