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ぺも短篇集

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エッセイや物語など
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#エッセイ

エッセイ「付き合ってはいけない友達」

エッセイ「付き合ってはいけない友達」

彼と出会ったのは小学校に入学したての頃である。

入学式の次の日は、プレの授業日で学活が2時間ほどあってすぐ下校する日だった。帰り道に、よく知らない数人の塊で下校しようとしたとき、級外のおばさんの先生にみんなが興味を示してしばらく雑談していた。
あとから思うと、そのおばさんの先生はかなり厳しい人で、一ヶ月もすればその先生の前ではふざけられなくなっていた。

先生の名前を当てるというくだりになり、誰

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【思い出】たけのこセンター

【思い出】たけのこセンター

僕が通っていた小学校の敷地内には、小高い山があった。
ごみで埋め立てて作った山にしてはそこそこ大きく、小学生30人くらいなら優に鬼ごっこなどで遊べる山だ。実際に、ケイドロが昼休みにしょっちゅう行われる場所だった。教育実習で母校に戻ったときもなお健在だった。3週間のあいだ、何度その山へ児童と行ったことか。相変わらず生き生きとした竹藪の生い茂り具合に苦笑すると同時に、ある思い出が蘇る。

小学一年生か

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【エッセイ】 「チビ」

【エッセイ】 「チビ」

 僕が小学1年生の頃、S君とF君と僕の3人で登校していた。親同士が小学1年生を単独で登校させることを危惧していたことや、互いが近所であることが重なった結果だろうと言える。話の内容はよく覚えていないが、登校中の20分間を飽きずに過ごすことができたのは紛れもない事実である。

 しかし、小学生1年生の1学期が終わる時、S君が引っ越した。引っ越すとはいえアパートから一軒家に変わるという目的のもので、どこ

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だから何だって話(徒競走 編)

小学3年生の頃のたまに思い出す話。
運動会があった。だって当時はコロナが無かったから。

徒競走が嫌いな生徒だった。
子供の頃から太っていて、走るのはクラスで一番遅かった。
体育の授業で2人ずつ走るとき、片方がゴールしてから俺がゴールするまでを秒読みしてる奴らのことが嫌いだった。それでも明日になれば一緒にそいつらと遊ばざるを得ない自分が、歯痒かった。

うちの学校では、走る速さが同じくらいになるよ

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最古の記憶

最古の記憶

僕は友人から最古の記憶を聞くのが好きだ。その人にとっての最も古い記憶は、その人の人格の形成する大きな潜在的キーポイントだと思う。
というのは単なるこじつけで、実際理屈無しに他人の古い記憶を教えてもらうことは僕にとってめちゃめちゃ楽しい事なのである。

そんな僕の最も古い記憶は、3歳、幼稚園の入園式のことである。
入園式が滞りなく終わり、先生方は保護者に対して、バス通園や食物アレルギーなどの大人の話

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暗い話-2021年5月3日-その12

暗い話-2021年5月3日-その12

 実は俺が今通ってる大学は一番行きたかった大学ではない。第一志望の大学は今年の3月に落ちた。高2の秋から1年以上、指標として目指してひたむきに努力していった大学だ。落ちたときの落ち込みは激しかった。
 もう立ち直ったと思っていたけど、未だに夢で見たりする。起きた時は大抵嫌な気分になっている。いつも心の根底に「俺は第一志望でない」「理想的な人生を歩めていない」という負い目が淀んで沈んでいる気がする。

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