本は知的&素敵財産。其の3

信ちゃんの部屋にはベッドはなく、カーペットの上に半分に折り曲げられた万年床が置かれ、その横に並ぶように、僕にとっては少し大きめで贅沢な感じの客人用布団を敷いて貰いました。自宅ではベッドで寝ているので、敷いた布団で寝るのは何か特別感があって、それだけでも興奮材料になってました。目の高さには厚みのある背表紙がビルのように積まれていて、そこには難しい漢字が並んでいた。今まで見たことのない景色。さぁ、いよいよ憧れの信ちゃんの部屋で1人夜を迎える時がきました。それは生まれて初めての体験で、この乱雑で男心をくすぐる小宇宙のような信ちゃんの部屋で1人寝する最後の夜になるとは、この時は思ってもいませんでした。

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