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コーヒ占い

 最近、本屋さんでコーヒー占いの本を見つけたのをきっかけに、ちょっとコーヒー占いに凝っている。トルココーヒーを飲んだ後、カップにソーサーを乗せて逆さにしてから数分待って、出し殻がソーサーに落ちてきた時の絵柄で今の運勢を占ってみるというものなのだけれど、特に、神妙な面持ちで結構本気で信じているらしいイラン人の友達と一緒にやってみると、どんな風に絵解きをするんだろう?という好奇心も手伝ってなかなか面白い。

 初めてイランに来た時は、ホームステイ先の奥さんがコーヒー占い好きで、来る人来る人にコーヒーを沸かしては占いをしてあげていた。私も何度か占ってもらったのだけれど、「ほら、ここに電話の受話器があるでしょう?誰かから電話がかかってくるわよ」と、とても直接的で、こんなものなのかなぁ?と思ったりしたものだった。

 コーヒー占いをする時は、まず精神を集中させて、何か占ってみたいことを心に描いてからカップにソーサーを乗せて、心臓の側でカップをひっくり返す。コーヒーの出し殻の落ちてきかたなんて、どんな風にひっくり返してもそう変わらないだろうと思っていたのだけれど、不思議なことに、人によってかなり色々な模様で落ちてくる。コーヒー占い好きな人に聞くと、「その人のオーラとか、気みたいなものが違うからじゃない?」と言う。やっぱり不思議だけれど、占いというよりは、自分の「気」を図解してみるような感覚なのかもしれない。

 その「図解」はどんな風かというと…

 たとえば、コーヒーの出し殻がカップからソーサーに全部きれいに落ちてきて、カップに残っている出し殻が少ないほど、心配事がない状態。反対にカップの底に出し殻が真っ黒に残っている時は、心配事で一杯な状態で、カップの壁面からソーサーに出し殻が流れ出そうとしている時は、心配事から解放されつつある状態だという。

 またカップがソーサーにくっついていてなかなか離れないときは、誰か好きな人がいたり、誰かのことを考えていたりする時。

 たとえば動物だと、小鳥の絵は再生、犬の絵はずっと変わらない友達、馬や鷹は成功、熊は無知な悪友に気をつける(!)という風に、またほかにも、歯は病気のサイン、家は遺産や家を引き継いだりする知らせ、木の葉の絵なら結婚相手が見つかる知らせとか、色々なシンボルとして読み解く。またカップのどこに絵柄があるのかでも内容が変わってきたり、例えば木の葉は葉っぱが大きいほど良い伴侶のしるしとか、細部まで色々と絵解きの仕方がある。また毎日続けて占ってみても同じような絵柄が現れるので、1週間に1度くらいがちょうどいいという。

 寮に住んでいるある友達は、熊の絵が出てきて、「無知な悪友なんて誰のこと?」とさんざん考えて「嫌な人に会ったら困るから何日か外に行きたくないかも・・」と心配しているところに、お母さんから電話がかかってきて、「そっちは大丈夫なの?」とか延々と質問責めにあってすっかり閉口したらしく、電話を切ってから「お母さんのことだったのかも」とつじつまを合わせてしまったのはひどいなぁと思った。

 ちなみに今日コーヒー占いをしてみると、ギターの絵が見えて、本を見てみると「いつかギターを引くようになるかもしれません」と書いてあった。今のところ、こんな風に、そうなんだ?という位の占いしか出ていなくて、少し期待はずれなような気軽なような感じなのだけれど、本格的な人は本を参照したりしなくても、直観的にカップの中にその人のことがよく見えるのだという。イランは神秘主義の伝統の長いお国柄で、コーヒー占いのほかにも、ハーフェズ詩集をめくって詩の意味を解釈して占う、ハーフェズ占いもよく行われていて、第六感(hesse sheshom)や直観(elham)が結構大事にされていることを感じる。

 ちなみに直観や霊感、啓示の意味にあたるelhamという語は女の子の名前にも使われていて、これまでに会ったことのある"elhamちゃん"は、ドイツでグラフィックデザイナーをしているという移住2世の才色兼備の綺麗な人だった。

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