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考えてること
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#エッセイ

お姫様か、カメか

お姫様か、カメか

幼稚園のときの発表会、「浦島太郎」で私はどうしてもカメになりたかった。カメ役をしたいというより、当時私はカメになりたかった。通っていた歯医者さんにはカメがいて、カメ飼ってます!というときの小さなカメではなく、でっかいカメたち。ごったがえしながらガラスケースの中で生きていた。

カメ役にはすんなりなれてしまった。なぜなら女の子たちはみんな竜宮城のお姫様になりたかったから。カメは男女問わずそこまで人気

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お風呂はお風呂のために

お風呂はお風呂のために

窓を開けて電気はつけず、床に寝転んでいた。何をするでもなく時間を過ごし、お風呂に入ろう、そう思った。

仕事を始めて1ヶ月。家に帰れば、明日もまた仕事へ行くために残りの今日を過ごさないといけない。まずは手洗いうがい。米をとぎ炊飯器の予約をする。お風呂に入ったら今日の仕事着と脱いだ服を洗濯。その間に風呂掃除。ちょうどよく洗濯が終わり、干した後は風呂場を拭き上げる。終わる頃にはご飯が炊けるいいにおい。

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今日は用事があるから遊べない

今日は用事があるから遊べない

小学生の頃、毎日のように外で遊んでいた。家の周辺で私はいちばん年上で、ひとつ下、もうひとつ下の子が二人、私の妹、二つ下の子の妹と、妹。

「宿題してから遊びなさい」なんてよく言うけれど、夕方の歌がなったら帰らないといけない小学生にそんな時間があるのだろうか。律儀に宿題を先にしてしまうと、暗くなったから遊べないねと言われて、結局遊ばせてもらえなかったのだろうか。特に約束していたわけではないのに私たち

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