ペトルーシュカ

当面、聴いたCDの感想を載せます。情報薄弱すぎてパソコンで書いたものをスマホに送れない…

ペトルーシュカ

当面、聴いたCDの感想を載せます。情報薄弱すぎてパソコンで書いたものをスマホに送れないので、そのための寄港地としての利用となりますが、これも何にかの縁だと思いますので、どうか、よろしくお願いします。

最近の記事

Little Simz - Sometimes I Might Be Introvert

冒頭のギャングスタな感じとか、続くスウィートなフィメール・ボーカルをフィーチャーする手法は、まんま00年代初頭のヒップホップ界隈の空気感なわけで、彼女自身、94年生まれで、それより以前の音楽についてはあんまり詳しくないとどこかのインタビューで語っていたと思うけれど、マーヴィン・ゲイやEW&Fやロイ・エアーズらのレアグルーヴな雰囲気の横溢したこのテクスチャーは、たぶん直接それらから持ってきたわけではなくて、もっと現実的な近さの過去、20数年前とかに、メアリー・J・ブライジとかコ

    • À la Haydn(ⅰ)

      6月の「父の日」に因んで、少々遅れ馳せながら、 パパ・ハイドンのアンソロジーを編んでみようと思う。と、言ってもただの選集ではない。ちょっとした仕掛けをした。題して"ア・ラ・パパ・ハイドン特集"ともいうべきものだ。 CD1枚分で、ちゃんとお手製のレーベル・ジャケットも作成。画像は海外の音楽祭のサイトから拝借したものをトリミング加工しただけだけれど、、、 さてさて、ドビュッシーには、有名な《ラモー讃》があるが、そのハイドン版もあるのをご存知だろうか? 1909年のハイドン

      • 『大聖堂の殺人』 或いは こころのカテドラルで魂の可能性をひとつひとつ暗殺してゆくこと

        —— 森で笛を、屋内でヴァイオリンを奏で、 水上を流れる林檎の花びらを愛でることも... "すべては過去の話だ... だが過去は蘇り、 冬の中で新しい春が目覚めた... 過去の春の話だ... 人の人生の時間を 過去に戻すことはできない" 誘惑者は云う、 "ご主人さま、かつてと同じように、新しい日々にて あなたにお仕えしますよ" 20世紀イタリアの作曲家、イルデブランド・ピツェッティのオペラ、『大聖堂の殺人』第1幕からの引用だ。中世イギリスに実在した大司教、トマス・ベケ

        • 東欧諸国のクラシック音楽の話 その⑤ 国民楽派とは? チェコの場合ⅱ 〜イギリスのドヴォルザーク

          東欧諸国のクラシック音楽の話 その⑤ 国民楽派とは? チェコの場合ⅱ 〜イギリスのドヴォルザーク "ナターリア!" ああ、その名前は、アンドレイの父や兄の名でも、うるわしい祖国の名前でもなかった! コサックの兵隊の長ブーリバの次男、アンドレイは、彼らの大地をおびやかすポーランドを識るために、キエフへと留学するが、そこでこともあろうかものがたりの常套句で、敵国の令嬢と恋に落ちる。 二重スパイの末路、戦火の迫るのを知ったアンドレイは、恋人を護るためにポーランドへ寝返り、祖国

        Little Simz - Sometimes I Might Be Introvert

          聖ジュヌヴィエーヴの丘 教会の鐘

          ー さらに安全な他の哲学的進路を・・・ 昨夜はだいぶ雨が降って冷え込んだ。例によって極く小音でラジオのクラシック音楽番組を流していたが、軒や夜の庭を打つ冷たい雨音がなにやら壮絶で、いつにも増して恐れおののき乍ら夜は更けた。ふと、「ラルース音楽辞典」のマラン=マレの頁にひいてある、ティトン=デュ=ティエの「パルナッスス・フランセ」の記述を思い出した。 ルイ14世の宮廷音楽家のマレはその修行時代に、師であるサント=コロンブが、真夏の日に、庭にしつらえた板張りの小部屋に篭ってヴィ

          聖ジュヌヴィエーヴの丘 教会の鐘

          ギルト

          rとiとは幼なじみだった。姉妹のように仲が良かった。高校2年の夏、rが不意に学校を中退して蒸発した。上京してガールズバーで働いていると風が噂した。ちょうど同じクラスのsとiが付き合っているらしいというニュースが学校中を駆け巡った直後だったので、三角関係がもつれ、永遠と思えた友情にもついに亀裂が生じたんじゃないかと誰かがまことしやかに囁いた。s君カッコいいもんね、二股かけていたらしいよ? いや実はiちゃんが横取りしたんだって! そんな尾ヒレをiは放心したように受け入れていたとい

          クリスマスにイルミネーションを見に行く 第一幕

          槇 真理...槙家の母。女手一つで二人の子を育てている。 槇 琉生男...真理の従弟 槇 一葉...真理の子 槇 紗來...一葉の妹 第一幕 槇家のリビング クリスマスイブ。北海道の大学に通っている琉生男が朝一番の便で帰省して一葉たちを訪ねてきている。一葉が買い物から帰ってきたところで幕が上がる。 一葉 帰りにブックオフに寄ったんだけど、そこでもクリスマスソングが流れていて閉口したよ。漫画本を立ち読みしている彼らに、あんなのは関係ないだろうに。 紗來 それは偏見。わか

          クリスマスにイルミネーションを見に行く 第一幕

          彼女からの電話がない夜に

          そういえば、先月に隣り町の公園にハロウィンのイベントに行った時に聴いた、正しくスタンダードな選曲のジャズ・ライブで、俄かに再評価の機運が高まったのか、《IT COULD HAPPEN TO YOU》、思いのほかいろんなアルバムにはいってるのがやたらと目につく。ジューン・クリスティの代表作にもはいっているし、YOUTUBEでは、キース・ジャレットのライブ・バージョンも視聴できる。ケニー・ドーハムがジャッキー・マクリーンをむかえたものや、ブルー・ミッチェルといった、通好みの奏者の

          彼女からの電話がない夜に

          エチュード シンフォニアⅰ秋の詩

          TOKYO-FMで早朝に流している"SYMPHONIA"という番組はなかなか好い。am6:00までやっているので、以前は、日によっては最後の15分くらいを車の中で耳にすることがあった。 その頃は、早起きの朝は5時半に部屋を出て車に乗り込み、途中のコンビニエンスストアで朝食とあたたかい缶コーヒーを買い込み、ゆっくりとめざめ、体をあたためたものだった。車窓から枯れ葉や香り立つ沈丁花がしらじらと、見えはじめていた。 そんなとき、ラジオからクラシック音楽が聴こえて来ることがあった。

          エチュード シンフォニアⅰ秋の詩

          Moments Musicaux No°8

          Orfeo ed Euridice/マイケル・チャンス(カウンターテナー) ナンシー・アージェンタ(ソプラノ) シュテファン・ベッカーバウアー(ボーイ・ソプラノ) フリーダー・ベルニウス 指揮 シュトゥットガルト室内合唱団 ターフェルムジーク・バロック・オーケストラ 昨日はホームの研修の一環で、移送サービスの講習を受けてきた。昨日が座学で、来週が実技。都合2日間の受講で移送サービスの資格が取得できる。 おとといの日曜日の福祉用具と、もっともこちらは公休を利用しての実費だが

          Moments Musicaux No°8

          Moments Musicaux No°7

          Orphee Aux Enfers/マルク・ミンコフスキ 指揮 リヨン歌劇場管弦楽団&合唱団 他 あぁ、もうこんな時間に! 夜勤明けで帰ってきて、とりあえず撮り溜めておいた昨日の大相撲の全取組を、遅い朝食を摂りながらみていたのだが、相撲観終わって、あらかた食べ終わって、久方ぶりにDAZNを起動して、今朝のマンCのチェルシー戦を観始めたあたりから既にうつらうつらして、デブルイネが点取り返した場面はハッとして巻き戻してチェックしたのだが、次に気がついた時にはもう後半始まってい

          Moments Musicaux No°7

          Moments Musicaux N°6

          フォーレの夜想曲集/ジャン・ドワイヤンのピアノ 誰にでも、どんな日にも、夜は来て、それは有意義なひとときでなければ、とおもう。  それは、静かな瞑想の時間であったり、やさしげな語らいや、夢見るようにたゆたうためのものだ。  フォーレの夜想曲を第1番から第6番まで聴くと、たとえばジャン・ドワイヤンの演奏なら45分足らずで、そのすべてが、…主に瞑想へと収斂(しゅうれん)されて、順繰りにゆっくりと立ち表われては消えてゆく。  ぜんぶで第13番まである夜想曲集のうちで、第6番までを

          Moments Musicaux N°6

          Moments Musicaux N°5

          モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番“トルコ風” Vn ギドン・クレーメル/アーノンクール指揮 ウィーン・フィル  オレンジ・ペコーにシナモン・スティックを折ったものを少々、ゆっくりと注ぐ熱湯に茶葉が急須の中で廻るように、今朝が動きはじめる。  モーツァルトの旋律も、宇宙を周遊する遊覧船のように水際立ってすすむ。  こじんまりとした小宇宙の片隅で、淹れたての紅茶の蒸れる数分を待つ。人生はモーツァルトのようにのびのびとはすすまない。彼のようではなくてもそれなりに、きっと波

          Moments Musicaux N°5

          Moments Musicaux N°4

          シェーンベルクの“月に憑かれたピエロ” ピエール・ブーレーズ指揮/イヴォンヌ・ミントン歌唱  月にしっとりと照らされたぶどうの房からしたたる夜露のような潤いに満ちた音色、とでもいおうか、ともあれ、一聴、なかなかにおどろおどろしい音楽ではある。  歌とも、語りともつかない女声に、フルートとピッコロの持ち替え、バス・クラリネットそれに、ピアノや弦楽器などが絡んでゆく。  急に冷え込んだ中秋の名月のころ、ふと手持ち無沙汰になって夜空を見上げても、曇天で月もない。伝えるべき何物か

          Moments Musicaux N°4

          Moments Musicaux N°3

          ヨハン・パッヘルベルの“音楽の愉しみ” ロンドン・バロック  長調の愉しみ。長調と短調の長調のことだ。パッヘルベルの“音楽の愉しみ”という曲集と、その他の5声、ないし4声のパルティータを交互に組み合わせて、最後に有名な“カノンとジーグ”を配したこのアルバムの聴きどころは、キリリとした弦楽そのものの音色が至極ドライであるにもかかわらず(イギリスの古楽器グループ、ロンドン・バロックのパーソネルには、アンドルー・マンゼの名前もみられる)、ゆるゆると弛緩を許してくれる楽想の好い意

          Moments Musicaux N°3

          Moments Musicaux N°2

          バルトークの2台のピアノと打楽器のためのソナタ ラベック姉妹etc...  開放的な青空を感じる。乾いた風が吹いているかもしれない。ヴェーグSQの演奏するバルトークの弦楽四重奏曲を第1番から順番に聴いて、そのあとに、第5番(1934)と最後の第6番(1939)の間の時期に当たる1937年に作曲されたこの作品を続けて聴いた。鋭利な情念の塊を叩きつけるように脈打つ弦楽の調べにくらべて、あつくもつめたくもなく飄々(ひょうひょう)としたたたずまいで、ひとつひとつ、無言で音を置いて

          Moments Musicaux N°2