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物語【絶望への秒読み】第三話

世界に終末が訪れたら、人間の本能が生き残りを優先し、愛する家族すらも忘れさせる。

でなければ、この瞬間にあの子の事を考えるはずもない。

僕は終末を前に、家族を差し置いてあの子の顔を思い浮かべてしまった。

自分でも愚かだとは思うけど、生物としての本能が勝ってしまうのかもしれない。

抑えきれない罪悪感と興奮が混じり合い、気づいたら僕はあの子にLINEを送っていた。


世界が終末を前にして混乱している。


そんな状況下では、交通と通信に人が殺到して麻痺を起こす。

まるで映画や動画で見たことのある光景が目の前に起きている。僕が送ったLINEが既読になるわけもなく、電話も繋がらなかった。



どこか楽観視していた。世界は永遠に変わらないなんて。


戦争が起きてもどこか遠く、自分の死はどこか遠くにあって、とくに困ることなんてないだろう。明日も友人と話して適当に笑って、日々を過ごしていくんだ。いつか就職して、結婚して、父さんのように生きていくと思っていた。


そんな些細な夢。



終末は突然訪れた。


時間にして数秒、僕は走馬灯のようなものを見た。



僕はすべての人類に問いたい。


あなたは終末を前にどう過ごしますか?



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