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論文ができるまで

写真はオスロ。

今の仕事の話をしよう

今の僕の仕事の名前は、PhD candidate。
日本で言う博士課程の学生。
ノルウェーでは学生ではなく、仕事として認められていて給料をもらっていて年金等のシステムにも入っている。

何をするのが仕事なの

基本的には、研究をすることが仕事。
いわゆる研究者という立場だけれど、研究者と名乗るには博士が必要だと個人的には思う。
研究内容は人様々。
僕は疫学という病気を数える仕事をしている。
数が好きならできる仕事だと思う。

どうやって成果を出す

これが一番大事。
結果の出ない仕事はないと個人的に思う。
何か目標があってそれを達成するために行うものが仕事。
研究者たるもの、英語での査読を受けた論文を発表するのが一番の仕事。
医学を含めて科学だと基本英語の発表が大事だと思う。
医学以外はよくわからない、専門外だから。

査読って何を意味する

査読とは、著者達以外の研究者がその論文を評価すること。
要は、著者達が勝手に言っているだけを防ぐために外部の目を入れて評価しましょうよ、ということ。
査読を他の研究者が(ボランティアで)やって、その返事を著者達が書かなければいけない。
結構これが大変。
これで査読者を納得させれなければ、その雑誌は提出(投稿)された論文を拒否する。

拒否されたらどうなる

実は論文を提出するプロセスを書いていなかった。
なので最初からまずはおさらい。
まず最初に研究をしっかり行い、論文を書き上げるのが大事。
書き上げたら、次にどこの雑誌に提出してみるか考える。
雑誌って星の数あるんだけれど、権威のある雑誌もあればゴミクズみたいな雑誌もある。
自分のやった研究の意味やインパクトを考えて、レベルを考える。
それで雑誌に自分の論文を提出する。
この作業が投稿と言われる。

さっきの査読にかかるか

では提出したら、全て査読というチェックに回るか?
お察しの通り、雑誌のレベルに達しなければ直ぐに編集者から断られます。
これがeditor's kick、編集者によるキックと言われる。
キックをされたら、次の雑誌に投稿する。
編集者にまあ見てやろうかと思われれば、査読に回る。

編集者から査読者へ

編集者は、その論文をしっかりと評価できる人達に任せる。
評価できる人たちのことが、reviewer、査読者という人たちで研究者。
ちなみに編集者はもちろん研究者。
この査読という作業が大体一ヶ月くらいで終わる。

査読が終わったら評価

査読の評価後、編集者にまた渡る。
そこで査読者の評価が悪ければ、ここでも拒否をされる。
そこまで悪くないなら、ここで著者に返される。
ここでmajor revision, minor revisionという二つの分類に分かれる。
要は、メッサ直せよ、or まあ少し直すんだの二つになる。
大体はメッサ直せよが来ることが多い。

査読を返す一大仕事

著者は頑張って査読者に言われたことに対するコメントや対応をする。
分野によるけれど、期間は一ヶ月からもっと長い時も。
頑張って返し終わっても、編集者や査読者を納得させれなければ再度査読のループに入る。
最悪は拒否されること。

編集者を満足させれたら

やっと掲載が決まります。
これが所謂acceptというもの。
でもここから雑誌に載せるお金を払ったり、掲載時のフォーマット調整だったり微妙な仕事が発生する。
それなりに大変なプロセス。

論文ってそんな大事?

正直、論文で評価するしかない。
外部者の目を入れて嘘を言っていないかを確認するのがプロセス。
日本では”伝統的に”論文を捏造したりする人たちがいるもんだから困ったもんだ。
これも論文至上主義の弊害なのかもしれない。
論文が出ているか出ていないかで結構シビアに評価をされる。
そして、その論文がどの雑誌に載っているかで評価もだいぶ分かれる。
例えば、Nature, Science, the New England Journal of Medicine, the Lancet等のビッグジャーナルに載せると大体教授コースじゃないだろうか。

なんか大変そうじゃん

大変なんです!
アクセプトをもらった時の感動が忘れられず、中毒のように研究をしてしまう自分がいます笑
やはり世界で自分しか知らないことを世の中に出して、更に評判の良い雑誌に載せれた時の快感は素晴らしいもの。
一方で苦しいことばかりだし、時にやっていることを夏休みの宿題とか言われたりする。
でもやっぱり世の中にないものを創り出していくのは楽しい。
給料だって社会的地位だって全部日本に捨てて来て、ノルウェーで1から全てを始め直しだけど、それくらいしたいことだったと分かれば良いと思う笑

研究したい人が増えれば

そんな思いで書きました。
そしてつい二日前に日本でやっていた仕事が、非常に良い雑誌にアクセプトされた。
馬鹿にされたことだってあったし、研究内容を説明しても???と皆さんの顔に出ていた研究だった。
でも、頑張って地道にやってきた結晶が認められた!
そして、この仕事は世の中を変える力があると思う!
今回のアクセプトは、上司を含め多くの同僚や元上司達を非常に喜ばせてくれた。
さあ、次はPhDの仕事で良い研究をしてみようじゃないか!




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