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私と「ブレイブ・ストーリー」。

 456回目です。φです。

 昨日は結構に長い時間をひとりで過ごせて、素敵な方々とオンラインでミーティングもやって、とても楽しい日でした!

 …代わりに、本日は昨日の分の母親の長話に(強制的に)付き合うことになりましたね!そういう繰り越しは御免です!返品!

 時間とか返品できたらいいのにな、と時折思います。できないとは知っているけれども。誰にそもそも返すのか(笑)

 そんなこんなな中、現実逃避に私が大好きだった、そして今でも「これほどハマったものはない」と思う小説について考えていました。ほんと、ハマりました。DVDを初めて買ったのも、この小説。映画を観に行ったのも、友人と観に行ったのも、初めてだった。

 これをきっかけに色々と私の価値観が変わった気がするし、この小説が原動力になった時期もありました。

 そんな私一押しの小説、「ブレイブ・ストーリー」についてご紹介。


 同世代の方は知っているかもしれない。…うーん、同世代って範囲どうなんだろう。私は「これ知っていたら同世代!」みたいなもので「知ってる!」となった記憶がほとんどありませんので(笑)

 ドラマも観なかったし、ゲームもしなかったし、グッズ系(?)への興味もなく…ひたすら馬が好きで、習い事しまくってて、動くことで生きていたような子どもだったので。洋服もそこまでは興味なかったなぁ。着心地・色が最優先だったし。

 で、ブレイブ・ストーリーはこちらの小説のことです。宮部みゆきさんが著者です。

 上中下、の3巻で構成されています。私は一気に読んだ記憶が…どうやってこの本を見つけたかも覚えていないし、なぜ買いそろえたのかも不明。出会いを全く覚えていない、けれどもこの本に関して私がすごくのめり込んだことだけは鮮明に覚えています。

 この小説によって、初めて「同じ小説を好きになった人と、小説について話した」という経験を得ました。同じ塾・同じ学校の子です。そこまで仲良くはなかったような気がしますが、この小説をきっかけに話すことが増えました。

 どのキャラクターが好き、ここでこうなるのが最高。そういった話をしました。私にとって、すごく楽しい時間でした。味わったことがないくらいの。

 それで映画になるようだ、ということをその子に教えてもらって、じゃあ一緒に行こうよ、となって。グッズも買って、私にとってちょっと大人の経験をしたように思えました(笑)

 当時小学生だった私たちなので、親に送り迎えはしてもらったけれど、自分たちでチケットを買って、グッズを買って。なんだか大人になった気がしたんですよ。初めてのことが詰まっていたから、そう思ったのだろうと思う。

 それからしばらくして、DVDを初めて買った。4枚組の。…1回観たかなぁってくらいなのですが、多分明日か明後日私は観るだろう。どうしても思い出したい感情があるから。

 当時の感情をそのままに持つことはないだろうと私は思う。私自身が頑固すぎるがゆえにあまり変わらないコアの部分を持っているとしても、年齢も2倍になった、経験も倍以上した、そういった背景があるから。

 視点だって変わるだろう。このブレイブ・ストーリーの主人公は小学5年生、当時の私もほぼ同い年だ。今は、もうその年齢の人を私は「子ども」と呼ぶ。もし何かがあったら、私という”大人”に分類される人間は彼らを守る必要がある。そういった視点の違いが確かに存在する。

 まぁ、明らかに立場が変わってしまったけれど、それでもきっと私はこの小説によって再び得るものがあると思う。

 この小説には、平凡な日常、それが壊れてしまってからの日々、異次元での時間、そして異次元から戻ってきたことで変わった”日常”が描かれています。SFでありながらも、最終的にはSFではない。そんな「もしかしたら、あり得るかもしれない」と思える、そんな素敵な体験ができるのです。この本を読むと。

 異次元は存在しないかもしれない。けれど、違う環境で、必死になってひとつのことに向かって、その時々に出会う人たちによって成長して。そのプロセスは、きっと異次元でなくてもあり得るのです。自分が「これは異次元だ」と思えば異次元に成り得るし、「現実の世界だ」と思えば現実の世界です。パラレルワールドだと思えばそうだし、そうでないと思えばそうではない。そんな感じ。

 これを読んだ当時の私は、受験勉強真っ最中。勉強は楽しかったけど、元々は野生児…いや今もですが。野生児気質の私にとって、塾に缶詰め生活は堪えました。授業中何度「空が見たい…アスレチックに飛びつきたい…」と思ったことやら。あと人間関係が急にシビアになったり、妬みや恨み、嫉妬が点数次第では向けられる社会に嫌気がさしていました。

 余談ですが、小学生と言えど妬み恨みは持つようなのですよ…ほんと、「え、だって私勉強したから点数が良いの」なんて言おうものならハブられます。サラッとした人間関係を作っていた私にとって、そういった目を向けられながら一緒にいるというのは苦痛でしたね。人間、子どもも大人も変わりないのかもな、と今でこそ思います。

 さて、そんな中この本によって私は「そういう世界があるかもしれない」という気持ちで、自分を保てることができたと思う。もしかしたら、塾帰りに抜け道があって、…とか。クローゼット開けてナルニアの世界を探すような感じですね!あとフクロウから手紙が来ないかなぁと待つハリー・ポッターのような感じ。

 完全な「異次元の世界」を描いた物語だったら、きっと私はここまでハマり込まなかっただろうと思う。読んで「良い物語だった」、程度の感想だっただろう。

 異次元の後、主人公は自分の世界に戻ります。異次元に行く前と変わらない現実が待っています。彼はその現実に溶け込みまなければならなかった。

 けれど、彼は変わりました。異次元での経験を通して。その現実世界を受け止めるだけの成長をした。だからこそ彼は現実世界で再び笑えるようになって、歩みだした。壊れていたものが、ちゃんと新しい形になった。

 その物語だけでも当時の私を勇気づけるものでした。ブレイブ・ストーリー、そのタイトル通りに。

 このブレイブ・ストーリーが映画になったとき、当然ですが主題歌がありました。その歌もまた、私を勇気づけました。ずっと聴いて、今でも歌詞を覚えているくらいには好きです。アクアタイムズ、というグループの歌なのですが。

 「辛いとき、辛いと言えたらいいのにな。僕たちは強がって笑う弱虫だ。」が一番印象に残っています。辛いとき、言えたらいいのにね。言うことは難しくないはずなのに、どうしても言えない言葉だと思います。私にとってはね。

 もしご興味ありましたら、ぜひご覧ください。…お値段、もっと高かった気がするけどな…気のせいかな…ははは…

 内容の説明に書かれている、「これは、ボクの勇気のハナシ。」。これは信じてほしいな、と思います。

 私としては小説版の方がおすすめですが、なんせ3部作で長いので…さくっとでもいいから観てください、という願いを込めてDVDをご紹介(笑)

 かれこれ私がこの物語と出会って10年を超えました。それでも、私の記憶の中で最も勇気を与えてくれた作品です。

 人生早々変わらないかもしれない。でも自分が変わったら、変わる世界があるかもしれない。私は教えてもらいました。

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