不登校やイジメにあった子どもたちの支援をしていると、時々、きつ音や場面かん黙の子どもと出会います。
私は10数年ほど前にある医師から、医師でもなんでもない私に「きつ音や場面かん黙は技術で治すものではなく理解で治すもの」と、私でも治すことができるのだと教えられ、それをきっかけに勉強し、気がつけば言語聴覚士の試験を受けていました。資格はおまけみたいなもので、この知識は本当に今でも役に立っています。
鹿児島に来てからも何人か支援しましたが、その中のきつ音を持つある子どもとの会話のやり取りで、その子どものお母さんから「うちの子どもを傷つけるような対応をしないで!」と言われたことがあります。どのような対応だったかというと、その子どもはいつも「お、お、お、おおくら先生、おはよ!」とあいさつをしてくれるのですが、私はそのあいさつにシンクロするように「お、お、お、、」と小さい声で一緒にリズムを取って、「おおくら先生」が出てくるのを待っていました。たまたまこの日は親子イベントでお母さんがそれを聞いていたのですが、毎朝こういうあいさつをしているのだと説明してさらに怒られたのですが、お母さんは「面白がって真似をしている」と受け取られていました。
この子どもは卒業する頃には、私たちとの会話ではきつ音は出なくなりました。嫌いな人や苦手な人には話しかけもしないし近付きもしないのですが、私たち先生にはよく話しかけてくれていました。この子どものきつ音の特徴は「連発」だったのですが、私たちはそれを治そうと意識して接してはいません。端から見ると、連発してるときって言葉に詰まってしんどそうに見えるようです。このお母さんも、無理に話させたくないという気持からか、なんでもゆっくり話させようとされてました。それもいいのですが、日常や遊びの中ではひと言ひと言どんなときもゆっくり話す方が難しかったりします。だから、私たちはわざとシンクロしながら、わざと連発をさせています。なぜかというと、「連発から入る方が、実は楽」だからです。
大切なのはその子どもの心情。「この先生との会話は楽だなぁ」という気持になってくれることが一番大切です。
かん黙の子どもも一緒です。質問しても、すぐには答えは返ってきません。これもあるお父さんから「お忙しいのは分かりますが、もうちょっとゆっくり返事をするのを待ってあげてもらえますか?」と険しい顔で言われました。「家ではゆっくり待てば返事してくれますか?」と聞くと、「家ではまったく話しません。信用して預けてるのだからちゃんとここでは対応してください!」、、
「ゆっくり待つ」という方法もいくつかあり、この子どもは他の人と時間の流れ方が違ったりで、こちらの1日が本人にとっては数分くらいにしか感じてないということもあり、その場から一旦離れてみて様子を伺うなど、「待ち方」をお父さんに説明してようやく本当の意味で信用してもらったということもありました。
「自分の子どものことは私たち親が一番理解している!」とおっしゃっていただくことについては、本当に嬉しく思います。だけども、それとこれとは別で、いつかその親からも自立していかなければならない年齢になったときに少しでも生きづらさを無くしていくために、私たちは本気でサポートしています。
臨床心理士であり言語聴覚士としての知識、そして、これまでに6,000人超の子どもたちのサポートに携わってきた経験をもってして、全力でお子さんのサポートと同時に親御さんのサポートもいたします。なので、一緒にお子さんの理解を深めていっていただきたいと思います。
いつでも、 一般社団法人パーソナルサービス支援機構「ふらっと」までご相談ください。
「正しく知ってほしい!きつ音のこと」(NHK ウワサの保護者会) ↓ 参照
私たちの仕組みだけではまだまだ十分とは言えません。ここ、鹿児島県大隅地域は東京都や大阪府くらいの広さであるにもかかわらず公共交通機関がほとんどなく、家族の送迎が無ければ支援に繋がることができません。特に、一人親や困窮家庭で支援が必要な方のために送迎の仕組みを充実していきたいです。