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プーランク/ナゼルの夜会

性格小品集といえるでしょう。各曲の登場人物の特徴や言動に思いを巡らせるのがとても楽しい作品です。

前奏曲
カデンツ
変奏曲
1. 気品の極み
2. 手の上の心臓
3. 豪放と慎重
4. 思考の一貫性
5. 口車の魅力
6. 自己満足
7. 不幸の味
8. 老いの警報
カデンツ
フィナーレ


1930年に始まったスケッチから6年、37歳の時に完成した作品。
フランスのナゼルに住んでいた大好きな「リエナールおばさん」が作曲中に亡くなり、彼女との思い出に捧げられた。


この作品の中心となる変奏曲は、主題に基づく伝統的な変奏はせず、夜会でピアノの周りに集まった様々な友人たちをプーランクが即興的に描写する。
彼はそれらを「肖像」と呼び、

“ 序奏とフィナーレの間に置かれたそれらの肖像が、夜、窓の開かれたトゥレーヌ(ナゼル)の客間での遊びを思い出させるかもしれない、と期待している。”

と楽譜冒頭に残した。


プーランクは生粋のパリっ子で都会人、そして知性とユーモアに富んでいた。
作中にはタイトルと曲想がミスマッチするような肖像も登場し、彼ならではの「皮肉」も楽しめる。

ちなみに、第2変奏のタイトル「手の上の心臓」とはフランスの古い慣用句で、ハートを持つ手を差し伸べる、という例えから思いやりのある広い心を意味する。

フィナーレに関しては作曲者自身が「自画像の一種」と述べている。
夜会の喧騒から夢の中へ誘われ漂うが、時を告げる鐘の音でプーランクは目を覚ます。



2019.01.30 東京藝術大学 ランチタイムコンサート2019 in 表参道〈音楽学部1年生によるピアノジョイントリサイタル vol.6〉より(一部加筆)
於/カワイ表参道 コンサートサロン パウゼ
出演/齋藤寧樹&佐伯日菜子


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#解説 #コンサート #プーランク
#フランス

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