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「剣豪将軍義輝」を読んで。

 414回目です。φです。

 やっと借りてきた本、読破ー!700ページくらい。あとは後書きを読むだけです…!

 本を読み終わったときの「ああ終わっちゃった」という残念な気持ち、「いい本だった!」という嬉しい気持ち、色々と本は余韻をもたらすと私は思っています。

 もちろん映画やドラマ、漫画、ゲーム、なんでも余韻はあると思います。私は余韻を保ったまま後書きを読むのがすごく好きです。作者のこと、小説のこと、色々と明かされることがあって面白い。

 最初と最後のページ程、楽しみなものはない。まぁ、最初のページ読んで「あ、これ私の趣味じゃないな~」と思った本は手に取らないので、面白くて当然とは思うけれども(笑)

 しかしながら、久しぶりに700ページ読んだなぁ。歴史系だったら結構スラスラ読める気がします。背景とか大体知っているし。

 読んでいる最中、ずっとこの体勢で読むのもなぁ、と思って、筋トレしつつ読みました。プランクはさすがに大変でしたね!腕が!

 この本に費やした5時間弱、こんなにある人物の評価が私の中で変わるとは思っていませんでした。


 私が読んだ本はこちら。

 強そうな名前でしょー!かっこいいですね!わぉ感想が稚拙!(笑)

 義輝、知っていますか?さてどの時代の人でしょう。

 足利幕府、室町幕府の13代将軍:足利義輝です。結構地味ですよね多分。私は彼の逸話(?)で名前だけは知っているかな~というレベルでした。

 その逸話、本当かどうかは分かっていないのだとか。多分フィクションだと思うなぁ。本当であったらすごいけれども。

 逸話というのは、この将軍の最期の瞬間に関してです。暗殺を実行されるとき、彼は畳に名刀たちを突き刺し、刃こぼれするたびに使った刀をまた突きさして、別の刀で戦ったとか。剣豪将軍と言われた彼の最期に相応しいのかもしれない。

 刀とちょっと親しい(?)私としては、「畳に突き刺さないでー!刃が悪くなるでしょー!」と言いたくなるのですが。切っ先って結構脆かったりするので…畳は切れるけど刺すにはちょっと…なーんて思っちゃいます(笑)

 しかも、使った名刀は名刀中の名刀たち。今では国宝になったもの、御物になったもの、とにかく「この畳に刺さった刀たち、売ったらいくらでしょ?」という鑑定があったらすさまじいことになりますお値段。畳もびっくりすると思う。刺されているからそれどころじゃないかもですが畳さん。

 これが例え本当ではなかったとしても、誰か後世の人の創作だったとしても、私はそれだけその人物が、その逸話を持つに相応しい人物だったのだということだと思っています。本当に「あり得ない!」という内容だったら、多分今まで残ってはいないだろうし。誇張表現が行き過ぎたとしても、まぁそれだけ誰かの心に残って、伝わることができたくらいに愛された人物、印象に残った人物なんだと思う。

 特に、この将軍に関しては評価が高かったからこそ、この逸話が残ったのだと私は思います。足利義輝が生きたのは戦国時代に突入しているとき。歴史上、ほぼ幕府は力を失って形だけ存在するようなものでしたし、将軍なんてお飾りのようなものでしたし。

 歴史は大体が勝った側からのエピソードで描かれます。だとしたら、将軍:足利の彼は負けた側で、悪の立場です。悪にもならないのかもしれない。

 そんな立場の人物が、この逸話を持って今でも伝わっているのなら、それは相当なことだと思います。本当にすごい人だったんだろうなぁ。

 織田信長や斎藤道三、などなど名だたる名将たちも評価していたのだとか。この本によると。まぁ主人公だからねこの本の!(笑)

 歴史上の出来事は全てがノンフィクションではないのです。すべてがフィクションでもないのだけれど。それを考慮した上でも、エピソードや逸話が残るということは「その可能性があった」のだと私は思います。

 私は反三国志という本を昔読んで、数ある三国志の中でも気に入って買い揃えました。上下の2冊。

 他の三国志ではありえない武将の活躍があったり、歴史の順序が変わっていたりして、とにかく「私が知っている三国志じゃないけど、これもあり得なくはない!すごい!」と思ったものです。

 いつ読んだっけこれ。…中学生くらい?渋いな私(笑)

 これを読んで、歴史はすべてが真実ではないと悟ったものです。昔のことに関しては、今でも残っているものから説を考えて、時系列に一致させたり予測の下動機や発端を考えて、そして歴史の本として描かれる。

 「あれこの人すっごく悪役!」ということもあって、びっくりすることもあるのですが。私はそれはそれで面白いと思っています。視点が変わるだけで、英雄が極悪人にもなるのです。

 この「反三国志」、かなり古い本で本屋にはほぼ確実に売っていないと思うのですが、ぜひぜひ三国志に興味のある方は読んでいただきたいなぁ。ほんと、「反」なんですよ。

 さて、剣豪将軍に話を戻します。

 これはフィクションかなぁと思うのですが、彼が剣を極めるきっかけとなった人物との出会いから最期の瞬間、印象的でした。対照的な立場の人間が、それでも同じくらいに必死に剣の腕を磨く。そして最後は剣で戦うも、剣で終わることはなく。

 物語的には、このふたりの間で発生する、ひとりの女性への愛のことも触れてあるのですが、いやむしろそれがすべてに絡んでくるのですが、私はひたすら「剣豪」としてこの本を読みました。なぜって、私が恋愛系苦手だからですよぉぉぉ!!!

 なぞの立場で見てしまうんですよね、恋愛ものって。「若いねぇ…幸せになるんだよ…」となぞの立場です。色々あったら「ほらあんなこと言うからー!直接!さくっと!伝えなさい!」とか。私何者の立場なんでしょうね(笑)

 そんな私のなぞの立場に立って見るのは、例え歴史だろうが現代だろうがSFだろうが同じです。今回も然り。なので考えるのは破棄します。まぁ、最後は悲劇的な終わりでしたが、それでも良い記憶として残ったんじゃないかな、と思う。最期の潔さは、愛があるからこそ、だったのかなぁ。

 私はこの本を読んで、ひとつのことを極めること、そして何が人にとって大切か、人として素晴らしいとは何か。それらを考えるきっかけをたくさんもらいました。時代は違う、今は暗殺もないし剣豪になったからと言って日本をどうこうできるわけではない。ベースは違うのだけれども、それでも人は変わらない。

 フィクションはあると思う。ですが、私はこの人物に惚れこみました。こんな人になりたいね。器が大きい人ってこんな人なんだろうなぁ、と思います。

 まぁ、めちゃくちゃ長いけどね!700ページだし、2段組みの構成だし、文字数はすっごいことになっていると思います。でも、一気に読みたくなるほど楽しいです。おすすめ!

 戦国時代は戦国武将を通して好きになったけれど、幕府側で見てもこんなに面白い。歴史は学んでも学んでも奥が深くて、底がない。どの面から考えても新しいことを常に発見します。

 これは…私、また日本の歴史片っ端から漁り出すなぁ(笑)

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