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ゼロコロナ政策下の香港でコンテンツ展示してきた話 前編

※2022年9月時点の情報です。最新の情報ではないので、予め御了承ください。

2022年9月、未だ世界では新型コロナウィルスが猛威を振るい、人々の生活スタイルは大きく変わりました。各国は人の流入を制限し、行動に制約を設けました。

そんな世界情勢の中、我々ピラミッドフィルム クアドラ(以下:クアドラ)は、仕事で機会を得て香港へ行ってきました。今回は、プロジェクトメンバー3名で行った香港出張の様子を、プロジェクトマネジメントチームのマネージャー清水龍輝がレポートします。

今回、香港で楽しむことのできる体験装置を開発しました。詳細は割愛しますが、日本のメーカーが、香港市場を狙い、現地の方をターゲットとした商材をより深く広く親しみをもってもらうコンテンツです。そのコンテンツの、企画から筐体の制作、そして設置までをクアドラが担当しました。


準備

さて、話を香港出張に戻します。
案件の開始時から私は香港への出張を覚悟していました。近年、クアドラが案件の一環として海外出張することは減っており、私自身は未経験のことだったので、うっすら緊張をしていたことを覚えています。

以前、アメリカへの視察を計画した案件もありましたが、ちょうど新型コロナウィルスの流行が始まり、中止になった過去の無念もあり、今回の意欲は十分、あとは世界情勢がどうなるか、そんな状態で案件が進んでいきます。

9月の中旬に設置をすることは案件開始時から決まっていたので、出張の準備は8月の上旬から始めました。調べていくうちに、だんだんとわかってきたことがあります。それは「現地事情は秋の空の如く変わる」ということ。香港政府と日本政府がそれぞれ入国、出国に際して、様々な水際対策を行っており、日々情報が変わっていたのです。これでは誤った情報に基づいた準備を行い、最悪現地に行けない、行ったとしても不測の事態に襲われるかもしれない、さらにはそもそも情報収集に非常に手間取ってしまうので、一個人での調査に限界を感じました。

そこで、総務へ相談です。総務はカンヌライオンズ派遣の手続きなど旅行代理店とのつながりもあります。早速、総務へ相談し、旅行代理店への問い合わせを始めてもらいます。

ところが平素からお世話になっている旅行代理店では香港の最新情報がわからないということが判明しました。その道のプロでも、昨今の流れをすべて把握するのは難しいということですね。そこで違う旅行代理店へ問い合わせを行い、情報を提供してもらいました。

準備の過程でいろいろとわかりました。それは大きく3つ。

  1. アプリのインストールや、ワクチンの接種証明書の用意など、日本で準備しておくことがあること

  2. 隔離期間があること

  3. 隔離期間が終わってもすぐ自由に行動できるわけではないこと

実際の時系列に基づき、順番に振り返りましょう。

1. アプリのインストールや、ワクチンの接種証明書の用意など、日本で準備しておくことがあること

日本から出るために必要なものと、香港に入国するために必要なものが異なります。

【日本から出るために必要なもの】

  • パスポート:当たり前ですが。

  • ワクチン3回目接種証明書(書面or電子):ワクチンを3回受けていることが前提条件です。

  • 隔離ホテルの予約:香港で最初に隔離されるためのホテルは日本にいるうちに予約が必要です。

【香港に入国するために必要なもの】

  • オンライン健康申告:香港用の健康申告です。健康です、と伝えるためのものですね。

  • PCR検査の陰性証明書:出発予定時刻の48時間前に受診する必要があります。ここで陽性になったらどうしようと思いましたが、杞憂でした。

【やっておくと良いもの】

  • 安心出行(LeaveHomeSafe)登録:後述します。

とまあ、いろいろな準備が必要です。うっかりワクチン接種を忘れたり、直前のPCR検査で陽性となるとまず出国できません。このあたりは、日本と香港の両国がそれぞれ定めていることが複雑に絡み合っています。今後、解除や簡素化される可能性もあるので、最新の情報を収集することが肝要です。

2. 隔離期間があること

さて、そんなたくさんの準備を終え、いざ出発です。
成田空港に行くと、たくさんの外国人がいました。私は一度だけ海外に行ったことがあります。その時に比べると少ない気もしますが、この御時世ということを考えると意外と多く感じます。

長い列を並び、いざ出国の手続きです。ここで先述の接種証明書や隔離ホテルの予約情報などを提示します。ここでも、手続きを担当してくれた方も古い情報を持っているなど、少し手間取る部分がありました。航空会社の方も各国の最新情報を常に持つことは大変だと思います。そもそも新型コロナウィルス流行以前にはなかった作業がとても増えて、それだけでも大変なのでしょう。

様々な手続きを終え、いざ出発です。香港行きの機内はすいており、周りを見る限り1割強程度しか埋まっていないように見えました。季節、時期の問題なのか、わかりませんが、香港側の水際対策が厳しくまだ観光に不向きなこともあるかもしれません。フライトは4時間程度であっという間です。

香港に到着すると、まず空港内でPCR検査を受けます。飛行機から降りた瞬間からすべてのルートが決められ、入国者は決められた手順を踏まないと空港から出られない仕組みになっています。PCR検査のあとは、入国審査、手荷物受取と続き、それらを終えると、政府手配の車で隔離ホテルまで直行します。ホテルでは、裏口から入り、検温や細かい説明を受けたあと、各自部屋まで直行します。空港とホテルのスタッフは英語を使って話すことができます。空港内では英語の案内表示があふれかえっており、私の大学入試レベルのリーディング、リスニング、トーキングでもなんとかなりました。

ホテルの部屋に入ると、そこからは部外者との接触はできません。ひとまず荷解きをした後は、出張メンバーでZoomにつなぎ、もらった説明書を読み合わせ、やらなければいけない検査の認識合わせや今後のステップを共有しました。

ホテルの部屋は広くてキレイです

隔離中は本当に隔離されます。比喩としての隔離ではありません。決まった時間になると部屋のドアが外からノックされ、開けてみると食事が置いてあります。置いてくれた人は見当たりません。それくらい隔絶された空間で3日間過ごします。

ホテルの食事は温かいものからサンドイッチまで多様です

ホテルに隔離されている3日間は、毎日キットを使って検査をします。綿棒を用いた簡単なもので、指定されたフォームへの入力も含めて10分程度で終了します。3日目の朝には、部屋に検査員が来て、一段階手の込んだ検査をします。いわゆるPCR検査ですね。このPCR検査で陰性となれば、晴れて隔離終了です。

3. 隔離期間が終わってもすぐ自由に行動できるわけではないこと

毎日ホテルの窓から眺めていた景色に実際に降り立つことができました。たったの3日間の拘束でしたが、とても開放感があります。家に引きこもっているのとはわけが違いますね。

ホテルの目の前にあったコンビニエンスストアで早速飲み物を買ってみました。簡単なところから購入体験をしておこうという狙いと、どういったものが品揃えされているのか見てみたかったというのもあります。後述しますが、本当に日本の飲食チェーン店や製品が街にあふれています。ありがたいことです。

3日間の隔離を終えると、自分たちで手配したホテルへ移動です。地下鉄に乗って2駅移動します。ちなみに、オクトパスカードという香港の交通機関並びに店舗で使えるICカードを購入したかったのですが、成田空港で両替した金額では賄えませんでした。150香港ドル程度するので、人数に応じて余裕をみて両替しておくと良いと思います。

のちに手に入れますが、地下鉄や路面電車、路面バスに加えて、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、飲食店でも使うことができ、本当に便利なカードです。異国の硬貨でワタワタする必要がなくなります。

非接触型決済システムの先駆けだそうです

3日間のホテル隔離を終えても、すぐに自由になれるわけではありません。制約付きの生活がさらに7日間続きます。

事前に登録していた安心出行というアプリは渡航者の隔離進捗及び行動履歴を見ることができます。最初のホテル隔離3日間は赤い画面が表示され、続く7日間は黄色で表示されます。この7日間は、スーパーマーケットやドラッグストア、飲食店でのテイクアウト及びそれらに伴う移動をすることはできます。しかし、イートインや例えば美術館などの娯楽施設では入口でアプリを掲示することが求められ、黄色い状態では入ることができません。

ホテル隔離3日、さらに各自での制約7日、計10日間の隔離期間中の検査で無事に陰性であり続けると、晴れてアプリが青い画面になります。この青い画面になると行動が無制限になります。各飲食店では必ず安心出行のQRコードをかざすことが求められるため、文字通り、陰性者たちは安心して外に出ることができます。

ちなみに7日間の制約、私はあまり苦になりませんでした。テイクアウトに対応している飲食店が多いので、食事に困ることはありません。スーパーマーケットなども出入りできるので、買い物をする楽しみもあります。深水埗(シャムシュイポウ)という、日本でいう昔の秋葉原のような位置づけの電気街はとても楽しかったです。案件に必要な機材の買い出しで3度ほど行きましたが、屋外に雑多に広がる露店に加えて、一番大きな黄金電脳商場というショッピングモールの中には、ゲームや家電、細かいパーツなどのお店がひしめきあっていて、歩くだけでもワクワクします。

見覚えのあるデザインの看板

かくして、隔離を終えると、自由な香港ライフを送ることができます。
ここから先は、テーマごとに振り返ります。 少し長くなるので後編としてお楽しみください。


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