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感染者を責める心理

連日、どこの誰が新型コロナに感染したと報道されている。

このような報道に対して、ソーシャルメディア(e.g., Twitter)では、新型コロナ感染者を責める言動が目立つ。この心理については、人には「公正世界信念」があるからという説明ができる。



公正世界信念とは

公正世界信念とは,「世界は突然の不運に見舞われる ことのない公正で安全な場所であり,人はその人にふさわしいものを手にしているとする信念」であり(Lerner, 1980),幼児期からの経験を通して形成されると言われている(Bennett, 2008)。

例えば,ある新型コロナ感染者が,夜の繁華街で遊んでいて,新型コロナに感染したことが報道される。
この報道に対して,こんな状況で夜の繁華街で遊んでいるのが悪いんじゃないの?という声が聞こえてきそうだ。

これは,新型コロナウイルスが蔓延している現在に外出すべきではないという信念によるものであろう。

多くの人は世界に秩序を求めている。
この秩序とは,善いことは善い行いをした人に起こり,悪いことは悪い行いをした人に起こるという考えである。

公正世界信念は,自分が社会に抱く秩序と関係しており,このような信念から,人は新型コロナ感染者を責めるのである。

新型コロナ感染者についての報道の仕方を考える必要があると思う。


新型コロナウイルスが蔓延している日々の過ごし方

新型コロナウイルスが蔓延している現在,私たちは,「他者から必要な支援を受けつつ、他者との関係を上手に保つ方法」を考える必要がある。

日本心理学会では、その方法を心理学の観点から提案している。

日本心理学会では、アメリカ心理学会(American Psychological Association: APA)の公式Webサイトに掲載された記事「Keeping Your Distance to Stay Safe」を,アメリカ心理学会の許諾を得て,日本語に翻訳した記事「もしも「距離を保つ」ことを求められたなら:あなた自身の安全のために」があります。


現在,至るところで,新型コロナに感染したり,感染者に接触したり,集団感染が広がったりしている状況において,自宅で過ごす人々が多いのではないだろうか。

特に、一人暮らしの人は,他者との接触が少なくなり,通常の生活から切り離された感覚に陥る可能性が高い。

日々をどのように過ごすのか,誰に支援を求めることができるのか,自分自身や大切な人を守るためにどのような対策ができるのかを考える必要がある。


参考文献

Bennett, A. K. (2008). Just world jurors. Jury Expert, 20, 35–44.

Lerner, M. J. (1980). The belief in a just world: A funda- mental delusion. New York: Plenum Press.

村山 綾・三浦麻子 (2015). 被害者非難と加害者の非人間化―2 種類の公正世界信念との関連 心理学研究, 86, 1-9.

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