S-1分析:Amazon - 1997年上場時の目論見書(S-1)を読んでみた
あの会社の上場時はどうやった?シリーズ、第1弾は「Google」でした。
第2弾は「Amazon.com」が1997年に上場した際の目論見書(S-1)を紹介したいと思います。
1. 30秒サマリー
30秒で、上場目論見書をざっくり知りたい方は、こちらをどうぞ 👇
2. 上場当時の損益計算書
創業から3年で上場に漕ぎつけたAmazon.com、当時の財務諸表を簡単におさらいしたいと思います。
年間売上
・創業年は売上ゼロ、翌96年は$511K、97年は前年比 31倍の$15.7Mに成長
・ちなみに、2017年の売上は$177Bn、上場から20年で売上は「11,000倍」
Q売上
QoQの売上成長率は、上場まで5Q連続で「2倍」で推移
年間粗利率
97年の粗利率は「22%」、20年後の2017年の粗利率は「23%」と安定
営業利益額と率
Uberなど最近の上場に比べると、$6Mの赤字上場は、かわいく見えますね。
3. 上場当時の競合企業
上場当時のロゴにもある通り「Earth's biggest bookstore」を標榜しており、本のオンライン販売をする上での競合のみ目論見書に記載してます。
A. オンライン書店、オンラインCD/ビデオテープの販売店
a1. Book Stacks Unlimited (Books.comを92年に創業、後にB&Nにより買収)
a2. Ingram Book Group (店舗型書店向けにオンラインECを構築)
B. オンラインECを部分的に提供する間接的なプレイヤー
b1. America Online, Inc. ("AOL")
b2. Microsoft Corporation
C. 出版社 (オンライン書店を開設し、販売を開始)
c1. Viacom傘下のSimon & Schuster
D. 店舗型書店
d1. Barnes & Noble (B&N)
(オンライン書店を開設し、AOLにて割安価格で書籍を販売開始)
4. 上場当時の経営陣の顔ぶれ(社外取締役)
Jeff Bezosは上場当時33才でした。そして、KPCBのJohn Doerr氏は、Amazon上場の翌年に産声をあげたスタートアップの社外取締役に就任、Amazon上場から7年後、その会社を見事上場させます。「Google」です。
John Doerr (当時45才)
1996年6月より社外取締役。1980年8月よりTop-Tier VCであるKPCBのGeneral Partnerで、 Netscape、Intuit、Platinum Software、Shiva Corporatiton、drugstore.com、Homestore.com、Sun Microsystemsの社外取締役を歴任。
Tom Alberg (当時57才)
1996年6月より社外取締役。Madrona Investment GroupのPrincipal。
Scott Cook (当時44才)
1997年1月より社外取締役。Intuitの共同創業者兼チェアマン。
Patricia Q. Stonesifer
1997年2月より社外取締役。独立のマネジメントコンサルトで、顧客にDreamWorksも含む。元Microsoftのメディア部門のVP。
5. 雑感
FY2019の売上は30兆円、FY1997の売上は15億円、20数年で売上を2万倍にしたAmazon。
ただ、当時の目論見書を読む限りは、Earth's Biggest Bookstore=地球最大規模の本屋を目標としており、本以外のビジネスに関しては、特段記載がありませんでした。
上場までに1社も買収しなかったAmazonが、現在までどのような成長の軌跡を辿ったのか、については、後日書いてみたいと思います。
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今回の「あの会社の上場当時:Amazon編」はいかがでしたでしょうか?
今後も、気になる会社の上場目論見書を読んでみたい と思います。
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