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双子の星


新編 銀河鉄道の夜」を読んでいる。
昔にも銀河鉄道の夜だけ読んだことがあったが、文体が難しかったためかあまり頭に入っていなかったように思う。

しかし、今回改めて読み返してみたら、全く普通に読めたから不思議だ。

ひとつずつの短編は短いはずなのにみっちりとしていて、ひとつ読む度にふぅ、と息をつきながら読んでいる。

今回は1つ。

双子の星。

内容に触れますので、未読の方はご注意ください。


双子の星

名前からしてふたご座の話かな、と思っていたら違った。

どうやらモデルは、こと座のε星という二重星らしい。

最後にチュンセ童子とポウセ童子が、ばらばらになったなまこにも慈悲をと願った姿にじーんとした。なんて優しいんだ。

人の行いは見ているものだなあとも思った。
2人の場合はもちろん善い行い。

どうしようもない蠍のことも見捨てずに、肩がちぎれそうになっても担いであげた。

怪しすぎる彗星も、最後には信じてついて行った。

海の底に沈んでも、ヒトデになると腹を決めて、役に立ちたいと申し出た。

どんなときもりんとしていて、背筋が伸びた。

チュンセ童子とポウセ童子というお名前もまたかわいい。

どういう由来なんだろう。


考察をお借りした

他の方の考察も読んでみた。

ツインレイ的解釈『双子の星』宮沢賢治

ぽんぽこ合戦の双子のモデルにもなったと読んでびっくりした。ずいぶんやんちゃになられている。

ヒトデも元はみんなお空の星だった。
ということは性善説的なものなのだろうか。
発想がなんだかかわいくてきゅんとした。

星は、実際は星の形ではないけれど、星の形がそのまま空から落っこちてきたら素敵だ。

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二元性

先の考察でも度々出てくる「二元性」というキーワード。
二元性とは。

に‐げん【二元】

 もととなるものが二つあること。
 物事が二つの異なった原理から成り立つこと。また、その原理。
                                           ─  「二元」デジタル大辞泉

詰まるところ、一つの事象に対して二つの原理があることらしい。
光と闇とか。

例えば、双子は本来そっくりなものかもしれないが、対になるという意味では、性格が真反対に描かれることもままある。

なんで主人公を双子にしたのだろう。
二重星なんて星があるのか、と関心してモデルにしたのか。はたまた全く別の理由か。

インスピレーション

ところで、星にインスピレーションをもらうという意味では、私は初めて見たオリオン大星雲が忘れられない。

ものすごく大きな望遠鏡で見せてもらった、ピンクとグリーン(に見えた)の羽を広げた鳥の形。

そしてそこから思い浮かべるのは、BUMP OF CHICKENの星の鳥。
色は違うが、そう思えば形も似ているような気がしてくる。


そんな風に、宮沢賢治も星を見ながら色々なことを考えたのだろうか。

追記:本文の注釈を見逃しておりました。平成元年発行の新編によるものですが、本書によると、双子の星のモデルは「さそり座のλ(ラムダ)星とυ(ユープシロン)」とのことでした。

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