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映画『オルフェ』 神話なんてだいたい荒唐無稽なもんですよ(ネタバレ感想文 )

監督:ジャン・コクトー/1950年 仏

ジャン・モリス・ウジェーヌ・クレマン・コクトー (Jean Maurice Eugène Clément Cocteau, 1889年7月5日 - 1963年10月11日) は、フランスの芸術家。詩人、小説家、劇作家、評論家として著名であるだけでなく、画家、映画監督、脚本家としての活動も行っており、その多彩さから「芸術のデパート」とまで呼ばれた。

Wikipediaから引用

なぜこんな、技のデパート舞の海みたいな話を持ち出したかというと、「いろんな芸術活動をやってる人」っていうのがジャン・コクトー作品を理解するポイントのような気がしているからです。

とはいえ、私が観ているジャン・コクトー監督の映画は『美女と野獣』(1946年)と『オルフェの遺言』(60年)だけでした。でも、今回この作品を観て確信しました。
ジャン・コクトーは変な特撮をやりたがっている(笑)。

それはおそらく、「映画(映像)でしか表現できないこと」に挑戦していたからだと思うんです。
絵画や小説・詩や演劇では「逆再生」はできませんからね。たぶんリア・プロジェクションもやってるな。
「芸術のデパート」と呼ばれるほど「多彩な芸術表現」を行う中で、他の芸術で表現できることは他でやればよくて、映画だからできること、映像にしかできないことにこだわったのではないでしょうか。
こだわったというか、それを「面白い」と感じたというか。

でもね、この映画冒頭でもオルフェウス伝説の概要が説明されますが、黄泉の国へ行く所謂「冥府下り」のクダリ。ちなみに冥界の番犬は有名なケルベロスなんですよ。この映画でケルベロスに相当するのはバイク野郎なんでしょうけど。まあ、それはさておき、一度死んだ奥さんを現世に戻す条件は「冥界から出るまで、振り返って奥さんの顔を見ちゃいけない」って話なんですよね。
ところがこの映画、現世に戻ってまで「奥さんの顔見ちゃいけないコント」を繰り広げるんです。
なんだそれ?
それと、あのモールス信号と謎のポエム。あの詩そんなにいいか?(そもそも詩なのか?)

いやもう、いろいろ謎で。
そもそもオルフェ自体に物語が見出だせないんですよね。
むしろこれ、死の女王の片思いの物語になってないか?
まあ、仕方がない。神話なんてだいたい荒唐無稽なもんですよ。

あー、『黒いオルフェ』(59年)も観てみたい。どこかで上映してくれないかな。

(2023.01.04 恵比寿ガーデンシネマにて鑑賞 ★★★☆☆)

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