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卯月短歌 20首 vol.9

1.昼下がり 少し戸惑い 顔寄せた
相手は白き 沈丁花なり

2.次こそは 君に作るよ ちらし寿司 
頬張る姿 想像膨らむ

3.真夜中の コインランドリー 煌々と
皆の孤独と 回り続ける

4.神社の隅 温かい石 定位置で
猫が伸びをし 木漏れ日揺れる

5.呼吸するようにさらりと嘘をつく
女の背中は うすら寒い

6.プルプルの わらび餅持つ ばあちゃんの 
指が節くれ 眼の奥がツン

7.何も言わず LINEグループ抜けた君
風がビューンと 舞い降りる夜

8.いつの間に 妙にすんなり 飼い慣らす
孤独と言う名の 私の相棒

9.春先に 急に風が 冷たくて
知覚過敏の 歯に染みキーン

10.派遣でも 香典包んで お悔やみし
ただお返しは 正社員のみ

11.歯ブラシが 一本減って 嗚呼そうか
君はもう発ち 新天地なのだ 

12.お風呂から 君の鼻唄 響いてる
外は嵐の 春分の朝

13.ラブホテル 入る女の 足元が
ルブタンのヒール 靴が泣いてる

14.コンビニの ハーさんいつも 無愛想
でもきっと彼女 笑うと可愛い

15.電車の中 化粧する女のポーチは
絶望的に 薄汚れている

16.やりたい事 それより家族優先で
母の人生 何処に置き去り

17.桜開花 予報を見るたび 旅行みたい
咲くまで行くまで 準備ワクワク

18.名残雪 季節が移る 理(ことわり)に
駄々をこねる 赤子のようで

19.何人(なにびと)も 弱みを抱え それこそが
光る魅力だ 磁石の如く

20.人生に 勝ち組なんて ものはなく
誰もがどこかで 浮き沈みのみ

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