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チルドレンゴッドの裁き 制裁⑤ 魔の手

二週連続で投稿できるとか歴史的快挙だ!


本編

横田よこたは電話を切った。日村にちむらが深刻そうに言う。
魔の手は、警察にまで伸びてるってことですか…
横田は下を向いて唸った。「くそっ!」
「…戻りますか」
二人は重い足取りで、車に戻った。
…俺はこの事件を解決させたい
「横田さん…」
横田は車に乗り込み、続ける。
ちょこっと世間を騒がして、それを絶妙なタイミングでヒートアップさせる…こういうヤツらが一番嫌いなんだ
横田は怒りをぶつけるように、グッとハンドルを握った。
そういう方法を使うヤツは、単に自分が有名になりたいってだけで、殺人を犯すようなヤツだ。そんだけの理由で、殺人が行われてたまるかよ…!
日村は、こんな人の相棒になれて幸せだった。こんな人と一緒に、事件を解決できるようになった…今はただ、それが嬉しかった。こんな状況でも、日村はこの幸せに浸っていたいと思った。
「お前に建前を使ってるわけじゃない。これは俺の本音だ」
「やりましょう、横田さん。一緒にこの事件を解決しましょう!」
横田はニッと笑って日村の方を叩いた。
「おう!絶対解決するぞ!」
ドンドンドンドン!激しくドアが叩かれる。叩いているのはメッセンジャー筒井つついだ。横田は車のウィンドウを下げた。
「どうした?筒井」
「さっきの話、聞いてましたよ」
筒井が悪魔のようにニヤッと笑った。
「お前っ、いつの間に…」
「情報の匂いがプンプンしていたので」
…こいつ、本当にどこにでもいるな…。
「で、俺たちを茶化すために、お前はドアを叩いたわけだ?」
「いえ、実はお二人に伝えたい事がありまして」
筒井はスマホを取り出して、画面を見せた。
「SNSで話題になってるんですよ、

『ママ友同盟』って」


筒井の見せてきた画面には、おそらく本名だろう「藤村三日子ふじむらみかこ」というアカウントが、「ママ友同盟 参加者(?)募集!『チルドレンゴッド』を倒しましょう!」と呟いていた。ちょうど今日SNSを始めたようだ。なのにもう、フォロワーは2000人を超えていた。
「…すげえな。でも、これがどうした?」
「これを利用すれば、『チルドレンゴッド』を捕まえる事ができるかもしれません!!」
「やったあ!」
日村が子供のようにはしゃぐ。
横田はその様子をチラッと見て、この状況ではしゃぐ事ができるのは、日村が「チルドレンゴッド」だからではないか、と考えた。が、すぐにそんな考えを打ち消して、操作に集中しようと考えた。

「よしよしよし!いい感じだ!」
私は自分のスマホを見る。フォロワーはうなぎ上りに増えていっている!SNSは心強い。膨大な人と情報の交換ができる。…まあ、全てが信頼できる情報とは限らないけど…気休め以上にはなるでしょ!
私は今外に出て、「チルドレンゴッド」の行方を追っている。もちろんママ友と連絡を取り合いながら。
ママ友やSNSのユーザーたちには、怪しいやつを見つけたときは報告するようにお願いしてある。
私が怪しいやつを探していると、パトカーがサイレンを鳴らしてやってきた。えっ?私何かした?
パトカーのドアから、体格の良い男と、その男の相棒っぽい男、パッとしない顔だけどいざとなったら活躍しそうな男の3人が出てきた。
「あのぉ…私、何かしました?」
「あなた、藤村三日子さんですね」
えっ、なんで知ってるの!?」
「私犯罪なんか犯してない善良な市民ですよ」
「いえ、実はあなたに協力してほしい事がありまして」
体格の良い男が手帳--警察手帳を出した。
「私、『チルドレンゴッド事件』を捜査している、横田です。で、こっちが…」
「横田さんの相棒、日村ですっ!」
「メッセンジャーをしています。筒井です」
…なんとなく状況が掴めてきました。
「えっと、つまり、あなたたちはこの私--善良な一般市民の私に、『チルドレンゴッド』の操作を手伝ってほしいという事ですか?」
「あなたがSNSなどを使って、『ママ友同盟』という組織を作っていることを知りまして」
あらやだお恥ずかしい。刑事さんにまでこのダサい名前が広がっていたとは…。SNS、恐ろしや。
「それであなたに頼むことにしたのです」
「そういうことですか」
やるじゃん、日本の警察!
「あの、私達、今怪しいやつを見かけたら連絡するようにしてて…」
言いかけたところで、五メートルくらい先の道路に、覆面をかぶった、まさに怪しい人オーラをただよせまくっている人がいた。
筒井さんもそれに気づいたようで、
「怪しいやつ、発見!」
「追うぞ!」
私たちはパトカーに乗った。
私は興奮していた。あいつを捕まえたら、どんな待遇が待っているだろう?
ヒーローとか言ってもらえるのかな?

これから悪夢のような時間が始まることを、私は知らなかった。

続く

残り二話で完結。


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