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【企業インタビュー】あなたと環境を変えていく。 株式会社NTTドコモの事例

脱炭素化社会の推進に向けて、企業はさまざまな取り組みを始めています。

しかし「何をどうすればいいのか」「他の企業はどんなことをしているのか」と考えあぐねている人は多い様子。

パーセフォニジャパンは、先進的に脱炭素化社会に向けた取り組みを進めている企業様にスポットを当て、みなさまが参考にできる実践法をお聞きしています。

第6回となる今回は、株式会社NTTドコモ様 へのインタビューです。

迷ったり悩んでいる方々の参考になりますように。


【用語解説】カーボンニュートラルとは、発生した炭素(CO2が対象)排出量と除去量を差し引きゼロにする状態です。詳しくは過去の記事【秒速理解】脱炭素社会とは?なぜ目指すのか?達成の第一歩とは?で解説しています。
 
■インタビューした企業様
株式会社NTTドコモ

■お話を伺った方々
株式会社NTTドコモ 
経営企画部 サステナビリティ推進室 本田 大介様、竹本 沙織様
 

ドコモグループは2040年ネットゼロへ


 ーー御社の事業内容についてあらためてお聞かせください。

ドコモは「あなたと世界を変えていく。」をブランドスローガンに、通信事業とスマートライフ事業を展開しています。通信事業では、いつでも、どこでも、何とでもつながる高品質で経済的なネットワークを提供します。また、スマートライフ事業では、会員基盤とデータ活⽤、サービスと多様な端末とのシームレスな連携により、社会をもっと便利に、ワクワクする世界の実現を推進しています。
  
ーー御社はサステナビリティの取組みも多角的に進めておられますね。特に、CO2削減の取り組みを本格的に始めたのは、いつごろなのでしょうか。
 
サステナビリティの取り組みについて、「サステナビリティレポート」の公開を始めたのは2014年ですが、環境に配慮した活動はそれ以前から行っており、「CSR報告書」という名称で社外に公開していました。
 
CO2削減の取り組みが本格的になったのは、2021年に発表した「2030年カーボンニュートラル宣言」が契機になっています。2023年11月には、温室効果ガス排出削減目標をサプライチェーン全体に拡大した「ドコモグループ2040年ネットゼロ」も発表しました。
 
「あなたと環境を変えていく。」というスローガンのもと、自社(Scope1・2)の温室効果ガス排出量を2030年までにカーボンニュートラル、サプライチェーン(Scope3)も含めた温室効果ガス排出量を2040年までにネットゼロにしていきます。また、お客さま・パートナー企業とともに、社会全体の脱炭素にも取り組んでいく予定です。

(左から サステナビリティ推進室 竹本 沙織氏、本田 大介氏)


供給電力をグリーン電力で賄う。顧客向けアプリでも意識変容の後押しを


ーー上記の宣言後、具体的にはどんな取り組みを始めたのですか?
 
自社の事業活動での温室効果ガス排出量(Scope1・2)を、2030年までにカーボンニュートラルにすることが、第1の目標です。
 
通信技術が発達して、やりとりされるデータ容量はどんどん増えています。そのため、ネットワークの省電力化や、再生可能エネルギーの導入に向けた取り組みなどを進めています。
 
ーー通信量が増えていくのは、世情的にも否めませんよね。
 
はい。基地局電力の効率化をするためにはスリープ機能の導入や、仮想化無線基地局の導入等による、ネットワークの省電力化に向けた取り組みを行っています。また、自社の基地局に太陽光パネルを置き、その発電量で基地局を動かす「グリーン基地局」の推進や、オフサイト型コーポレートPPAの導入などにより、再生可能エネルギーの導入を進めています。そして、「2040年ネットゼロ」に向けた取り組みとして、2030年度までにすべてのドコモショップのグリーン電力化をめざす他、通信設備などの調達において温室効果ガス排出削減を進めるサプライヤーからの採用を推進します。

ドコモの5Gは温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしたグリーン5Gです(画像提供:NTTドコモ)


ーーお客さまに対して、何か取り組んでいることはありますか。

 
弊社が行なったユーザーインタビューの声からも、まだ「環境活動=意識の高い人が取り組むもの」というイメージが根強く、「取り組みたくても何をしたらよいかわからない」という人が多いのではと感じています。ドコモでは、脱炭素やカーボンニュートラルをめざす取り組みを「カボニュー」と名付け、お客さまやパートナー企業と一緒に、環境に関する記事やイベントのご紹介など、どちらかというと環境活動に取り組みたいけど一歩踏み出せない人たちに興味をもっていただけるような情報を発信しています。
 
また2023年1月には、日々の行動がどのくらいエコにつながっているのかを記録・見える化する「カボニューレコード」というアプリもリリースしました。
 
かんたんな質問に答えるだけで、CO2削減への貢献度がスコアでわかるほか、「グリーン5G」や「ドコモでんき Green」をご契約いただいている方は、契約内容に応じたCO2削減量を確認できます。このアプリはdアカウントの登録をすれば、どなたでもお使いいただけます。
dポイントクラブ会員は現時点で約9,700万人おり、こうしたユーザーとの接点があるのは私たちの特色だと感じています。
 

社内アンバサダー制度でカーボンニュートラルへの意識を底上げ


ーー自社内で行っている取り組みはありますか?
 
「カボニューアンバサダー」という社内制度を設け、環境貢献に対する熱量が高い社員を中心に挙手制で参加してもらい、ドコモグループ社内や部署内での環境に関する施策を盛り上げていただいていますね。現在、全国に約600人のアンバサダーがいます。
 
ーー600人! みなさんもともと興味があった、ということでしょうか。
 
アンバサダーに個別で話を聞くと、環境に関心のある社員が各部署にいることがわかりました。「制度ができて嬉しい」という声も挙がっており、きっかけがなかっただけで、機会を求めていた社員はいるのだと感じましたね。
 
ーーアンバサダーは具体的にどんな活動を?
 
様々な活動をしていますが、なかでも印象的だったのは、カーボンニュートラルに関する勉強用のテキストを自作して組織内で講義していたアンバサダー社員です。他にも、「自宅でコンポストを活用しましょう」と声かけする社員などもおり、互いの活動を共有するためにアンバサダー同士でオンラインミーティングなども開催しました。
 
そのほか、サイト構築の得意な社員が情報共有サイトを制作したり、SNSのフォロワーが多い社員がネットで情報発信をしたり、直接CO2削減にはつながらなくても、会社全体の意識浸透をめざして社員それぞれの「得意」を持ち寄ってくれている動きは、とてもよいことだと感じています。

社会全体の温室効果ガス排出量を削減する取組み「カボニュー」(画像提供:NTTドコモ)

ーーCO2削減を社内に浸透させるうえで、壁はありましたか?
 
2021年以前は、社内で今ほど環境活動が盛り上がっておらず、私たちの組織名も「サステナビリティ推進室」ではなく「CSR部」だったんです。事業としてというより寄付や社会貢献的な立ち位置だったので、なかなか各部署の協力や理解を得にくかったですね。
 
その後、CSR部から「サステナビリティ推進室」として経営企画部内に組織変更されたことで、経営の中心にサステナビリティをという会社の方針が浸透し、各事業部でも「やらないと」という意識が変わってきたのだと思います。経営の一部として取り組む動きがあったことで、全員が同じ方向を向きやすくなったと感じています。

ボトムアップを定着させ「環境への配慮」と「事業」を両立


 ーー2021年のカーボンニュートラル宣言を機に、サステナビリティへの取り組みを加速させた御社ですが、一方何かしたくても踏み出せない企業は非常に多いです。最初の足がかりをどうつくったらよいか、御社の視点でお聞きできますか。
 
自分たちの会社がどれだけCO2を排出しているのか?の現状を知り、影響の大きいところから手を打つのが良いと思います。可視化できていないのなら、まずはそこから着手してもよいかと思います。環境配慮への対応が遅れてしまうと、今後取引先からステークホルダーとして選ばれにくくなることもあるでしょうし、投資家についても環境に配慮した企業を優先的に応援する株主が増えていきます。そうした社会的な動きもありますので、できれば早めに対策を始められるとよいですね。

お客さまが手軽に楽しくカーボンニュートラルに貢献できるサービス(画像提供:NTTドコモ)


ーー今後取り組みたいことや、カーボンニュートラルにまつわるビジョンはありますか?

 
まずは、2030年カーボンニュートラル、2040年ネットゼロ達成に向けた取り組みを推進していきます。また、パートナー企業と連携し、「カボニューレコード」でお客さまが環境に配慮した商品を購入したり、イベントに参加したりすると環境貢献度がスコア化されるよう検討を進めてまいります。
そして社内では、カボニューアンバサダーを中心に、環境への意識を高くもつ社員を増やし、ボトムアップで自分の関わっている事業でどのようにCO2を削減するかのアイデアが生まれてくるようにしたい。そのためにもアンバサダー制度はこれからも盛り上げていきたいですね。

お客さまやパートナーとともに、これからもサステナビリティを推進していきます。
ドコモグループでは、温室効果ガス削減量の可視化ソリューションもご提供しておりますので、これから取り組む企業さまがいらっしゃれば、ぜひお声がけください。

  
NTTドコモの皆様、ありがとうございました!
 
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最後までお読みいただきありがとうございます。

今回の事例を通じて、皆様の活動のヒントが見つかることを祈っています。

それではまた次回、お会いしましょう!
 
 


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