見出し画像

「除草剤」
黒実 音子


穏やかな日差しが暖める
秋の小道で、
教会の男達が坂を登っていく。

この道には
先日まで青々とした
豆(ファバッシ)のツタが繁っていたが、
今日は両端に
殺害された死体の山(シャルニエ)が
積み上げられている。

おお、我らが人類の友、
最高の相棒、除草剤よ!!

我々は日々、
命を打ちのめ(アバッチ)し、
殺し、
その躯を土壌に積み上げる。

ああ、殺害された屍に囲まれ、
死者の中で
私達はかろうじて息(ていこう)をする。

腐葉土に死んだ血を流し、
その血で蚯蚓(ランビチナ)や
フランス語を喋る土壌細菌は育つのだ。

レジスタンスの男達が駆けていく。
思想は病気の様に蔓延する。
除草剤は命(あがき)を次々に殺す!!

そうした小道で我々は言語を育て、
涙を流す事もなく、
この世の本質が喪失と殺害だと知る。

フランス語は
喪失を語るのに相応しい言葉だ。

それは墓石に添えられ、
死んだ抵抗者の熱情に捧げられるが、
道に打ち捨てられた枯草(したい)は、
今日も静かに死んだ気高さと、
永遠の調和との
和解の歌を歌っている。







【1000視聴突破ありがとうございます♪】
「墓の魚」オーケストラの
映画の様な配信コンサート・第一弾
「死んだ珪藻とマキシロポーダのミサ」
こちらで公開中です↓↓↓

◇◇◇楽団公式サイト◇◇◇

◇◇◇「墓の魚」の音楽動画(ちゃんねる登録してね)◇◇

◇◇◇Twitter◇◇◇

https://twitter.com/polilla_de_fe


この記事が参加している募集

自作の詩による詩集「沼地の聖書」(ハードカバーによる分厚い豪華本を予定)を出版する為のサポートを募集しております。ぜひ、よろしくお願いします!!いただいたサポートは詩集の費用にさせていただきます。