あきな奥様ストーリー②
数年前に先立って行ってしまった妻との関係は、良好な方であったと思う。
毎日顔を合わせて食事をし、たまに一緒に出掛け、大きな喧嘩もすることなく、何十年も一緒に過ごした。
そんな彼女が先にこの世を去ってしまい、特にこれといった趣味もなかった私は、なんとなく味気ない毎日を過ごしていた。
友人が全くいないわけではないのだが、気軽に会って遊べるわけでもなく、正直寂しかったのだ。
人は恋しかったが、変に遠慮してしまいがちな性質の私は、新しいコミュニティの中に入って行って、自分から話をしにいけるほど社交的でもなかった。
そこで思い至ったのが、デリヘルという選択肢だった。
六十も過ぎれば性欲も枯れ気味で、そういうことが目的というよりは、ただ人と――女性と遊びたかった。
せっかくなのでいかにも『内緒の関係』という雰囲気が楽しめそうな、人妻の雰囲気を売りにした店を利用することにした。
特に金のかかる趣味もなく、金だけは余っていたので、一番いいクラスからこれだと感じた女性を選んだ。
そうして選んだのが、あきなさんだった。
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