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映画『アメリ』 奇跡を積み重ねた奇跡の映画。または幸せになるアダルト映画(ネタバレ感想文 )

監督:ジャン=ピエール・ジュネ/2001年 仏

原題(Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain,)は「アメリ・プーランの素晴らしい運命」という意味だそうです。
2001年4月にフランスで公開され大ヒット。日本でも2001年11月17日に公開されました。

まったくもって私事ですが、私は、今はなき渋谷シネマライズにて2001年(平成13年)12月11日に鑑賞。約1ヶ月後の12月25日に二度目の鑑賞。年明け1月7日に三度目の鑑賞をしました。
1ヶ月で三度も同じ映画に足を運んだのは、後にも先にもこの映画だけ。
映画はアメリの人生が激変する過程を描いていますが、私にも激震が走った作品なのです。

その後もBS、CS、DVDで何度も観ているのに、デジタルリマスター版だということで、約20年ぶりに映画館で鑑賞。
観過ぎてて、もう新たな感想は浮かんでこないな(笑)

日本の配給会社のアルバトロスは、『デリカテッセン』(1991年)、『エイリアン4』(97年)のジャン=ピエール・ジュネの新作「ホラー」だと思って買い付けたという話がありますがね。

ポスター見てもホラーと信じて疑わなかったとか。
なんならスプーンで人肉を喰う話くらいに思ったとか思わなかったとか。

結果、配給会社の思惑は大きく外れて日本でもヒットし、世間的にはお洒落で可愛いラブストーリーのイメージが定着しますが、実はなかなか下品ですからね。
不法侵入やストーキングの犯罪行為はもちろん、セックスシーンだって何回出てくる?てゆーか、ドミニク・ピノンの濡れ場なんて必要か?津川雅彦じゃないんだからさ。

ドミニク・ピノン

いや、たしかにこれは、典型的な(そしてコミュ障などという言葉の無い時代の)ガール・ミーツ・ボーイの物語なんですけどね。
ほんと、ジャン=ピエール・ジュネは意地が悪い。

意地は悪いがアイディアは豊富。
この映画に次々と放り込まれるアイディア、小ネタは数知れず、それだけで映画が何本も撮れちゃうぜ、ってくらい。
なんだよ、その、彼が来ない理由の誇大妄想(笑)

そして、その「策士策に溺れる」妄想好きの女子が、泣きながら(<それだって元は自分が頼んだのに)料理してて、妄想の中で彼が買い物してきてくれて、台所に立つ私の背後にそっと近づき、のれん(?)を揺らす。
そして、その妄想と同時に、実際にのれんが揺れる。
妄想と現実がリンクする瞬間。
ずっと現実社会と妄想(アメリの心)が重ならないまま、この瞬間にピタッと重なるんですよ。

この映画で描かれるのは、奇跡(奇跡的な偶然)の積み重ねなのです。
以前の住人(少年)の宝箱を発見したのも奇跡なら、それをきっかけに世界と繋がろうと思うのも奇跡。そう思った時に、自分と同じ匂いのする男性に出会う偶然も奇跡。そして、謎の証明写真の男にバッタリであうのも…。
「アメリ・プーランの素晴らしい運命」
それは、奇跡の連続。
思い返せば、何千万だか何億だかの精子が卵巣に辿り着いてアメリが産まれたところから奇跡が始まっていたのです。

(2023.11.26 kino cinéma立川髙島屋SC館にて再鑑賞 ★★★★★)

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