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映画『ゴッドファーザー』 狂おしいほど好きすぎて号泣する(ネタバレ感想文 )

監督:フランシス・F・コッポラ/1972年 米

大好きな映画。アメリカ映画で最も好きな作品。
大学生の頃にオールナイト上映でパート1,2を立て続けに観た30数年前以来、何度も観ています。
今回は2010年にBS放送で観て以来の再鑑賞。映画館では2004年以来。
その時はデジタルリマスター版でしたが、今回は50周年記念4K版を二番館で鑑賞。

好きすぎて泣いちゃうんですよ。
ニーノ・ロータのメインテーマ(<愛のテーマではない)が流れてメインタイトルが出た段階、開始わずか10秒でもう泣いている。
エイドリアン、じゃなかった、コッポラの実妹タリア・シャイア演じるコニーの結婚式で泣く。

陽光の下の結婚式の対比として影である室内。真上から照明を当てた陰影の濃いゴードン・ウィリスの撮影に泣く。
次々と出てくる数々の名シーンに泣く。
終いには、マーロン・ブランドが「もういい」という風に小さく手を振るだけで泣き、ロバート・デュバルがアル・パチーノに耳打ちするだけで泣く。
当然、ダイアン・キートンの面前で扉が閉められるラストシーンでは号泣している。

30余年にわたって何度も観ていると、自分にとってある種の定点観測のような作品になっている気がします。

若い頃は、アル・パチーノ演じるマイケルに感情移入して観ていました。
年齢を経て鑑賞した約10年前は、父親ヴィトー・コルレオーネのマーロン・ブランドに感情移入していました。
そして今回、私は「神の視点」で観ていたような気がします。
登場人物の誰かの気持ちを汲んでいたというよりも、広い視野で一大叙事詩を見守っていたように思います(<泣いてたくせに)。
コッポラ33歳という若い時の作品ですが、コッポラ自身はどの視点だったんだろう?

コッポラは早熟だったと思うんです。
淀川長治先生は前作『雨のなかの女』(69年)を高く評価していましたが、私は本作と、翌年の『カンバセーション…盗聴…』(73年)、『ゴッドファーザー PART II』(74年)辺りがピークで、続く『地獄の黙示録』(79年)でナパーム弾と共にその才能も焼き尽くしてしまったと思うんですよね。
30代がピークだったんだよなあ……。

今回改めて「面白いな」と思ったのは、アル・パチーノの変貌です。
もちろん、年月を経ている役柄なのでメイクや髪型で変化をつけているのですが、アル・パチーノのたたずまいそのものに貫禄が出てくるんです。
そして徹底して感情を表に出さない。
彼がわずかに微笑むのは、イタリア娘と宴会の席で目を合わせた時だけ。
後のアル・パチーノのおなじみとなる「キレ芸」は、最後にダイアン・キートンに詰め寄られた際に一瞬だけ机を叩いた時だけ。
感情を大げさに表現せずに、人が変化していく様を表現している。

この映画、3つの結婚が出てくるんですよね。
(結婚式のシーンは2回だけど)
そう考えると、女性の視点で考察しても面白いと思うんです。
「家族」の物語として捉えるべきなんでしょうが、「家庭」を不幸にする男たち(女性を幸せに出来ない男たち)の物語のようにも思えるのです。
それはある意味で、「代償」の物語とも言えるような気がします。

「最初に会談を持ちかけてくる奴が裏切り者だ」
これねえ、一度言ってみたい台詞なんですよね(<どんな日常で?)

(2023.01.06 Morc阿佐ヶ谷にて再鑑賞 ★★★★★)

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