見出し画像

【ベトナム】新規事業に向けた事業戦略コンサルを有効活用しよう②

基本的に事業コンサルでも決められた業務以外についてはタッチしないドライなコンサルタントもいれば、親身に当事者の如く進めていく運命共同体のようなコンサルタントもいます。これは進出企業の希望に応じて選択して行けば良いと思います。新興市場であるベトナムでは後者の方が融通とフレキシビリティに溢れて企業ニーズに合致しそうな気はしています。(前回

新興市場のベトナムは日本のような先進国と同等以上の消費爆発力を持ちつつも、日本のような同一アイテムに対して広範囲での価格設定がある環境に慣れていないため、選択肢の少なさや比較対象の少なさが消費者目線では往々にしてある。特徴的な例として、ゴルフをする人がまず購入するゴルフセットは本間ゴルフである。理由は単純明快で「新興富裕層が趣味としてゴルフをすることになり、ゴルフメーカーを比較して日本製・高級という条件が揃い、圧倒的支持を得る」ことになった。仮に高級だとしても中国ブランドであればこうはならない。ここに日本製への厚い信頼がよく見える事実である。

スクリーンショット 2020-04-08 13.18.09

(ベトナム語で「本間ゴルフ 購入」と検索して出てきた結果)

ベトナム語表記なので分かりづらいけど、ゴルフセットが約80万円で販売されていることが分かる。キャロウェイで同等のセットは日本で10万円で購入できることを考えると、GDPだけで比較するといかに高価なゴルフセットを新興国ベトナムの富裕層は購入しているかが分かると思う。また日本人でゴルフする人なら分かると思うが、余程予算がないと本間のゴルフセットを購入する選択肢はないだろう。


◆ セグメンテーション考えずして、ペルソナ作れないし、ペルソナなくして、潜在的顧客の想定もできないし、地域特性や収入分布やジョブヒエラルキーの闇知らずして、ホットスポットには到達できない

今までコンサルして来た中で多かったのが、そもそもベトナム市場参入にあたり「国籍を活かした日本人市場」と「未開拓だが消費意欲溢れるベトナム人市場」のどちらに参入するかを決めきれてないことや、両方取り込みたいことがあります。

スパ・ヘアサロン・ネイルサロン・レストラン・バー・カラオケなどのサービス業は参入障壁が低いので、どの形態も既にベトナムに進出しています。またアパレルであれば最近超大手のUNIQLOが進出しました。

分かりやすく身近なレストランを例に取り上げてみます。最大手と言われる飲食企業であれば牛角を展開するコロワイドがあります。コロワイドは早くから大資本を持って日本同様の内装雰囲気を用いて、高級感ある焼肉でありつつもファミリーも楽しめるリーズナブルなレストランを実現しようとして来ました。これは完全にベトナム人市場への参入です。一方で在越日本人は牛角という馴染みあるブランドから駐在の人を中心に利用されています。結果的に両方取り込みができているケースです。

最大手であるコロワイドの持つブランド力に惹きつけられてきた日本人とは別に、新たにベトナム人に対して日本式焼き肉(BBQ)を提供しようと各所でマーケティングを続けてきたのがコロワイドです。事前に日本人顧客は一定数取り込めることを想定していたと思いますので、ベトナム人向けの新市場に対して注力するだけで十分でした。

しかし、コロワイドは外食産業でも日本第4位に付ける最大手です。あくまで特別な例として見る方が良いでしょう。全国展開して長い期間ブランド名を維持してきたからこそなし得ることです。他の多くの新規参入飲食店経営企業はこれに該当しません。ましてや独立系の自社ブランドをある地域のみで展開している中小では難しいです。静岡のさわやかハンバーグ函館のラッキーピエロですら、知らない日本人は多いと思います)

となると、市場を「ベトナム人向け」「日本人向け」「外国人向け」のどれかに絞ってから事業戦略を進めることが第一優先かと思うのですが、意外に見定めきれてない企業が多いです。この真意(裏)は「自社は日本である程度売上作って来て自負がある。その上で海外展開を勢いあるベトナムにしたい。が、言葉や文化も分からないので、まずは日本人をターゲットにしたい」が非常に多い。

この方針も理解できます。しかし、世代別や世帯別の外食に対する月間支出量を少し調査したら分かりますが、ベトナム人のそれと日本人のそれだと都市部においてはベトナム人のそれの方が大きい。(日本経営のレストランで支出する額を比較したら)例として、ホーチミンで大繁盛を続けているレストランに北海道幸というお店があります。日本から新鮮な魚介を輸入して、豪華絢爛な内装と付加価値高い海鮮、金粉入りの日本酒などを日々ベトナム人に提供して大きな売上を作っています。ハノイで同じく大繁盛を続けているレストランに友楽というお店があります。これも北海道幸と同じ事業モデルで非常に大きな売上を作っています。

日本食と言っても、まだまだ細分化は進んでおらず王道の寿司・刺し身・日本酒が人気あり、和牛の鉄板焼にワインというのはもう少し先でしょう。ラーメンやカレーはまだ市民権を手に入れておらず、丸亀うどんは手に入れていますが事情が少し違います。付加価値と高単価を目指すなら、王道が帝王学でしょう。

が、ここで先の「言葉や文化も分からないため、二の足を踏む」が出てくるので、事業コンサルを有効活用したら良いと思うのです。同時にドライなコンサルタントを選ぶよりは運命共同体のようにコンサルタントにもリスクとリターンを増やして行うことで事業継続及び拡大が図りやすいと思います。

同時に王道に新規参入を検討する際に、理想と現実についてもよく調べる必要があります。進出企業の希望売上から逆算して、必要席数や客単価、営業時間に食材購入販路等々を1つずつクリアにして行きます。これはビジネスプランの範疇になっていくので、事業戦略として少し後のフェーズになります。それ以前に参入領域の3C分析で自社と他社、顧客の深い理解が求められます。

次回


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?