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僕が「ペットフード会社に25年以上勤めた獣医師のペットフード講座」を始めた理由

はじめまして。原田洋志(はらだひろし)といいます。
初めに自己紹介をします。
2頭のねこさんと暮らす、50代の獣医師です。

一緒に暮らしている2頭のねこさん
左:ポン次郎(メインクーン 14歳 去勢したおとこのこ 体重:約10kg)
右:チビ(MIX 7歳 避妊したおんなのこ 体重:約5kg)

僕は大学を卒業して数年間、獣医師として動物病院で働いていました。その後、ペットフード会社に転職し25年以上勤務しましたが、去年(2022年)、その会社を退職しました。

それを機に、この「ペットフード会社に25年以上勤めた獣医師のペットフード講座」の連載を始めることにしました。

ペットフード会社に勤めている間に、ありがたいことに、多くのねこさん・わんちゃんの飼い主さんたちと、様々なかたちで関わることができました。そしてその経験から、ねこさん・わんちゃんのフード選びに悩んでいる飼い主さんがとても多いことを実感しています。

僕がペットフード会社で働き始めたころは、ねこさん・わんちゃんにヒトの残り物を食べさせている飼い主さんが全国的に見れば多数派でした。その頃はねこさん・わんちゃんに関する情報が少なくて、ねこさん・わんちゃんに何を食べさせればよいのかがわからない飼い主さんがほとんどでした。

それに対して、今ではねこさん・わんちゃんに関する情報が大量にあって、むしろどれを信用すればよいのかわからないという飼い主さんが多いのではないでしょうか。

そして、ペットフードについては、とても残念なことですが、それらの情報のほとんどが間違っています。わざと間違った情報を提供しているのか、単によく知らないために間違っているのかはわかりませんが、実際のところ、ペットフードに関する情報のほとんどが間違っています

しかも近頃は効率を重視する風潮のせいか、シンプルに「これが正解!」式の情報が多く、ご自分のねこさん・わんちゃんが“不正解”だったときはどうしてよいかわからず、かえって不安になる飼い主さんもたくさんいらっしゃいます。僕自身も2頭のねこさんと一緒に暮らしていますので、フード選びや、ねこさん・わんちゃんの健康管理に疑問や悩みをもつ飼い主さんたちの気持ちはよくわかるつもりです。

また、実際にねこさん・わんちゃんをみていると、「この子に合ったフードをうまく選んであげれば、きっともっと健康になれるのに」と思うことも少なくありません。

そこで、会社を辞めた今だからこそ、誰にも忖度(そんたく)する必要のない、中立な獣医師としての立場から情報発信をしたいと思い立ちました。
25年以上にわたってペットフード会社に勤務したなかで得たペットフードやネコ・イヌの栄養学と健康についての知識を、「ペットフード講座」としてできるだけわかりやすく解説していきます。

この「ペットフード講座」を読んでもらえば、フード選びに悩んでいる飼い主さんも、雑多な情報にまどわされることなく、きっと自信をもってフード選びができるようになるはずです。

そうなれば、ペットフード会社は”売り方”ではなく、フードそのものの品質を競うようになる、と僕は考えています。
大げさなようですが、飼い主さんたちがペットフードを選ぶ目を持つことが、巡りめぐって、ねこさん・わんちゃんにとって幸せな環境を作ることになる、と僕は信じています。

そしてこの講座ではフード選びだけでなく、ねこさん・わんちゃんたちの、健康管理のコツみたいなものについてもお伝えします。ねこさん・わんちゃんができるだけ健康な毎日を過ごすための、お役立ち情報が満載の講座にしていきますので、ぜひご購読ください!

講座をお読みいただくにあたって、あらかじめご了承いただきたいことがいくつかありますので、それを先にお伝えしておきます。

  • 原則として、特定のフードやフードメーカー、ブランドなどをとりあげて、その良し悪しについて書くことはしません。それよりも飼い主さんたち自身が、ご自分でよいフードを選べるようになってもらいたいのです。そのため、シンプルに「これが正解!」といった「どうすればよいか」よりも、「どう考えればよいか」に重点を置いて、できるだけ丁寧に解説していきます。

  • なるべく難しくならないように解説したいと思っていますので、「わかりやすさ」を「正確さ」よりも優先することがあります。そのため専門的な知識をお持ちの方が読むと、必ずしも正確ではない記述があるかもしれません。
    もちろん細心の注意を払いますが、僕の勉強不足や勘違いなどで間違ったことを書いてしまうことがないとも限りません。間違いにお気づきになった方は、ぜひご指摘ください

  • ネコやイヌの病気について説明することもありますが、ここに書かれていることをもとに、飼い主さんがご自身で病気について判断することはしないでください。ねこさん・わんちゃんの体調について気になることがあれば、かならず、かかりつけの動物病院などにご相談してください。

  • 近頃のSNSを見ていると、同じ言葉をそれぞれが違う意味で使ったり解釈したりしているために誤解が起こっているケースが多いように感じます。そこで、この講座での基本的な言葉の使い方のルールをまとめておきます。

1.動物さんの呼び方

  • ネコイヌヒト: 動物種としての猫や犬、人間について説明する場合に使います。
    例えば…「ネコは肉食動物ですが、イヌとヒトは雑食動物です。」など。

  • ねこさんわんちゃん: 飼い主さんと一緒に暮らしているネコやイヌについて説明する場合に使います。
    なぜネコは“さん”で、イヌは“ちゃん”なのかについては、合理的な理由はありません。僕の感覚的なものです。

2.動物さんと一緒に暮らしているヒトの呼び方

  • 最近は「ご家族」「ペットペアレンツ」などの呼び方もありますが、僕が一番しっくりくるので「飼い主さん」と呼ばせてもらいます。
    僕自身は一緒に暮らしているねこさんを「飼っている」というよりも「お世話をしている」という感覚ですので、「世話人さん」のほうが良いのかもと思ったりもします。

3.食べ物の呼び方

  • ペットフードフード: ねこさん・わんちゃんの主食とすることを目的として市販されているものを指します。
    ねこさん・わんちゃん以外の動物さん用のものは、専門外ですので取り上げません。

  • 療法食: 対象となる病気の食事療法を行うために栄養バランスが調整された市販のフードを指します。

  • おやつ: ねこさん、わんちゃんに主食以外のおやつとして与えることを目的として市販されているものを指します。ヒトの食べ物をおやつとして与える場合も含みます。

  • 食事食べ物: 市販のフード、おやつ以外の、ねこさん、わんちゃんが食べるもの全般を指します。手作り食なども含みます。


連載を続けているうちに、後から“あらかじめ”ご了承いただきたいことが増えてしまうかもしれません。その時には都度、講座内でお伝えした上でこのページに追記していきます。

それではこれから、飼い主さんたちが楽しみながらペットフード選びの極意を身につけていただけるように、「ペットフード会社に25年以上勤めた獣医師が解説するペットフード講座」を始めます。ペットフードとねこさん・わんちゃんの健康について、その本質にせまる内容を詳しく、かつ、わかりやすく解説していきます。

お楽しみに!

※この講座の第0回は無料で公開していますが、本番となる第1回からは有料記事にさせていただきます。月額600円で、新しい記事を週に1本(月に4本)のペースで投稿していきますので、ぜひご購読ください。

※月額マガジンとは別に、ペットフードに関する基本的なことをわかりやすく解説する「ペットフード基本の『き』」を始めました。こちらは月1回くらい(不定期になるかもしれません)、無料記事を公開していきます。
こちらもあわせてお読みいください。

「ペットフード講座」と「ペットフード基本の『き』」の記事を一覧にしました。
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