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病院のE君について

おはようございます。

今日もつれづれに書いていきたいと思います。

僕は長いこと、精神病院に

入院していました。

そこで色んな人間模様がありました。

皆様々に光と影を背負って生きていました。

その中にE君というこがいました。

彼は、背は低いのですが

頭が物理的に固く

しかもその頭から突進するような形で

歩く子でした。

毎朝コルセットを巻いて

姿勢矯正しながらあるくのですが

どうしても頭から突進する形になってしまい

僕も脇腹に頭突きを喰らって悶絶したことが

ありました。

また病棟には40人以上の人間が見る

テレビの

二台しかないのですが

彼はそのチャンネル争いの

主人の一人でした。

彼は50代なのですが

大人気もなく

見たい番組があると

だれがなんのテレビを見ていても

急にチャンネルを変えて

しまうのでした。

僕はあまりテレビには執着がなかったので

殆ど関係なかったのですが

ある日とてつもなく見たい番組があって

見ていると

その番組の結論が出るところで

急にE君にチャンネルを変えられて

激怒したのを覚えています。

彼はまた、コーヒーが好きで

いつもネスレのコーヒーに

クレープと砂糖を混ぜて

飲んでいました。

たまに彼はそのコーヒーを

分けてくれるのですが

病院ではそういう事も禁止されていたので

肩身が狭かったのを覚えています。

本当に精神病院というのは

不思議な圧迫感があり

常に脅迫を受けているような感覚に陥る

所でした。

ああいう場所では

人間らしい人格と言うものは

まず出来ないだろうと思います。

犯罪を犯した青少年が

少年院に入って

さらに心の奥はグレてしまうのに似て

精神病を患った人間が

精神病院に入ると

さらに心の底は

病的になってしまうものなのかもしれません。

ただ病院には、作業療法と言って

ネット手芸や機織り

マクラメや革細工などを

実践する、訓練があり

それに真面目に参加していた僕は

よく作品などが一年に一回の展示会で

展示されたりして

それが自負となり原動力となって

今の仕事ができている気がします。

曲がりなりにも社会復帰できたのも

そのお陰かもしれません。

E君に話が戻りますが

彼は好きな女性の看護師さんがいて

とても慕っていました。

とにかく童顔で背が低いので

三十代と言っても

誰も驚かなかったでしょう。

でも彼はその事をとても気にしていて

俺は50になったんだと

強調するようによく言っていたのを

思い出します。

ある日彼はペヤングの

超超超大盛り焼きそば

と言うのを外で買って来て

病院の食事を一回断って

その焼きそばを食べていたのを

思い出します。

彼はまたスキンヘッドで

頭から突進してくる時には

ピカピカ光る光り物が

こちらにぶつかってくるような

印象を与えていました。

今彼は何をしているのでしょうか。

相変わらずコーヒー飲んで

作業療法で出されるプリントの

宿題をこなして

テレビ見て

ダラダラしているのかと思うと

同情してしまいます。

本当に退院できて良かったと

彼には悪いですが

思う毎日です。

ぺん太郎

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