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格好良さは、夜中に別れて

昨日、眠る前。
そう、確か日付がかわってから
映画を観たから2時半くらい。
人間が1番、無力さと寂しさとに
向き合わなくてはいけない頃。

僕は、君を落とせそうな、
たいそうロマンチックな言葉たちと出会った。
耳元で囁くよりも
正々堂々、正面から放つことで
最大火力を叩き出しそうなやつだ。

なのに今朝。
間抜けな僕の手には、
そのかけらひとつ、握られてやしない。
あれがあれば作家や詩人を名乗っても良かった。
劇的な出逢いのはず。
僕は、置いていかれた。

何度そんな朝を迎えただろう。
もう繰り返すまいと目を擦り綴ったメモ。
翌朝に見るその文字たちは、
あまりに不恰好で頼りない。
まるで今の僕そのものだった。
小説みたいな小洒落た、読者を唸らせる
フレーズなんかひとつもなくて。

君も鼻で笑うのかな。
それともかっこ悪さまで
愛おしいと感じてくれるだろうか。

『君のその笑顔を
     僕が生きる理由にしていいかな』



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