S-1分析:Google - 2004年上場時の目論見書(S-1)を読んでみた
あの会社の上場時はどうやったんや? と最近ふと気になることが多くなりました。今回は2004年に上場した「Google」の目論見書(S-1)を紹介したいと思います。
長いので、気になるところのみ、読んで頂けたら嬉しいです。
Googleとは
上場当時の損益計算書
売上と売上成長率
額:$0.2M(1999) → 19M(2000) → 86M(2001) → 348M(2002) →962M(2003)
倍率:87倍(99'>00') → 5倍(00'>01') → 4倍(01'>02') → 3倍(02'>03')
売上構成比
Advertisingの売上構成比率は、77%(2001) → 92%(2002) → 95%(2003)
海外売上比率
海外売上: 14%(01') → 21%(02') → 26%(03')
粗利額と粗利率
額:USD-1M(99') → 13M(00') → 72M(01') → 308M(02') → 840M(03')
率:68%(00') → 84%(01') → 89%(02') → 87%(03')
営業利益額と営業利益率(%)
額:USD -7M(99') → -15M(00') → 11M(01') → 186M(02') → 342M(03')
率:-2,962%(99') → -77%(00') → 13%(01') → 54%(02') → 36%(03')
ビジネスの変遷
上場目論見書(S-1)に記載のあったビジネスの変遷を記載しています。
1999
他のウェブサイトへ検索エンジンをライセンス提供したのが、最初のビジネスモデルだった
2000 1Q
最初の広告プログラム"Premium Sponsorships"を提供開始。直販の営業部隊を通して、広告主に対して、Googleユーザの検索クエリに対して、テキスト広告をGoogleのサイトに掲載できるサービスを提供。
広告主は、ユーザの検索結果ページに何回広告が表出されたか、インプレッション回数に応じて、広告料を支払う。
2000 4Q
広告主がGoogleのサイトにターゲット型広告をセルフサービスで掲載できるGoogle AdWordsをロンチ。AdWordsの広告主は、ユーザの検索結果ページに広告が表出されたインプレッション回数に応じて、広告料を支払う。
2002 1Q
ユーザが広告をクリックする毎に支払う、クリック課金型AdWordsを開始。
直販営業を通しても、広告主は利用可能。AdWordsの契約は、広告主がいつでも終了することができる。
また、検索結果やウェブコンテンツに関連した広告であるAdWordsをGoogle Networkのメンバーのウェブサイトへ掲載・提供できるよう、AdSense for Searchをロンチ。
2003 1Q
ユーザが運営しているウェブサイトに、サイトを閲覧しているユーザーに対して最適な広告が自動で表示され、ユーザがクリックする度に、広告主が支払うクリック型広告。サイト運営者はクリック毎に報酬が受け取れる。
2004
最初の広告プログラム"Premium Sponsorships"を廃止し、クリック課金型広告モデルのAdWordsを一つの価格体系で全ての広告主へ提供。
既に、ほとんどの広告主がクリック課金型のAdWordsへ移行しているため、一つの価格体系にすることで売上への影響はない。
商品・サービスラインアップ
上場目論見書(S-1)に記載のあった商品・サービスを記載しています。
1.Google.com
Google.comを通じて、下記機能をユーザへ無料で提供する。
Google WebSearch
Street Maps、翻訳など効率的な情報へのアクセスを可能にする機能を提供
Google Image Search
画像検索
Google News
世界中の1万以上のニュース提供元から集約した最新情報を提供
Google Toolbar
ウェブ上のあらゆる場所から Google 検索を可能にするサービス
Froogle (現Google Shopping)
商品価格検索サービス
Google Groups (2001年Usenet買収、Groupsに統合)
ユーザへ検索・閲覧・メッセージを投稿できる機能を提供し、ディスカッショングループへの参加を容易にする。
Google Wireless
ワイヤレス機器ユーザ向けに作成され、モバイルサイトの検索ページを表示させることが可能。
Google Web Directory (2011年に終了)
Yahoo!カテゴリの様なディレクトリ型検索サービス
Google Local (現Google Map)
Yellow Pageなどの情報をインデックス化し、ローカルのビジネス情報、住所、電話番号、地図情報をユーザへ提供
Google Answers (2006年に終了)
ユーザがお金を払うと質問をする権利が得られるサービス。500人以上の選ばれた専門家が24時間以内に返信する。
Google Catalogs (2015年に終了)
それまでネットでは閲覧することができなかった、6,600以上の通信販売のカタログの全てのページの閲覧可能にするサービス
Google Print (現Google Books)
出版社と協業し、出版社が保有する書籍等のコンテンツをウェブサイトと同じようにランク付けし、Google AdSenseを通じて、書籍へ誘導するためのターゲット型広告を開発中。
Google Labs
Googleのエンジニアにとっての遊び場、プロトタイプをテストする。
Blogger (2003年、Googleにより買収)
無料のブログサービスを提供
Limited Availability Services
GmailやSNSサービスであるOrkutなど、限定ユーザに対してテストしているサービス。
2.Google AdWords (2003年Applied Semantics買収、AdWordsに統合)
ユーザが広告をクリックする毎に支払う、クリック課金型広告
3.Google AdSense (2003年Applied Semantics買収、AdSenseに統合)
クリック課金型のアフィリエイト広告
4.Google Search Appliance (2019年に提供終了)
社内文書を検索できる企業向けアプライアンス商品を提供
上場当時の経営陣の顔ぶれ(社外取締役のみ)
社外取締役のみを記載しています。創業者のSergey BrinやLarry Page、CEOのEric Schmidtは有名ですが、社外取締役もすごい顔ぶれです。
John Doerr(当時52歳)
1999年5月より社外取締役。1980年8月よりTop-Tier VCであるKPCBのGeneral Partnerで、 Amazon.com、Intuit、palmOne、drugstore.com、Homestore.com、Sun Microsystemsの社外取締役を歴任。
Michael Moritz (当時49歳)
1999年5月より社外取締役。1986年よりTop-Tier VCであるSequoia CapitalのGeneral Partnerで、 Saba Software, Flextronics International, RedEnvelopeの社外取締役を歴任。
K. Ram Shriram (当時47歳)
1998年9月より社外取締役。2000年1月より、VCであるSherpaloのManaging Partnerで、Amazon.comのBizDevのVP、Amazonに買収されたJungleeのCEPなどを歴任。元Netscapeの上役。
John L. Hennessy (当時50歳)
2004年4月より社外取締役。Stanford大学の学長。
Arthur D. Levinson (当時54歳)
2004年4月より社外取締役。元GenentechのCEO、Apple Computerの取締役を歴任。
Paul S. Otellini (当時53歳)
2004年4月より社外取締役。2002年よりIntelの取締役兼COOを歴任。
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今回の「あの会社の上場当時:Google編」はいかがでしたでしょうか?
今後も、気になる会社の上場目論見書を読んでみたい と思います。
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