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映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』 (ネタバレ感想文 )どんな笑顔見せても心の中が読まれそう

TCPの企画に応募したいわけでもなければ、蔦屋さんに媚を売ってるわけでもないんですが、対象作品に好きな映画があったもので。

横浜聡子『いとみち』(20年)の感想でもこの映画を引き合いに出したんですよ。

近年、女性監督による地方女子の葛藤映画が増えている気がします。
岨手由貴子『あのこは貴族』(21年)とか、箱田優子『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(19年)とか。山戸結希にも初期の『おとぎ話みたい』(13年)などにその傾向が見られます。いやまあ、男子だってあるんですけどね、『祭りの準備』とか(<古いな)。

そういや、『ジャーマン+雨』(06年)と出会えたのはTSUTAYAのおかげだったな。

この『ブルーアワーにぶっ飛ばす』の感想は、noteを書き始める以前だったので、ブログに書いたものを丸っと転載します。
いやもう、映画観た人にしか分からない(観た人にも分からない)ヒドい感想文。(<そーゆーとこだぞ。)
でも自分では結構気に入っている。(<そーゆーとこだぞ。)

以下、感想文(2019年当時のまま転載)

ブルーアワーは『ツィゴイネルワイゼン』の切通し。
感情は「サマーナイトタウン」に集約される。痛すぎて飲み込めない。

茨城の場末のスナックで伊藤沙莉が「サマーナイトタウン」を歌います。
元モー娘。ファンでこの曲をよく歌っていた私が解説しましょう。

どんな笑顔見せても 心の中が読まれそう
大キライ 大キライ 大キライ 大スキ

この映画の夏帆ちゃんの感情は、この歌詞に集約されるのです。

私自身が「都会で暮らす田舎者」なので、監督の分身(であろう)主人公に共感しちゃうというか、もう、痛くて痛くて。
だからもう、整理して、論理立てて書けないんです。

目の当たりにする年老いた母(この映画の南果歩は出色)や家族。さえない観光地、ヤンママ達。田舎町。大キライ。

死期の近い祖母。無慈悲に昆虫を殺していた子供の頃。猫の想い出。不倫相手の奥さんに宿った新しい命。

伊藤沙莉のように地元で力強く生き延びる覚悟もないまま、都会で「上手く生きている」つもりの自分。強がって生きている自分。そういうのダサい。
「作り笑顔」とスナックのママに指摘される幻想。どんな笑顔見せても、心の中が読まれそう。

夜明けだか夕刻だか分からないブルーアワー。
映画の最後は、田舎から走り去る左ハンドルのフィアット・パンダ。
映画の冒頭もブルーアワー。見えない友達と会話し、「オバケなんてないさ」を歌いながら走る女の子。
その時と同じ自分が、フィアット・パンダの助手席(?)で泣いている。
自分でも何故泣いているのか分からない。本当は分かっている。本当になりたかった自分は、助手席の自分なのか運転席の自分なのか。大キライ大キライ。ブルーアワーにぶっ飛ばす。

おそらく監督の分身というか全身全霊自己投影した主人公なのでしょう。
都会で「上手く生きているつもり」の同じ身の私は、なんかこう、ずっと居たたまれない感情を抱えて観ていました。テレビに的外れなツッコミを入れる母親とか、観てて本当に嫌になる。
だからかもしれません。スカイツリーが見えてホッとしたんです。

(2019.10.22 テアトル新宿にて鑑賞 ★★★★☆)

監督:箱田優子/2019年 日(2019年10月11日公開)

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