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めざせぺぺぺのさいこう傑作『斗起夫』

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2022年12月28日(水)〜12月30日(金)に上演する『斗起夫ー2031年、東京、都市についての物語ー』の創作過程をお伝えします。
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#ペペペの会

「幸せの証明書が欲しい」佐藤鈴奈

「幸せの証明書が欲しい」佐藤鈴奈

昔から「ナナ」って名前が好きでした。

ナナ、なな、NANA。
なんか親しみやすくて、可愛くて、つい呼びたくなる。
そういえば、NANAっていう漫画ありましたよね。全く違う生き方をしている二人の「NANA」が出会う話。

8月の斗起夫ワークインプログレスで、戯曲を書くときに登場人物にどうやって名前をつけるかという話をしたんですけど、ナナちゃんはどうつけたんでしょう。なんとなく「ナナちゃん」だなって

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「らしさがこんちくしょうを抱えている」小澤南穂子

「らしさがこんちくしょうを抱えている」小澤南穂子

わたしは、今回十和田という映画監督の役を演じます。
戯曲を初めて読んだ時から、この役のキーワードに、直感というものがあると思っています。
台詞を読むと、十和田は、1秒前に目の前で起こったことや聞いた言葉に、反応して喋っているように思えてくる。
だからこそ、言葉ですぐには伝えきれないことが十和田の中に溢れている。

俗にいう、「芸術家肌」というやつか。
と、少し棘のある感想も浮かべる。
冷たい目線で

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「公演に向けて思うこと」小林彩

「公演に向けて思うこと」小林彩

 私が初めて『斗起夫』の小説版を読んだのは、今年の夏、ワークインプログレスの稽古が始まる頃。読んだ第一印象は重い、暗い、ということ。私はこの物語を理解することができるのだろうか、ということ。

 けれど今回の12月の稽古が始まり、台本になったこの物語を読んでいくうちに、印象は全く違うものになってきた。私が今、この台本からイメージするものは、万華鏡。くるくると回しているうちに、模様が次々と変化してい

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「熱狂と冷静の狭間」中荄啾仁

「熱狂と冷静の狭間」中荄啾仁

先日とあるミーティングの場で、
「祭りの中では、それを冷静に見るという姿勢でさえ祭りにノッた姿勢になってしまう」
と言う話題が出てハッとした。
熱狂の中では、それを冷静に見ようとする姿勢さえ、それは熱狂に煽られたものでしかない。

そして都市は混乱している。みんなが、各々に熱狂して生きている。
そんな中で私たちはどんな風に冷静でいられるだろうか。

知は、冷静になりたい私たちに非常に魅力的なものに

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「百合さまと呼んでみることにした」松浦みる

「百合さまと呼んでみることにした」松浦みる

『センセイの鞄』
という川上弘美さんの小説が好きだ。
主人公ツキコさんと、ツキコさんの高校の先生である"センセイ"との恋のお話である。
ツキコさんが駅前の飲み屋のカウンターで
「マグロ納豆、蓮根のきんぴら、塩らっきょう」
と頼むと、隣の人も同じものを同時に頼み、
「趣味の似たひとだ」
と見てみるとセンセイであった、という再会のシーンから始まるが、
とにかく飲みの描写が多いのが好き。
飲むとき何を頼

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「自分の役について/働き者の「リリィ」さん」宇田奈々絵

「自分の役について/働き者の「リリィ」さん」宇田奈々絵

こんにちは!ぺぺぺの会には2年ぶりに出演します。
宇田奈々絵と申します!
自分の役について書きます!

私の役は「リリィ」という女性。
司会のお仕事をしながら『仲間』と言う組織のサロン運営をしています。
つまり彼女はWワーカー、2足の草鞋でお仕事をされています。
今回はそんな働き者(?)彼女のお仕事に注目してみました。

小劇場の俳優の多くは、他にもお仕事やアルバイトなど副業をされている方も多いで

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「統べて認める/られる」小池舞

「統べて認める/られる」小池舞

書かなければいけないものほど書けない。
書くためにコーヒーを淹れ、焼き菓子を用意した。
思考はビタ1mmも働いてくれやしない。
逃げ道としての煙草を吸っていればよかったと思う。

判を押したような日々の繰り返しが嫌になって、映画館に逃げていた。
田舎のイオンシネマは空いている。
日中か、夜の変わった時間に行くと、2,3席しか埋まっていない。
世界一美味しいポテトフライが売っていたから、さみしさを紛

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「東京の悪意」はぎわら水雨子

「東京の悪意」はぎわら水雨子

評論家って一体なんだろう。
何かを評して論じる人。
ニュースを観ていると必ずと言っていいほど何かの評論家に出会う。
評論家だなあ、と思う。
そして、評論家たちが喋る言葉に耳を傾けているかというと、そうではないなあと思う。
評論家って何をもって評論家なんだろう。たぶん特に資格がいるわけではないだろう。
わからなさすぎて、中身が進まないまま7行目に突入してしまった。

この劇に出てくる平岡公威(ひらお

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