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令和6年9月17日の昼飯


本日、食したカップラーメンはこちら!

マルちゃん
がっつりうまい! マジ盛
「貝だし白湯」
歯切れのいい極細麺‼
濃厚でクリーミーな貝だし白湯ラーメン!

だぁぁぁぁぁぁ!


早速! いただきます!

ヤバい、血精液症が治ったと思ったら、今度は座骨神経痛!
マジで痛い!
もう、座ってもいたい! 寝てもいたい!
立っているのが一番楽……でも、やっぱり、足が痛い……

ロキソニンを飲むと痛みが取れるので、なんとか仕事はこなせる。
こなせるのだが……座っている姿勢がかなりしんどい。
椅子の高さなどを工夫して痛みのない姿勢をとるのだが、ディスプレイ越しに前の女の子と目が合ってしまう……
これはこれで違う意味で問題になりそうな予感wwww
だってもう……完全にセクハラオヤジなんだもん……

ということで、今日は「マジで痛い」つながりのお話を。

 シラシ~♪ ラシドレドシラ~♪ シラシ~♪
 じゃカ♪ じゃーん♪
 じゃカ♪じゃカ♪ じゃカじゃーん♪

 (ガラポンで)一かけ二かけ三かけて
 (控室の迷探偵)仕掛けて殺して日が暮れて
 (家路に急ぐ土手上で)橋の欄干腰おろし
 (怖いジイさん)遥か向こうを眺むれば、この世はつらいことばかり
  片手に竹筒、玉を持ち……(互いに交換……今、ココに至る……)

「おっさん!おっさん!どこ行くの?」
「私は必殺仕事人! 天塚タカトと申します」
 街はずれまで引き返してきたタカトに二人の幼女たちが声をかけてきた。
「それで今日は、どこのどいつが……何をやってくれるとおっしゃるんで?」
 仕事人のようにニヒルに決めるタカトの前には緑の2匹の怪獣が立ちふさがる。
 だが、それはみるからに着ぐるみ。
 タカトの進む道をまるでふさぐかのような2匹の怪獣は並んで緑色のかわいらしい視線でにらみつけていた。
 ――何をやるって! 今日のコスプレは怪獣かよwww
 もう、ばかばかしさを通り越し笑いをこらえるにに必死のタカトとビン子。

「その竹筒とお金を置いて立ち去れ!ガオ~!」
「立ち去れガオ~!」

「怖いよぉ」鼻くそホジホジ……
 タカトは鼻の穴に小指の先を突っ込みながら鼻で笑っていた。
 もう、その様子は、この2匹の怪獣の正体がすでに誰であるのか分かっているかのようである。
 そう、言わずもがなこの怪獣たち、幼い双子の少女、蘭華と蘭菊である。

 数日前……そう、タカトが土手下にホーリーウォーターを撃ちだしたその日の夕刻、蘭華と蘭菊は知り合いの女店主ケイシ―=フーディーンのコンビニでバイトをしていた。
 というのも、二人の母である紅蘭は、ヨメルの毒に侵されて病院で寝たきりとなっていたのである。
 しかも、その入院しているのが悪どい組織ツョッカー病院だったのだ。
 支払いができなければ即退院! それがツョッカー病院の掟。
 その法外な入院費を母の持っていた貯金を切り崩し払い続けてきたのであるが、それもとうとう底をついていた。

 そして、今日がその支払の最終期限。
 毒に侵された母が病院から追い出されてしまえば、それはすなわち母の死を意味している。
 それぐらいのことは幼い二人であったとしても理解できていた。
 だからこそ、蘭華と蘭菊は母の入院代を稼ごうとコンビニでバイトしていたのだ。
 だが、幼子のやる仕事……まともな稼ぎになる訳はない。
 そんな二人は働きながら思うのだ。
 ――今日が最後……
 ――お母さんとお話しできるのも今日が最後……
 あふれ出しそうな涙を必死にこらえながら笑顔を作る。
 そして、母が大好きなリンゴをもってコンビニのドアを駆け出して行くのであった。
 だがしかし、運命のいたずらか……
 その時、偶然にも二人は一人のオッサンにぶつかったのだ。
 床に転がる2枚の金貨(20万円)。
 それを見つめる蘭華は思う。
 ――これがあればお母さんは病院にいられる……
 だが、それは人の金……
 しかし、なぜだか、目の前のオッサンはその金貨を突き出し、二人にタダであげると言い出したのだ。
 ――なんでや? うちらに施す理由なんて、このオッサンにはないやろ!
 当然に蘭華は警戒する。
 というのもかつて母は言っていた……「見ず知らずの人からモノを貰ったらイケません!」と……そんなもの不用心に受け取りでもしたら……「お金を渡したんだからお兄さんのお家に一緒に行こうね」……などと小汚いワンルームに連れ込まれて、垢まみれの臭いお風呂の中であんな事やこんな事をされてしまうのだ……そして、妊娠。
 鬼畜!
 ――鬼畜すぎるわ!
 だからこそ、蘭華は金貨の受け取りを突っぱねる。
 だが、その金貨があれば母は助かるのだ……
 助かる……
 助かる……
 ならば……
 涙で顔をぐちゃぐちゃにした蘭華は、すぐさまオッサンであるタカトの手から金貨二枚を奪い取ると叫ぶのだ。
「これは借りたことにずる‼‼ いや、ワタジが盗んだことにずる‼‼ 誰かに言いつけたければいえばいい‼‼ でも‼ でも‼ 蘭菊は関係ないがらね‼‼」
 人のモノを盗めば泥棒……
 そんなことは分かってる。
 でも、これがあればお母さんは助かるのだ……
 ならば、妹の蘭菊だけでも奇麗なままでいられれば……
 きっと、蘭華はそんなことを思っていたのだろう。

 だが、無情にも時は流れて再び支払期限はやってくる。
 しかし、そんな時、なぜかまた、あのオッサンがコンビニの前を通るのだ。
 しかも、中の二人の様子を確認するかのようにのぞき込んでは、何度も何度も行ったり来たり。
 それは、二人に入院代を渡そうとするために店にわざわざやってきたタカトである。
 だが、少々性格がひねくれているのか素直にお金を渡そうとしない。
 まぁ、これでも、タカトなりに気を使ってことなのであるwwww

 しかし、それに気づいた女店主のケイシ―は蘭華と蘭菊に店の衣装を着せて笑うのだ。
「これさえ着てれば、絶対にアンタたちだってバレないから!」
 蘭華と蘭菊は互いに顔を見合わせる。
「でも、これ……顔が丸見えや……」
 しかし、ケイシ―は笑いながら二人の背を押しコンビニのドアから外へと押し出した。
「あの怪盗キャッツアイだって顔はかくしてなかっただろwww」
 
 ――そう確か……最初はメイド服だった……
 タカトは思い出す。
「いらっしゃませ♡ ご主人様♡」
「い……いらっしゃませ♡ ご……ご主人様……♡」
 コンビニの前でにこやかに笑うメイドの幼女が二人
「なに! メイド姿かよ!」
 とっさに身構えたタカトは、少々戸惑った。
 というのも、あの時のようにストレートにお金を奪いに来ると思っていたのである。
 そう、あの時は、素直にタダで渡してしまった。
 だが、よくよく考えたら……なんかそれはそれでもったいない……
 ならば……せめて……「お兄さんのお家に一緒に行こうね」などと声をかけて、釣り上げた幼魚を試食してみるというのはどうだろうか?
 だが、タカトはそのタイミングを明らかに逸していた。

「お会計は金貨2枚(20万円)でございます♡」
 しかも、ニコニコと笑う蘭菊が、なぜかいきなり会計を始めたではないか。
 ということで、タカトの反応は、当然!
「いきなりかい! まだ俺は何も食べとらんわ! しかも! 高い! 高すぎる!」
「だって、乙女の金的つきなんやからな!」
 ぼこっ!
 瞬間、タカトの股間を蘭華の足が蹴り上げていた。
 うほっ!
 とっさに股間を押さえるタカトは手に持っていた金貨2枚を落としてしまった。
 それをすかさず拾う蘭華はいじわるそうな笑みをタカトに向ける。
「毎度あり~♡ オッサン! また来いやwww相手にしてやるさかいに♡」
 きっと、涙目のタカトは思ったに違いないwww
 ――泥棒から強盗にジョブチェンジしとるやないかい!

 そして、今回は怪獣ときたか!
 
 だが、今回は、前回の反省を踏まえ、しっかりと対策をとっている。
 ――そう! 今の俺の股間はパちんこ玉赭ブロー!
 だが、玉赭ブローは……今までの苦闘により中折れし、その中身の液体を失っている。
 しかし! それでも! その外側は銀色の重厚な金属光を放っているのだ。
 であれば!
 玉赭ブローであれをプレートメイルのように包んでしまえば、もう、どうんな攻撃すら通用しない!
 そんなプレートメイルに、蘭華が蹴りでも入れようものなら……
 ゴキっ!
 いたあぁぁぁぁい!
 と、足を押さえて泣き叫ぶことだろう。
 ウッシッシwww
 ――たかが幼女のひと蹴りなど、この玉赭ブロー様が跳ね返してくれようぞwww

 そのせいなのか、タカトは明らかにバカにするかのように鼻で笑っていた。
 そして、下手な大根役者のようにセリフを棒読みするのだ。
「怖いよぉ~ 僕チン、怖いよぉ~」
 そう、明らかに蘭華たちの攻撃を誘っているのである。
 ――さぁ! 来い! 俺の股間を蹴りにこい!

「蘭菊! アイツ! ウチらのこと怖がっとるで!」
「うん! でも蘭華ちゃんだけにやらせないから! 今度は私も一緒にいく!」
 というか……互いに名前を呼んでいたら、いくら着ぐるみ着ていても、どこの誰だか丸わかりでしょうがwww
 まあ、そうはいっても、大きく開け広げられた怪獣の口からは二人のかわいい顔が丸見えなので、あまり関係ないといえば関係ないのだが。
 だが、そんな二人はついにタカトの挑発にまんまと乗ってしまったのだった。
 二匹の怪獣はチョコチョコと小走りに走っていくと、いきなりタカトにとびかかっていく。

 「痛い!」
 突然上がる大きな悲鳴。

 しかし、その悲鳴は怪獣たちのものではなくて、なぜかタカトのものであった。
 なぜ、タカト?
 確かタカトの股間は銀色の玉赭ブローが鉄壁のガードしていたはず。
 だが、どうやら、そのプレートメイルは完全に無駄に終わってしまったようなのだ。

 というのも、二匹の怪獣はタカトにとびかかると下半身ではなく、そのボサボサになった頭にかみついたのである。
 さすがのタカトも股間のガードはしっかりとしていたのだが、頭にまでは気が回っていなかった。
 だから、二日ほど洗っていないのだwww

 しかも、二匹の怪獣の攻撃はそれで終わりではない!
 怪獣コスプレ! 追加攻撃!発動!
 そう、タカトに飛びつきフリーとなった怪獣の足がバタバタと暴れだしたのである。
 どの世界線の幼児たちもそうであるが……テンションマックスとなったこの状態の攻撃は加減を知らない。
 先ほどから、そんなつま先がタカトの胸や腹などをガシガシと蹴りまくってくるのである。
 これ本当にマジで意外と痛いのだ。
 「イてッ! イてッ! 痛いって! マジで痛いって!」
 だが、やめてと言っても止まらない。それどころかさらに勢いを増していくwww もうまさに幼稚園児のアルアルですよねwwwお父さんwww
 もみくちゃにされるタカトは、先ほどまでの馬鹿にした笑いを浮かべる余裕はまるでない、それどころかマジで痛がっているようである。
 幼稚園児にも勝てないなんて! 弱い! 弱いぞ! タカト君!
 ――って! これはもう強盗から拷問に変わっとるやないかい!

 ついに幼女たちに押し倒されたタカトは「ビン子、助けてくれ!」と手を伸ばす。
 だが、ビン子はその様子にクスクスと笑うばかり。

「いざってときは、役に立たねぇ! うげっ!」
「武技! ヒップアタックや!」
「武技! ヒップアタックです!」
 今や幼女二人のお尻に押しつぶされたタカトの頭は地面にめり込んでいた。
 それはまるで尺取虫のようにケツだけを突き上げて、降参とばかりに動きを止めた。
 それを見たビン子がすかさず飛び込んで、地面を大きくたたくのだ。
「1! 2! 3!」
 すると、二人の幼女は高らかに手を上げて着ぐるみを脱ぎ捨てるのであった。
 中から飛び出す蘭華と蘭菊。って、すでにその正体は分かっていたかwww
「驚いたか!」
「驚いたか!」
 そんな二人は、タカトを見下すかのように声を合わせた。

 タカトは「うぁ、驚いた。驚いた」とセリフを棒読みしながら、頭に乗る二つの着ぐるみを取っ払い、立ち上がろうと膝をつく。

 そんなタカトに蘭華と蘭菊は腕を突き出し持っているものを見せつける。
「これはいただいていくからな!」
「いくからな!」
 その手には竹の筒と数枚の大銀貨(数万円)が握られていた。

 慌てたタカトは自分のポケットをまさぐるが、中に入っていた今朝の仕事の配達代金がどこにもない。
 しかも、先ほどまで肩にかけていた竹筒まで奪われているのだ。
 ――いつの間に……
「ちょっと待て、今回は竹筒だけということで……どうかな? 今月はちょっと生活が厳しくて……」
 急に惜しくなったのかタカトが交渉を始めた。

 その言葉に少々罪悪感を感じたのだろうか、蘭華と蘭菊は互いに顔を見合わせて、ひそひそ話を始めた。
「このオッサン弱そうやで! ガツンともう一発殴っとくか?」
「蘭華ちゃん……暴力はよくないよ……」
「ならどうするんや? 蘭菊?」
「うーん、私たちの得意なもので勝負するってのはどうかな?」
 ならば! ということで、腰に手を当てた蘭華がタカトの方へと振り向くと同時に力強く指さしたのである。
「それなら、ダンスバトルで勝負や!」
 そのあざとい笑み……まるでオタクのタカトがダンスなどできないと見越したうえで提案しているかのようである。

「へっ……なんで……」
 まあ、当然、ダンスなどしたこともないタカトの目は点になる。
 ダンスバトル?
「馬鹿じゃないか? 大体、どうやってダンスでバトルをするっていうんだよ」
 だが、蘭華はそんなタカトの問いに鼻で笑って返すのだ。
「ふん! そんなの簡単や! 二人が同時に踊って観客をより魅了したほうが勝ちや!」
「どこにその観客がいるというのだよ!」
 だが、そんなタカトの心配をよそに、いつしか周りにはやじ馬たちが多く集まっていた。
 まぁ、さきほどから通りの真ん中では可愛い怪獣たちが動いているのだ。
 きっと何かのイベントなのかもしれないと、いつしかコンビニの前には人だかりができていた。
 そんな観客たちにコンビニの女店主のケイシ―が声をかける。
「え~! ジュースにおむすびは要らんかねぇ~ はい! そこ! 後ろの人が見えないので中腰で見てくださいね!」
 これが結構な稼ぎになるのであるwww

「だが! ダンスバトルに必要な曲はどうするんだ!」
 どうやらタカトは何とかしてダンスバトルを回避したいらしい。

 しかし、こんな時、タカトの思いを裏切るのがビン子ちゃんwww
 ニコニコとほほ笑むビン子が、胸の前で両手を組んで静かに歌い始めたではないか。
 確かこの曲は、蘭華と蘭菊が毎朝歌っているアイナちゃんの曲。

 だが、それを聞く蘭菊は一瞬、その歌にとらわれた。
「上手……」
 ビン子は、そんな蘭菊の手をそっと握るのだ。
 それは、まるで一緒に歌おうと誘っているかのように。
 そして、蘭菊もまた静かに歌を歌い出す。
 ビン子の歌にかぶせてハーモニーを奏ではじめたのである。

 周りで聞く聴衆たちは、その歌に心奪われる。
 まるで、歌う二人の周りに色とりどりの花が咲き誇っていくかのように優しく響いていた。
 そんな曲の花の中、蘭華が通りの真ん中へと歩み出る。
 その右腕が高らかに天を指す!
 途端に、その優しいハーモニーは曲調を変えるかのようにテンポを上げた。

 蘭菊の足が、到底、幼女とは思えないグラマラスで切れのあるステップを踏み始める。
 その軽やかなステップに観衆たちはどよめきの声を上げた。
 うぉおおお!
 
 だが、それを見ていたタカトは焦った。
 ――このままでは、完全に俺の負けだ!
 だが、タカトはダンスなどしたことはない。
 ちなみに盆踊り、フォークダンスといったたぐいも全くない!
 要は素人。
 だが、バトルが始まった以上、もう後には引き下がれない。
 ――ならばどうする! どうする俺!
 ということで、タカトも負けじと……
 腕を前から上にあげて、大きく背伸びの運動~
 ハイっ! イチ~♪ ニ~♪ サン~♪ シ~♪ ゴ~♪ ロク!
 手あしの運動~
 イチ~♪ ニ~♪ サン~♪ シ~♪ ゴ~♪ ロク! シチ! ハチ!
 って! ラジオ体操第やないかい!

 だが、ラジオ体操を馬鹿にしてもらっては困る。
 あの運動も、ピシッ! ピシッ!とキッチリとおこなえば、かなりかっこいいのである。
 だが、今のタカトが行うラジオ体操は……まるでタコが踊るがごとく見るに堪えない。
 もう、あれだ……あれ……夏休みの早朝に嫌々ラジオ体操をさせられている男児みたいなものである。

 そんなタカトの横では、蘭華が華麗なステップで舞っている。
 そして、ブレイクダンスのように地面に手をつき、鞍馬の回転のごとく体を回し始めたのだ!
 まさしくスピニングバニーキック!
 クルクルと回る広げられた足が徐々に中心へとまとまり天を指したかと思うと、蘭華の体がしなやかな弧を描くのだ。
 まるで白鳥がその首を優雅に持ち上げるかのように蘭華の細い背中が起き上がってくる。

 だが、タカトも負けてはいない!
 ――このメスガキが回転技をするというのなら! 俺も回転技を加えちゃる!
 だが、バク転や側転などできるわけではない。
 なので、何を思ったのか地面の上に横たわるとぐるぐるとそのまま回転し始めたのだ。
 そう! それは横回転!
 地面の上を丸太が転がるように、ただ体を横にして転がっている……と思っただろうwww
 ノン! ノン! 全く違うのだ!
 横は横でも違う横回転!
 タカトの股間には何がある?
 そう、あそこに装着されたパチンコ玉赭ブローである。
 そんな銀色の玉赭ブローがまるでコマの軸になるかのようにタカトの体をクルクルと回転させていたのである
 まさしくスピニングペニ〇キック!

 さすがにこれには観客たちも驚いた。
 こんな隠し技があったのかとwww
 そして、ダンスを終えフィニッシュポーズを決めていた蘭華もまた驚いていた。
 ――コイツ! できる!

 観客が沸いて勝利を確信したタカト君。
 彼もまた、回転を止めてフィニッシュポーズを決めようとしていた!
 だが、止まらない……
 そう、止まり方が分からないのだ……
 ――やばっ!
 しかも、なんということか!
 ここに来てついに玉赭ブローが限界を迎えたのである。
 ローバンの白弾の直撃を受けて中折れした玉赭ブロー……
 ガラポンの白玉を赭色に変えるため中身を吐き出した玉赭ブロー……
 コウスケ、もといルパンサーセンの疑惑を白へと塗り替えるためその身を変えた玉赭ブローHS……
 今まで幾多の苦難を乗り越えてきたが、ついにその強い意志が折れた。
 そうタカトの体重を支え切れずに、ポキっと折れたのである。
 当然に、勢いよく回転していたタカト君は、そのまま地面に落っこちた。
 しかも、そこは大きな水たまり……
 いまだに回転する体は、四方八方に泥水をまき散らす。
「やめろ!」
「汚い!」
「うわ汚れた! どうしてくれんだよこの高級スーツ!」
 もう、泥水をかぶった観客たちの大ブーイング。
 ここで起き上がれば、絶対に怒られる。いや、それどころかクリーニング代を請求されかねない。
 ――そんな金などあるか!
 ということは……もう……ここは、死んだふりでもするしかない……
 ということで、タカトは水たまりに顔をつけたまま動かなくなっていた。

 その様子を見ていた蘭華は高笑い。
「どうみても明らかに、ウチの勝ちやね!」 

「ははは。それじゃ、これは頂いていくからな!」
「ははは、それじゃ、さらばです」
 そういい終わると、二人はまた赤いリンゴをもって母がいる病院のある道へと走り去っていく。
 あとに残されるは、それを見送るビン子とタカト。
 だが、タカトはいまだに泥水に顔を突っ込んだまま動かない。
 おそらく、鼻の低いタカトの場合、泥水の水位が2.5cmもあれば溺れてしまう。
 もしかして……死んだ?
 そんなビン子は、泥に顔を突っ込んでいるタカトに心配そうに声をかけた。
「大丈夫……生きてる?」
 だが、その声に反応するかのように泥水がブクブクと泡を立てだしたのだ。
 どうやら、タカトのやつ、生きているようである。チッ!
 ぷはぁ~!
 と、タカトが勢いよく泥水から顔を持ち上げた。
 そして、ビン子を見上げると、キラキラした目で尋ねるのだ。

「俺、輝いてた?」

 その問いに、静かに首を振るビン子……
 そんな夕焼け空に第六の警鐘音がむなしく響く……
 カーン……

 ちなみに、のど自慢の鐘一つって……それは余りにも音程が外れていたり、歌詞が全く出てこなくて歌う事すら出来なくなってしまった場合になるらしい……
 ということは、タカトのダンスもまた……ひどかったということだ……

 第62話 激闘?怪獣大戦争? より

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