短編・六月の雨2024/12
タクシーで渋谷のアパートに戻った。随分と昔の景色のように感じてしまう。
街は当然のように動いていて、昨日の事を敢えて事件というならば、そんな些細な事件など誰1人として興味を持ってなどいない。この街にはもっと凶悪で殺戮な事件が頻繁に起きているからだ。こんなちっぽけな事など誰1人気にやしない。
この街の人間が皆そうであるように、毎日起こる出来事など道端に落ちている空き缶と一緒で、視線を落とす事などなく足速にその場を通り過ぎていく。そんな事をいちいち気にしていたらこの街では生きてい