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【アルバム紹介】パラード / ザ・なつやすみバンド(2015)

こんにちは。
「毎日がなつやすみだったらいいのになぁ…」と思いますよね??私はそう思うので、ザ・なつやすみバンドのアルバムを紹介します!

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ザ・なつやすみバンドについて

2008年結成の4人組バンド。構成は、Vo.Pf.の中川理沙、Ba.の高木潤、Dr.の村野瑞希、そしてなんと、Trp.とスティールパン担当のMC.sirafu。え??スティールパン?……とにかくかなりユニークな構成ですね。アコースティックを基調にした柔らかいサウンドと、「季節感のあるエモ」とでも言える叙情的な歌詞、そしてそれを伝える優しく伸びやかなボーカルが魅力です。あとは、よくよく聴くと楽曲展開が無茶苦茶攻めていますが、それはこの後、アルバム紹介のところで。

ザ・なつやすみバンドといえば、「風の谷のナウシカ」のカバーなんかも有名。

残念ながら、今年2022年の4月に活動休止してしまいましたが、公式Twitterはたまに動いているので、まだまだ活動再開もあり得るのかも??
なお、レーベルはJVC系のSPEEDSTAR RECORDS。藤原さくらや星野源が所属しているところです。

スティールパンについて

さて、スティールパンについて少し。20世紀最後のアコースティック楽器とも呼ばれる、1939年に中米で発明された打楽器。ドラム缶を元に作られたのがルーツです。こちらのサイトが詳しいですが、とにかく見た目からは想像のつかない明るく倍音の豊かな音色が特徴。

 例えば、SMAP SMAPのコーナー、ビストロスマップの試食時のBGMや(日本のスティールパン専門楽団、Sunshine Love Steel Orchestraのカバー曲)、

こんな超有名曲でも、サビでスティールパンが使われていますね。

アルバム紹介「パラード」

お待たせしました、アルバム紹介です。
2015年発売の『パラード』は、ザ・なつやすみバンドのメジャーデビューアルバム。ちょくちょくと気になった曲をピックアップして紹介します!

とにかく、最初に全体をまとめておくと、①聴き入ってしまうようなメロディ、②破天荒であり得ない楽曲構成、③多彩な音色、④リズムから感じるラテンの香り、⑤これらをポップにまとめ上げるセンスの5つが特徴だと思います。

まずは、いきなり表題曲02.「パラード」から。冒頭、アンサンブルが始まりひと段落して、一旦無音に。すると突然、マーチのような軽快なスネアに合わせて歌が始まります。かと思えば、中盤から一気にテンポアップ、アウトロでもまた曲調が変わり……かなり不思議なポップソングに仕上がっています。注目すべきは、これを実験音楽ではなくポップソングにまとめ上げているそのバランス感覚。アルバム通してセンスが光ります。

続いて03.「(春)はどこへいった?」も。こちらも親しみやすくメロディックなボーカルライン、印象に反してかなり豪快なコード進行、サビ前の突然の転調、というかサビはどこだ?と思ってしまうような型破りな楽曲構成。それでも耳に優しいというのがすごい。こうした破天荒な曲を支えるのは、多彩な音色。ラッパやスティールパンに加え、05.「ユリイカ」では、冒頭からシンセやエレキも楽曲を彩ります。なお、多分にもれず、この曲も突然ゆっくりになり合唱パートが始まったと思えば、ラバーチキンの鳴き声とともにスピード感のあるCメロ(?)に入るなど、癖の塊です。

そしてお待ちかね、06.「S.S.W(スーパーサマーウィークエンダー)」。長めのイントロが終わると、終始裏拍基調のリズミカルなピアノの伴奏のもと曲が展開していきますが、半分くらいを過ぎたあたりから、本性を現し始めます。間奏でシンセが大暴れしたり、突然ゆっくりになったりしたかと思えば、「毎日がなつやすみだったらいいのになぁ…」のコールが鳴り響く謎パートに突入します。……うーーん、なぜ!?まぁ、でも毎日が夏休みだったらいいですもんね??とにかくしつこく繰り返しますが、これを耳あたりの良いポップに(ギリギリ)収めているそのセンスに脱帽。

優しいボーカルの声とピアノ、それに心に染み渡るメロディ、そして後半のラテン感のあるおしゃれな間奏が嬉しい07.「かぜまちライン」や、文字通りどんどん盛り上がっていく08.「ラプソディ」も聴けば聴くほどいい曲ですが、09.「鳥は舞い降りた」をご紹介。どこか懐かしい歌謡曲のような出だしですが、途中からリズムが乗ってくると、どこかフラダンスのようなグリッサンドで雰囲気が一気に変わります。こうしたジャンルレスな楽曲の数々が、ザ・なつやすみバンドの魅力ですよね。

10.「波」はかなり実験的な方に寄った曲。前半、ゆったりとした曲調もさることながら、コード進行が魅力的な曲だななんて呑気に聞いていると、中盤、歪ませたエレキの音を起点に急展開、かと思えば直ぐに映画のエンドロールのようなピアノ弾き語りに。なんだこれは。そうこうしているうちに、全くファンファーレ要素のない曲、11.「ファンファーレ」でアルバムは幕を閉じます。

終わりに

えーっと、アルバムを流しで聴いた時は耳あたりがいいと思っていたんですが、いざ記事を書こうと思って細かく集中して聴いてみると、ほとんどの曲が無茶苦茶な展開で掴みどころがないですね……(褒め言葉)。一応、アルバムの魅力を伝えられていたでしょうか。

とにかく、一生夏休みでいたい気分から、このアルバムを紹介しましたが、私の今年の夏休みについては、下記をご覧ください。え?訊いてないって??そんなこと言わずに、気合入れて書いたから見てくださいよ〜!


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