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映画『容疑者Xの献身』 お前、数学あきらめて魚屋になってたろ?(ネタバレ感想文 )

監督:西谷弘/2008年 日

原作未読。ドラマ『ガリレオ』も最初の1,2話くらいしか見ていません。

『容疑者Xの献身』は、ちょっと見たい事情があって、ケーブルテレビでの放送を夫婦で観始めたんですが、ウチのヨメが「アレ?」って言い始めたんです。ピンと来ましたよ。

以下、夫婦の会話。

俺「分かった!あれと間違えたんだろう?えーっと、何だっけ、『初心者』じゃなくて…」
ヨメ「うん、そう、当たり。勘違いしてた。『新参者』だけどね」

こんな原作未読ドラマ未見、阿部寛と福山雅治の区別もついていない、福山雅治とハリウッドザコシショウの見分けもついていない(<そんな訳あるか)私でも面白かったです。
思っていたよりいい映画でした。シュ~!

この映画(というか話)に興味を持った理由は、文学者・石原千秋の『読者はどこにいるのか』という本に出てくるんです。
作者の誤りと思われるものを指摘し(それは映画では解消されているようだ)、その上で「テクストは間違わない」という立場から新しい解釈で読み解くという内容だったと思います。覚えてないけど。
いずれにせよ、それが興味を持ったきっかけでした。

正直言ってフジテレビのドラマ映画化はナメてたんですが(今でもナメてるんですが)、予想外に面白かった。

その理由の一つは「ファン感謝祭」ではなかったこと。
テレビドラマファンに向けた「ファンサービス映画」ではなく、単体の映画として成り立っていた。
ガリレオ福山はあくまで物語の狂言回しにすぎず、堤真一を主人公とした物語が描かれていました。
それでいて、実に面白い福山は、謎解きの主役としての役割をきちんと果たしている。

ただ、数学は世の中の事象を数式で「解き明かす」ものであって、「仕掛ける」ものではないような気がしますけどね。それは心理学の分野じゃねーの?って気がするので、「天才数学者」設定には疑問を感じています。
第一、堤真一は数学をあきらめて魚屋になってなかったか?(<ドラマ『やまとなでしこ』の話をしています。古いな)

でもね「天才」は必要。
面白かったもう一つの理由は、「知力と知力の対決」だったこと。
数学や物理学が活かされてたとは思わないけど、天才同士の対決ではあった。だから逆に、(原作にはないらしい)登山シーンなんかいらないと思うんだけど。

そして、その「知力」で勝負してきた男が、「感情」に負けるんです。
容疑者X(それは本当に堤真一を指しているのか、本当は松雪泰子を指しているのではないか、それが石原千秋の解釈だったように記憶している)の「計算違い」(それは堤真一にとっても松雪泰子にとっても)が、「感情」だったんですよ。

そういう点が面白かったんですよね。

ドラマの映画化にありがちな「誇張しすぎた」こともなかったし。シュ~!

(2023.09.24 CSにて鑑賞 ★★★☆☆)

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