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有給休暇の過ごし方 vol.2


 前回に続き、今回はいざ旅行へという場面。

 目的地は伊豆大島。
 夜行フェリーさるびあ丸に乗って、大島を目指し携帯を極力使わない、簡易的なデジタルデトックス一人旅をしようという訳だ。



出発まで
 

 時刻は8:30。
 私はJR浜松町駅に着き、徒歩で今回乗るフェリーの発着港である竹芝客船ターミナルを目指した。
 竹芝のターミナルに向かう人の数は休日ということもあってかそこまで多くなく、周辺に住んでいるであろう人々がペットを連れて散歩していたりジョギングする姿が見受けられた。




 今回はインターネットで予約をしようと試みたが、島トクきっぷの割引が表示されなかったため、渋々電話にて予約をした。出発日の1ヶ月前から予約が出来るシステムのため、比較的早い段階での予約だったがオペレーターの方の親切丁寧な対応のおかげで事はスムーズに進んだ。実際予約をする場合には電話で申し込みをした方が楽なのかもしれない。
 ただ注意点として電話予約の場合、チケットを受け取る方法が予め控えた予約番号を伝えるだけのため、ちゃんと予約出来ているのか、日にちを間違えていないか不安ではあった。


 竹芝客船ターミナルに向かった私は、窓口に向かった。予約番号を告げ、乗船料金を窓口で支払い、往復分の乗船チケットを受け取る。出港の1時間前までに来るようにとの事だったので、念には念を入れて1時間半前には着いていたのだが、実際乗船できたのは出発の20分前だった。つまり、ここから1時間ほど暇を持て余すこととなる。
 時間もある訳だし、何か足りないものは無いかなんて考えていると、洗顔フォームと歯ブラシ、汗拭き用のボディーペーパーを忘れたことに気付く。洗顔はどうにかなるとして歯ブラシは絶対忘れたらダメだろなんて自身に言い聞かせながら近くのコンビニへダッシュ。時間に余裕を持っていたためか無事に買うことができ、あとはターミナル内の待合所にて携帯持ってダラダラと過ごす。

 21:05頃、アナウンスにてまもなく乗船開始の案内が流れる。それと同時に島民と思しき人々が島民専用の待合所から出てきて列を作り始めた。私も早めに席を確認して、デッキに上がりたいと考え荷物をまとめて列に並ぶ。待合所内には60人ほどの乗船待ちの列が出来る。
 乗る人は様々。釣竿とクーラーボックスを持った釣り人や大荷物を抱えた島民、家族連れ、山登りの服装に身を包んだ大島のジオパークを巡るのであろうアクティブな5,60代。
 こんな20代の若者の一人旅としては、伊豆大島という場所はだいぶ渋いのかもしれないが、仕事柄常にパソコンや携帯を使い業務することも踏まえると、ある程度ネットから離れる生活も必要だったと思う。


 「そうか、伊豆大島の自然を巡るってこともありだったか。」
 特にツアーなどの予約もするわけでもなく、ただ往復のフェリーと宿を取っただけの人間としては準備不足を嘆いた。

乗船口までの道。

 21:20。乗船開始。さるびあ丸は6階建ての構造、客室は2階から上とのことで窓から見える青海・大井埠頭の夜景を楽しみにしていた。しかし、船中央部の2等和室が座席として割り当てられたため、夜景を楽しむためには座席を離れてデッキに出る他なかった。行きも帰りも2等和室の座席が割り当てられる「スーパー島トクきっぷ」は、窓からの景色が見える座席に当たればわざわざデッキまで出て東京湾の夜景を見る必要もなかったのだろう。

2等和室の床。カーペットは敷いてあるものの、硬い。
敷物が欲しいところだが、私はあまり気にならなかった。
2等和室の天井。
明るさはあるが、角っこの座席だとだいぶ暗く感じる。
天井の丸いやつがエアコンのようなもので
ダイヤルを回して外気を取り込む量を調整できるらしい。
6Fレストラン前にあった食券機。
ラーメンや丼もの、ジャンボエビフライカレーに加えて
限定メニューとしてとだカレーなるものがあった。
行きも帰りも私は使わなかったが。
貸し毛布は1枚100円。
チケットを買っていれば船内を回る船員の方に渡すことで引き替えてもらえる。正直、これがあってよく眠ることが出来、だいぶ助かった。


 21:55。定刻よりも5分早く竹芝客船ターミナルを出発。レインボーブリッジの下をくぐり、船は東京湾を南下し、さるびあ丸最初の寄港地でもあり私の旅の目的地、大島を目指す。

 湾内は波による揺れもさほど気にならず、探索とばかりに船内のレストランの位置やシャワールームの場所など確認して回った。船内の自販機にはカップ麺やお菓子・パンなど食事には困らないといったところ。

 そして、デッキに出てみると大井・青海埠頭のコンテナヤードの灯りが輝いていた。元々、飛行機のflight radar24やコンテナ船などのmarine trafficといった航空機や船舶の位置を確認できるサイトを眺める事も好きだった私にとって、湾岸エリア含めた眺望は旅の高揚感をさらに高めてくれた。

 前職の金融機関職員を休職・そして転職活動中だった去年は、1人最終列車で江東区など湾岸エリアに向かい、始発の時間まで煌々と光る夜景をぼーっと眺めるなんてことをよくしていた。その時の記憶が蘇り、目元もうるうるとした。好きなことを仕事にするということも然り、あの時我慢していたら身体を完璧に壊していたのかもしれないのだから。

大井埠頭を写す。
人知れずコンテナヤードに魅力を感じている私。

 キラキラと輝く埠頭。コンテナ船の乗務員として仕事をしながら世界を歩むなんてのもアリだなと感じつつ、大井2号・5号・7号の灯りが遠ざかるのを惜しみながら、私は船内へと戻った。


 その後に関しては、すぐに眠りについた。
 何せこの日は友人と競馬を観に行き、まあまあな金額を負けたその足で一人旅に向かったわけで言葉に言い表せない疲労というものがあった。そして、到着予定は6時。しっかり起きねばと緊張があった。


 次回は到着から大島を出るまでの旅の終わりを一気に書きます。前置きが長くなって申し訳ないですが、今しばらくお待ちください。


 それではまた次回。

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