思春期・青年期の心理臨床 愛着形成の重要性 幼くなってきている子供と大人達
放送担当講師名:大山 泰宏(放送大学教授)
ゲスト:岩宮 恵子 (島根大学教授)
第13回ラジオ講座を聞いて。大山先生と岩宮先生、眼差しが優しく、視座が高く、それでいて謙虚で、素晴らしい先生方だなと感じた。早速いくつか著書を購入。車の中で軽く聞いていただけなのだが、印象に残った点を備忘録として。
●思春期・青年期という年齢上の区分にある場合でも、実際の問題となっているのは「子ども期」の問題である場合もある。また、大人であっても「思春期」の問題が、内在していることも多い。
●年々、すべての学校で子供たちが幼くなってきている。またその親たちも幼くなったきている。それぞれの時期での愛着形成、乗り越えておくべきことが消化されていない。中学生が小学生低学年位、おじさん、おばさんが思春期のような悩みを抱えていることもある。
●二次元、スマホやアニメに癒やされたてきた子供たちが年々多くなってきており、心理相談に来ないような普通の子供たちでも、空虚感、人との信頼感、安心感を持てずにいる子供が大変多くて驚く。子守させられてきた子供たちは、人との信頼感を築くことが難しくなってきている
信頼感、友人との関係、家族との関係が、深い谷底に霧をかけてくれ、見えないようにしてくれている。それがなく、無限の底をみてしまうことは、凄まじい恐怖と孤独だろう。ひきこもって、それらと対峙している子供たちを見ると勇者の姿を連想させられる。保健室に来れている子は、むしろエリート。教室にも居場所がなく、保健室にも行けず、担任の先生とも繋がれない子供たちで、購買でウロウロしている子がいる。購買部のおばちゃんが保健室に連れてきてくれる。購買部のおばちゃんの存在は大きい。こういう学校は、子供たちにとって安心感が高い。
●大人しかった子が、色いろ面倒なことをするようになる。担任、学校システムとしては全体を遂行させる必要があるので、どうしても、そういう子を叱るなど抑え込む状況となってしまう。しかし、一個人の魂を救う、彼らの成長ということを考えたとき、甘えさせてあげる期間(幼少期に甘えられなかったものが、出てきている)は大変重要となる。全体主義と個人の成長というバランスをいかにとるか。。。。
●Twitter では「何で生きているのだろう」とつぶやいても、陰キャとか「私も思ったことある」とか「生きろーーー」とコメントがつく程度。それを、同じ仲間として深く掘り下げることができない。
「いかに生きるか」というのは不適切。「何で、生きているのか?何のために生きているのか」の方がしっくりくる。子供たちの中には「何で、生きるのか?」が通奏低音として流れているように感じる。これが最大のテーマ。
●子供たちの好きなことから話を始める。
「なんの動画にハマっているの?」「どんなライトノベル読んでるの?」
異世界ものが大変な人気。神話の世界。今とは違う世界。ゲームもまたしかり。それらの世界と、生身の身体を持った世界をどう接合するか。リンクさせるかが肝となる。
●親が子供に不倫の話や相談をするなども多くなってきている。子供は大変聞き上手で、親を応援しているが、小学生、中学生、高校生へと上がる頃に情緒が不安定になり、自責感、罪悪感を強め、それがおかしい行動として出ることもある。またFBなどで、昔付き合っていた人と、再開して関係をもつことも昔より多くなり、思春期の敏感な子供は親の変化にすぐ気づく。おじさん、おばさんなのに、中学生のロミオとジュリエットにでも戻った気持ちで、生き生きする。生き生きするのは悪いことではないが、行き過ぎによる悪影響を考えるべき。ロミオとジュリエット→家が邪魔→今の子供も邪魔という構図になり、新しい不倫よりも、以前付き合っていた人との不倫は、子供の存在意義さえ否定することになり、子供の心に大変大きな傷跡を残す。
親が恋愛の相談を子供にすることは、子供として親に甘えることが必要な時期にそれができないことになる。親と子供で共通の好きなアイドルを追いかけるとうのは、親の未消化であった体験を消化させる意味もあり、有効であるが、親が子供の同級生をかっこよいといって、花束を渡すなど、行き過ぎている行為、大人として、子供を育てる役割を担えていない人も多くなってきている。
●思春期は深い谷底と対峙する時期。
●子供の思春期に対峙することで、自分の中で未消化であった、クリアできていなかった感情が浮かびあがることがある。
例)反抗する子供→その件を実母(子供にとっての祖母)に話す→私のときは、あなたは反抗しなかった。あなたの育て方が悪いのでないの?→自分(子供の母)が反抗しなかったのは強く押さえつけられていてできなかったから。突如、実母に対する凄まじい怒りが湧き上がって、泣いて怒りながらその時の心情を吐き出す→母親は生きやすくなり、子供もその呪縛の影響を受けなくなり、生きやすくなる
●先生方。自分のキャラを変えて、無理をしてカウンセリングするのは良くない。子供にすぐバレる。自分自身のキャラで対峙することの方が、子供は自分に合う人を見て、助けを求める。
例)購買部のおばさんには、幼少期の未消化部分。担任の先生には、中学生としてなど、、、、。なので、相手によって、態度や性格が変わるのはむしろ当然。
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