見出し画像

年末の命懸けの墓参り

「年末に墓参り?」という方はいるかもしれない。

私は小さい時から墓参りとかは慣れているからなんとなくはわかっている。

墓参りは、お彼岸・お盆でいいんじゃないかという人はいるかもしれない。

実は、年賀は行けないから年末に墓掃除もかねてお参りしてもよくて、小さい時から年末の墓参りは恒例行事だ。

よくスピ系の雑誌などで「ご先祖様がいる墓に参ると運気があがる」というけれど、個人としては「そうなんかなぁ」といつも思う。

秋ごろから体調を崩して、実家で平日は過ごしているけれど、週末は自宅に帰宅はしている。

しかし、今年の年末は大掃除や娘がバイトでいなくて、2人っきりでぼーっとしているのもなんだかなってわけで、自宅には年内の定期診察を終えてから帰る。

てわけで、私が父と一緒に年末の実家の墓参りにつきあうことになった。


本来なら両親ふたりで墓に行くのだが、ふたりとも足が悪い。

特に母は、先日お寺の前の階段で転倒してから、膝の具合がよくない。

てことで、まだ実家で世話になっている私が「おい、墓参りいくぞ」と父から声がかかる。

私も昨日は少々体調がすぐれないので、実は墓参りに行くのはしんどかった。

しかし「ええわ!父ちゃん1人だけで行く!」というので、お薬をしっかり飲んで墓参りに付き合った。

実家の墓はかなり昔からある墓地で、市が管理している公営墓地ではないから、区画化されておらず危険だらけ。

2つの地区の共同管理墓地なので、江戸時代や明治・大正時代の墓はあるし、戦時中に殉死した人のは立派な墓だ。

実家の墓まで行くルートは3ルートあるのだが、どれも年寄りには危ないルートで、よそ様のお墓をまたがなければならない。

ようやく段差のあるところに、手すりはついたけれども1箇所だけ危険な場所があるので、父ひとりでは転んでまた入院かとなる。

実際に、今年の春に植木鉢を持っている時に転倒して、腰骨を折り入院。

年末年始に病院で年越しはまずいだろう。

父に転ばれては困るので、肩をかしたり手をひいて我が家の墓へ行くのを手伝った。


車の後ろから、墓にお供えする花やお参りセットを出して、一番安全なルートで父と一緒に行った。

それでも、1箇所手すりがない場所はあるし、実家の墓がある場所でどうしても段差があって危険な場所がある。

先に私は水汲み場でバケツに水をいれて、ほうきやら持って墓に先についておく。

そして、後からゆっくりとくる父を誘導して、危険な場所を安全に降りれるように誘導した。

もう私はヒヤヒヤものだ。

父もたどりついて、枯れているお墓の花を抜いて、墓周りを掃除。
草むしりを簡単にして除草剤を巻く。

新しい墓前の花をいけて、線香を立てて拝む。

掃除は父には足の負担がかかるから、私がひとりで黙々とした。

幼少期から慣れているからあっという間に終わる。

兄もたまにはお盆・お彼岸以外に墓の様子は見に行ってくれる。なぜなら、兄のお嫁さんが癌でなくなって我が家の墓に入っているから。


母の実家の墓は、従姉妹が東京の会社に就職してから帰ってこないからとは墓じまいをして、大きなお寺に永代供養に切り替えた。

母の実家の墓は、大阪市の公共墓地なので車で入ることもできるぐらい広い。

しかし、誰も参らないとなると墓じまいをするしかない。

我が家はというと、両親は「ほっといてくれていいで」というが、兄は許さないだろうから、いつかは話し合いになると思う。

多分兄のことだから、お墓の移転をするんじゃないかと思うけれど、むっちゃお金がかかるとは聞いているので、結局永代供養にするんじゃないかと思う。


やっとお線香を立てて拝んで、帰ろうとした時に「おい、帰りは絶対離れるなよ」というので、「なんでやねん」と少々怖った。

何か霊でもついてくるのかと思えば、そうではなかった。

足が悪い父はどうやら階段の登りはいいけれど降りる方が怖いので、私の肩をかりて降りたいらしい。

それとよそ様の墓でこけるのも怖いそうな。

借りたものを返して、よっこらよっこらと父を連れて帰ったけれど、自分がめまいを起こす時はあるし、父も少し歩く時にひっかかることあるので、ふたりでなにをしてるんだと思った。

なんとか、たどりついておやつをいただいて疲れをいやしたけれども、両親から言われた。

「あのな、次に墓参りする時に兄ちゃん来られへん時は、お前がいってな」

え?わたし?正気の沙汰なのかと疑った。

老人に優しくない実家の墓地には、もうひとつ困ったことはある。

墓の駐車場へ行く道が狭く、対向車線がない。ひとつ間違えれば脱輪はする。

駐車場も狭いので、駐車できても出て行く時に真向かいに車を止められると出しにくい。

この問題、誰に言えばいいかわからないけれど、実家に近い私が当面お参りすることになるんだろうなぁと、ぼんやり考えながら雪見だいふくを食べた。

あー、しんどかった。

「お!応援したい!」「この人のは気に入った!」ということであれば、お気軽にサポートしていただけるとありがたいです。いただいたお金については、今後の執筆活動や本購入に充てさせていただきます。