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プロ格闘技における減量方針と体重設定

えっ方針⁉
なんでわざわざ?

どうも、アスレティックパフォーマンスコーチのタケダイグウジです。

僕は曲がりなりにもMMA、キック、ボクシング等のプロ格闘技選手達の指導を15年近くしてて、減量指導も数百試合経験して一応最新のスポーツ栄養をキャッチアップしている身としては、
『減量』
自体に最近フォーカス行き過ぎてて、試合に向けてパフォーマンスを上げる試みのすごーく小さいパートでしかないということ、ただしそれに正しい方法と知識を持って判断し、遂行してもらう為にどう考えているか述べたいという気持ちがあり書いていきます。

つい最近も減量苦に自ら命をたってしまったケースもあり、選手もそうですがサポートスタッフにも今一度考えてほしいし、適切な知識を得てほしいです。

ノー根性論

ノーストーブ追い込み

です。

専門家名乗るなら凄くスペシャルな方法を伝授してくれる人かと思われることもありますが、僕自身は選手が最適なパフォーマンスを出せるように現状で最適かつより安全な方法を伝え、寄り添えるようにしています。

有料noteを書いたのも僕のクライアントでない方々に正しい知識と情報を提供しようというコンセプトで出しているので、基本的にほぼ同じことをチームの選手達に伝えてます。おそらく僕のクライアントのライバル達も多数読んでくれてるのではないでしょうか。


指導方針

僕が減量指導で気を付けているのは下記の通り

・選手が安全に体重を落とせる範囲までしか通常体重を増やさない
・過渡な水抜き&リカバリーは勧めない
・多様性を認めつつ、より安全な方法を伝える
・水抜きの際は出来るだけチームメイトにサポートしてもらう
・普段から健康的な食生活を心掛け、競技、階級に沿った量を提案する
・選手が出来る範囲で適切なサプリメント摂取指導
・普段の練習、トレーニング内容把握
・ファイトキャンプ時の適切なピーキング指導
・基本のスポーツ栄養をベースに常に新しいことにキャッチアップしより良い方法を模索する
・ドーピングフリー
・選手達に徹底的に情報開示

当たり前のことしかしません。
ですが特に重要視しているのが、

『普段の練習、トレーニング内容把握及びファイトキャンプ期のピーキング指導』という減量と関係ないことで減量に入る前にスケジュールを知っておき適切なアドバイスがしやすくなります。

ここから少し体重の設定や格闘家としてどの様な身体作りを目指すべきなのかをお伝えします。

そもそもの減量幅と体重設定

これは有料noteにも書いていますが、僕の経験、データ、そしてUFCのデータから導いて下記の数値を出してます。(各画像の文字はタップして拡大して確認してください)

この数値は長年僕が指導する選手達に伝えている値で、選手の身長、骨格、除脂肪体重、年齢、どのレベルの選手かで増減あります。まぁ+10%の設定は若手で年に5試合くらいする可能性がないならしませんが。

下記の数値はUFCのトレーニング施設であるUFC Performance Instituteが公表している数値です。

画像タップして拡大してくだい

赤枠で囲っているのがManageable、要は管理しやすいという数値設定でそれ以上はリスクが上がりますよという値です。

4週間のファイトキャンプで+13%
8週間のファイトキャンプで+15%

で僕の数値とほぼ一致します。これは元々週に1%くらい落として+水抜きをどの程度おこなうかで逆算してだしていたので、何千というデータがあるUFCと相違がなかったので基準値としてファイターや指導者の皆さんも参考にしてください。

下の表はファイトキャンプから試合までの体脂肪率と体重の理想です。

軽量級だと少ない方の数値にしたいところで、ファイトキャンプ入る頃には9~10%くらいで始めて週に1%程度落としてほしいところです。

ここからは別のブログと重複するところがあります。

階級の設定って?

階級制の競技をしている以上〇〇kg(lbs)で試合をするっていうのは事前に決まっており、どの体重の階級でおこなっていくかは、競技(MMA、キック系、ボクシング、レスリング)、計量方法、そして身長、骨格、体型で大体決まってきます。

僕が長年担当する中村倫也選手がいるバンタム級は水垣偉弥、田中路教や石原夜叉坊もいたのでUFCにこの階級が出来てから一番チェックしてますし、10ポンドずつ階級が変わる平良選手がいるフライ級からライト級までの平均身長やランカーの体格を分析してたのでどのように設定していくのか考えてみましょう。

身長180cmあっても60kgくらいの階級の選手もいれば、80kgくらいの階級の選手もいるので一概に正解はないです。
僕が一番得意なMMAで考えた時に、基準となるのが「どれくらい筋肉あって」、「どれくらいの体脂肪率」なんですが、頂点のメジャーリーグUFCの場合どうなんでしょうか。チャンピオン+ランカー15人の平均身長だと

フライ   平均168.8 最高175 
バンタム  平均171.6 最高180
フェザー  平均175.3 最高183
ライト   平均177.4 最高191

です。
次にUFCファイター達の除脂肪体重ってどれくらいなのでしょうか。

UFCファイターの除脂肪体重

除脂肪体重とは体脂肪ゼロの時の体重で体水分も含みます。1を超えていれば階級体重より重いということです。

四角で囲っているフライ~ライトは軒並み1を超えており。フェザーの平均1.037とか脅威的な数値です。
仮にフェザー65.8kgでかける1.037だと体脂肪ゼロで68kg以上ですかね。そこに5%程度脂肪乗せてるから、必然的に水抜き量が多くなります
僕が選手に望むのは除脂肪量は最低1以上、現在チームのトップ処は1.02は普通に超えてくるかな。体脂肪率も6%以下でそこからの水抜きになります。
ただ今の自身が闘う階級で減量がキツいなら自分の除脂肪体重知ることからも見直しが出来ますし、体重が軽いから減量楽で直前まで練習に集中出来て良いね、という考えもアリです。
減量幅が多い少ないことの是非より、UFCレベルのスタンダードを知っておくのは絶対必要。

平良選手は170cmと比較的フライ級では高身長になりますが、ムハマド・モカエフやロイバルは更に高くて175cmもあります。中村倫也は平均身長ですが、フィジカルレベルは殆どチャンピオンレベルにあります。
体重軽い場合で減量幅が少ない選手でもやはりパワー&スタミナといったフィジカルレベルがしっかりあれば大丈夫なので、あくまでも選手が最適なパフォーマンスが出せる範囲で減量をしてほしいと願います。

若い選手は比較的無茶な減量をしがちなので、僕みたいなコーチやジムの代表が正しい知識をもって選手を導いてほしいと願うのみです。


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