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ペットフード基本の『き』 ダイエット用フードの基本


はじめに

冬は、ねこさん・わんちゃんの運動量が少なくなりがちな一方で、食欲が旺盛になります。
ということは、ねこさん・わんちゃんは冬には太りやすくなります。

太ってしまうと下部尿路疾患などのリスクが高くなってしまいますので、ねこさん・わんちゃんを太らせないように気をつけてあげてください。

※ 「冬に気をつけること」について月額マガジンで詳しく解説していますので、気になった方はぜひお読みください。

今回の記事では、ねこさん・わんちゃんの肥満の予防のために、あるいは、太ってしまったねこさん・わんちゃんの減量のためにダイエット用フードを選ぶときの基本的な注意点について解説します。

この記事の中では、とくにことわらない場合、「ダイエット」という言葉を「減量」の意味で使います。
また、「カロリー」という言葉を「エネルギー」の意味で使います。

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◾️「○○ダイエット」という名前でも、「ダイエット用フード」とは限らない

ペットフードの中には「○○ダイエット」という名前の製品があります。
でも、ここでいっている「ダイエット」は、英語の「diet」の本来の意味である「食事」という意味です。
ですから、「○○ダイエット」というのは「○○食」というくらいの意味で、必ずしも減量のための、いわゆる「ダイエット用フード」とは限りませんから気をつけてください。


◾️普通のフードでダイエットしない

ねこさん・わんちゃんが太ってきてしまったときに、今まであげていた「普通のフード」の量を減らしてダイエットするのはやめてください。

1日にあげるフードの量は、ねこさん・わんちゃんが1日に必要とするカロリーをもとにして決まります。

普通のフードは、標準的な体重のねこさん・わんちゃんが、今の体重をキープできるだけのエネルギーを取ることを前提として設計されています。

給与表に書かれている「給与量(グラム)」は、そのフードを給与表どおりにあげると、今の体重をキープすることができる量です。
そして、その量のフードを食べると、その体重のねこさん・わんちゃんが必要とする栄養素をバランスよく取ることができるように作られています。

そのため、ダイエットをしようとして普通のフードの量を減らすと、摂取するカロリーを減らすことはできるのですが、それだけでなく必要な栄養素の量まで減ってしまって栄養不足になる恐れがあります

ですから、ねこさん・わんちゃんのダイエットをする場合は、「ダイエット用」として設計されたフードを選んでください。

普通のフードの量を減らすと・・・


◾️ダイエット用のフードには2種類ある

いわゆる「ダイエット用フード」は、目的によって大きく2種類のフードに分けられます。

ひとつは、ねこさん・わんちゃんが太るのを防ぐことを目的とした「肥満予防用フード」。

もうひとつは、太ってしまったねこさん・わんちゃんの体重を減らすことを目的とした「減量用フード」です。

肥満予防用フードと減量用フードでは根本的に設計が違いますから、目的に合わせて正しくフードを選んでください。


◾️肥満予防用フード

肥満予防用フードは、あくまでも体重をキープするためのフードです。
ですから肥満予防用フードは、1日に普通のフードと同じだけのカロリーを取ることを前提として設計されています。

冬の時期や、不妊去勢手術を受けたねこさん・わんちゃんのように、食欲が旺盛なねこさん・わんちゃんの場合、普通のフードをあげていると食欲が十分に満たされず、食べ過ぎてしまいやすくなります。

そこで、肥満予防用のフードは、食べられる量を増やして満腹感を高めたり、腹持ちをよくしてお腹が空きにくくなったりするように、食物繊維の量を増やしてあるものが一般的です。

ねこさん・わんちゃんの肥満の原因のほとんどは食べ過ぎですから、肥満予防用フードは食べ過ぎを防ぐように工夫されたフードということもできます。

そのため、普通のフードと比べるとグラムあたりのカロリーが少なくなっていて、同じカロリーでもたくさん食べることができます。

繰り返しになりますが、肥満予防用フードは体重をキープするためのフードですから、体重が減るような量にすると栄養不足になってしまう恐れがあります。
この点は、普通のフードと同じです。
肥満予防用フードではダイエットはしないようにしてください。

肥満予防用のフードではダイエットしない


◾️減量用フード

減量用フードは、ねこさん・わんちゃんの体重を減らすことを目的としたフードです。
つまり、一般的にイメージされる「ダイエット用フード」は減量用フードのことです。

減量用フードは、1日にねこさん・わんちゃんが必要とするよりも少ないカロリーを取ることを前提として設計されています。
そのため、少ないカロリーでも必要な栄養素が不足しないように計算されています。

その上で、少ないカロリーでも満腹感を得ることができて、お腹が空きにくくなるように、やっぱり食物繊維の量を増やしてあります。

減量用フードは、さらに2種類に分けられます。
「療法食」とそうでないフードの2種類です。

療法食とそうでないフードの大きな違いは減量のスピードです。

減量用の療法食は、肥満になってしまったねこさん・わんちゃんの体重を短期間で大きく減らすことができるように、特別に設計されています。

減量用の療法食でダイエットする場合は、おおむね1週間で体重が2〜3%くらい減るように、カロリーを制限します。
そのため減量用の量は、より少ないカロリーでも必要な栄養素をバランスよく取ることができて、お腹が空きにくいようになっています。

減量用の療法食でダイエットする場合は、普通のフードをあげるときの半分くらいまでカロリーを制限すこともありますので、獣医さんにねこさん・わんちゃんの体重や状態を確認してもらいながら使うようにしてください。

一方で療法食ではないダイエット用フードは、時間をかけて少しだけ、ねこさん・わんちゃんの体重を減らすように設計されています。
目安としては1週間で体重が1〜2%くらい減るように、あげる量を調整します。

それ以上の急激なダイエットをするようには作られていませんから、痩せ過ぎにならないよう、気をつけてあげてください。

ダイエットするときには減量用のフードを!


◾️給与表をみるときの注意点

療法食でも、そうでないフードでも、減量用のフードの給与表をみるときには注意が必要です。
(減量用の療法食を使う場合は、1日にあげる量を獣医さんに確認してっください。)

給与表は、ねこさん・わんちゃんの体重と、その体重に応じた給与量が書かれています。
普通のフード、あるいは肥満予防用のフードの場合は、今のねこさん・わんちゃんの体重のところをみれば良いのですが、減量用のフードは多くの場合、そうではありません。

一般的に、今の体重ではなくて、太る前のねこさん・わんちゃん本来の体重のところをみるようになっています。
つまり、”なりたい体重”のところをみるようになっているんです。

フードの給与表にはハッキリと書かれていないこともありますので、念のためにペットフード会社に確認すると良いでしょう。


今回のまとめ

  • 「○○ダイエット」という名前のフードでもダイエット用のフードとは限らない

  • 普通のフードでダイエットはしない

  • 肥満予防用フードと減量用フードは中身が違う

  • 肥満予防用のフードでもダイエットはしない

  • 減量用フードにも種類がある

  • 減量用の療法食を使う場合は獣医さんに診てもらいながら使う

  • 給与表のみかたにも注意が必要


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